FC2ブログ
お読みいただく前に&パスワード&Index
- 2026/01/01(Thu) -

はじめまして。

Gipskräuter<ジプソクラウター>です。


お越しいただきありがとうございます。


花より男子の二次小説を書いてます。
CPは総二郎×つくしです。


始めは読むだけだったんですけどね。

西門さんとつくしちゃんの、私の中ではあり得ないCPにいつしかどっぷり嵌まってしまいまして。ヘヘっ。

ある日ふと浮かんだ設定で無謀にも書き始めてしまった次第です(汗)

しかも、書き出しは浮かんだんですけどね。あとは、行き当たりばったりでそれぞれに勝手に動いてもらってます(笑)
なので、収拾作業が大変です(´-ω-`)


どの作品も、誰もがハッピーエンドを目指して頑張りまーす。


お話が完結するまではアップしない方針です。その代わりに、創作日記なるものをご用意しておりますので、そちらも覗いていただければ嬉しいです。


誤字脱字等多いかもしれませんが、お楽しみいただければ幸いです(*´∇`*)



最後に。


こちらはあくまで私の趣味のお部屋で、原作者様、他関係者様とは一切関係ありません。


誹謗中傷、荒らし等はご遠慮いただきますよう、宜しくお願い致します。


なお、駄文ではありますが著作権は放棄しておりませんので、転載、配布、二次使用等はご遠慮くださいますよう、宜しくお願い致します。



★パスワードについて★ 追記有り

★Index★



Gipskräuter
スポンサーサイト



この記事のURL | ◎ご挨拶 | CM(10) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~くせ者~団子三姉妹~ by GPS
- 2019/09/10(Tue) -





夏がもうすぐ終わろうとしてる……ほんの少しだけ朝夕の風が涼しいかな?って季節だ。

「だからといって夏バテしている場合ではございません、類様。
決裁書類がこのように溜まってきましたよ?」

「…………だって、田村……なんかさ……だるくない?」
「気持ちの持ちようでございます!ほら、机から頭を上げてください!」

「机がひんやりして気持ちいい……」
「類様っ!!」


もう……そんなに怒鳴らなくてもいいだろうって思うのに田村が五月蠅い。
庭のツクツクボウシだってまだ五月蠅いのに、それよりも五月蠅い……。

この夏を乗り切ったんだから多めに見てくれればいいのにって思いながら机から頭を離した。

その時に池のある庭の方が騒々しくなった。
誰かが鳴いてる?あれは…………


『きゃああぁーっ!ハル、どうしたの?
誰か出水先生を、出水先生ーーっ!!』



えっ!!今のつくしの声だよね?そして鳴いたのはハルか?!

急いで執務室の窓を開けてそこに目をやったら、つくしがハルを抱きかかえて動物専用の医務室に向かうところだった!
田村に「ちょっと行って来る!」と叫んで執務室を飛出て医務室に行くと、そこではポロポロ涙を流すつくしとベッドの上でキョトンとしてるハル。


「つくし!どうしたの?!何があった?!」
「あっ……うわぁ~んっ!!類~!!」

「うわっ、ちょっと何で泣いてるの?!
何処か怪我したの?誰かに苛められた?噛まれた?まさか闘司郎にやられた?!!」


「そんなんじゃな~いっ!!」


確かに……闘司郎にやられたら泣いてる場合じゃなくて気絶してる。
でもハルは凄く普通にしてるのに?

俺が泣きじゃくるつくしを抱き締めていたら、奥から出水先生が包帯を持って現れた。
その横にはやっぱりエプロン姿の小っこいつくし……凪紗、今日は看護師なんだ?

いやいや、そうじゃなくて!


「先生、どうかしたの?」
「クスクス……つくしちゃんったら自分が噛まれた気分になったんでしょうね」

「噛まれた?じゃあ噛まれたのは……」
「そう、ハル君なのよ。ほら、ここの前肢。黒いから判らないでしょうけどここをカプッとね」


わんわん♪

ハル……お前、噛まれてるのに楽しそうってどういう事?
つくしがこんなに泣いてるのにさ。もう少し緊張感持とう?

それによく見たら傷は小さい……でも、この城の中の誰が噛んだりするんだろう?

「つくし、ハルを噛んだのは誰か見たの?」
「ううん、ハルね、池で遊んでたの。
今日は静ちゃんもラスカルも居なかったから淋しいだろうと思って私がそこに行ったらね……」


「うん、行ったら?」
「なんか黒っぽいものがバシャ!って跳ねて、その時にハルがキャン!って鳴いたの」


………………待って?

ラスカルじゃない黒っぽいヤツ?
しかも池で跳ねたって……何となくニューフェイスの予感?

その時、田村が後ろに誰かを連れて医務室にやってきた。


「あの……類様、実は……」
「あんこー!ずんだー!!くるみーっ!!!何処だぁ?!」

「……類、お団子屋さんが来たみたい」
「……違うよ、あきらだよ」


……えっ!!あきら?!
自分で言っておきながら驚いた‼️


田村をバーン!と押し退けて入ってきたのはホントにあきら!
そして凄い形相で医務室の中を走り回ってるんだけど?!

「あんこ?!」っていいながらベッドの下を確認。
「ずんだ?!」っていいながらカーテンの隙間を確認。
「くるみ?!」っていいながらハルを持ち上げて。

「あのさぁ、それ……うちのハルだから。
足に怪我したらから手当中なんだよね。降ろしてくれる?」


わんっ♪

ハル……遊んでもらってる訳じゃないから。


「ところでさ、何なの?そのあんこ、ずんだ、くるみって。
まさかと思うけど水の生き物じゃないよね?噛んだりするような動物じゃないよね?」

「………………」

「どうして黙るの?あきら」
「………………ハル、噛まれたのか?」

「黒いのがバシャッ!ってキャン!って……」


…いや……その説明ってどうなの?と思ったけど、あきらには通じたっぽい。


「はぁ~やっちまったか…」
「あ?やっちまったかって、何それっ!」

「いやぁ~悪い……」
「凄く悪いからっ、説明してっ!」

「ウチの花菜達が温泉に通ってるだろ?」
「………そうだね、美作の温泉改修が終わっても、まだ!来てるよ💢」

「まあまあ、それは置いといて♪」
「…そこ、置かないで欲しいな……」

「あいつ等、花菜達と仲が良いんだよ。一緒に来ちまったみたいなんだ、全員居なかったから、もしかしたら?って思ってな」
「……だからさ、その温泉三嬢と仲が良いってのは、何なんだよっ!全員って…」

「コツメカワウソ♪可愛いぜ♪♪」

「「………コツメカワウソ……」」

「そこでだ……ここからが本題だ、聞いてくれ」
「……あきら、本題は要らないから、団子三匹連れて帰ってっ!聞きたくないし」

「そう言わずに、聞いてくれよ」
「ヤダ、絶対 ヤダ」

「何かあったの?美作さん」
「っ、つくしっ!」

「そうなんだよっ💦つくしちゃん、聞いてくれるか?」
「あたしに出来る事なの?」


落ち着きを取り戻したつくしは、治療が済んだハルを抱えて、身を乗り出している。

…それ……ヤバいパターンじゃん…

あきらもあきらだよっ!つくしの優しい気持ちを利用すんなよっ!
「最高に困ってるんですぅ~」みたいな顔すんなよっ!

ほらほら…「私達で出来る事ならっ!」って雰囲気になっちゃったじゃん…

……はぁ~

「あきら……取り敢えず、聞くだけだからね」
「おぉ、ありがとう」
「類ったら、協力してあげましょうよ」

………ホント ヤダ…


***


カラカラカラ♪
カラカラカラ♪

リビングのテーブルの上には、八子と潤。
今日も、仲良く回し車で遊んでいる。

この雰囲気…何度も経験してるんだけど?…
……あぁ……碧の時も、こんな感じだったよね?あの時は、突然じゃ無かったけどさ。

あきらの話は、こうだった。
コツメカワウソは、遊び道具を盗られたりすると怒って噛む事がある。
撫でようと手を出すと、盗られると思うらしく、噛まれるらしい……
……何とかならないだろうか?

……だからっ!あきらの団子三匹だろっ!
自分ちでやってよねっ!!


「…………と言う訳なんだよ……」
「それは、大変よね?可愛いがりたいのにね……」
「…………………………」

「だろ?何とかならないだろうか?」
「……んーーー」
「……無理だろ?俺達じゃ、なんともならないと思うけど?」

「そう言わずにさぁ~協力してくれよ…」
「…んーーーー」
「やめてよね?噛まれるかもしれない事をさ、何でウチに持って来るかな?しかも、三匹もっ!!」

「そこを何とか……」
「事実っ!ハルは噛まれてるけど?」

「……お願いだっ!」

「だからさ…そんなにテーブルに額を擦りつけられても……」
「判ったわっ!やってみましょう」

「つ、つくしっ💦💦」
「そうかっ!!♪♪ありがとう つくしちゃん」

『ありがとうっ』と言って、つくしに抱き付きそうになってるのを寸前で阻止!

残念そうな顔するなよっ!油断も隙もあったもんじゃないっ!!


「じゃあ…早速……えーと団子は何処?」
「つくしちゃん…団子じゃなくて、あんことずんだとくるみだ…」
「ぷっ……団子…」

「あのさ、真面目な話、そいつら噛みつくんでしょ?池に居たみたいだからあきら 捕まえて来てよ?一応飼い主なんだから出来ないなんて言わないよね?」

「あ……あぁ」

「池に居なければ花菜達と遊んでるかもだし。捕まえなけりゃ話になんないでしょ?
俺達は戻って来るまでに調べ物しとくから」


「分かった。よろしくな!」


険しい顔をしながら出て行くあきらを見送って、パソコンを立ち上げてつくしと二人パソコンやらスマホやらの画面との睨めっこが始まった。
けど、調べてみて分かった事はコツメカワウソは躾が難しいって事だった。


「どうする 類?」
「どうしようか……?」


その場で怒ってもダメ…
大きな音もダメ…
威嚇を真似しても始めだけ…


「類、これとこれはどうかしら?」
「どっちみちこれしかなさそうだしやってみようか……」


つくしが選んだ方法。それは極々単純なもので、『噛まれた状態でゲージに入れる』『噛んだらゲージに入れて人のいない部屋に移動する』の2つだった。
つまり、噛まれたままケージに入れて別室に移動ね。
うん、いいんだけどさ……そのゲージって俺が運ぶ前提なんだよね……?
はぁ……あきらのやつ覚えとけよ!!


***


痛ってっ!!!

……何で、俺の手を狙った様に噛むんだよっ!💢💢
つくしの手は噛まないクセに……
まぁ、つくしの手に傷が付くよりは、ましだけどさ……ふんっ💢

本日 くるみに噛まれた事で三匹に一度ずつ噛まれた計算になる。
……俺の手は、絆創膏だらけだ💢💢
不思議な事につくしやSP達を噛む事は無く、ターゲットは 俺、のみっ!
そして、少しは遠慮してるのかテンションMAXになって噛みちぎる様な事も無い。

噛んだ後、ゲージに入れられ誰も居ない部屋に隔離されるのが本当に嫌らしく、
その後、噛む事は無くなった。
………………と、思いたい……。



***



数日後、俺の連絡を受けて花沢城に鍵付きアルミ製ゲージを抱えたあきらがやってきた。


「ホントに噛み癖が直ったのか?」
「うん♪万が一の時はこうやって躾けたらいいわ。あのね……」

あきらは俺達…正確には俺が体当たりで頑張った「噛み癖矯正法」をつくしから聞いてる。

「噛まれた状態でゲージに入れるの。そしたらね、そのゲージのまま人のいない部屋に移動するだけ!簡単でしょ?」
「噛まれたら?それって…」

「こうなるけど、暫く続けたら噛むの止めたから」

俺の絆創膏と内出血だらけの手を見せたらあきらは沈黙……そこ、ひと言あっても良くない?

慰謝料請求してもいいんだけど、つくしが泣くからしないだけで💢
そしてジッと自分の手を見る……いや、お前の手はまだ傷ひとつ無いから!💢


「取り敢えず連れて来るわ。類、手伝って?」
「……うん」

「………………悪いな」


呆然としてるあきらの所に俺達の部屋でマッタリしていた団子三匹を連れてきた。

つくしが持ってるのはあんことずんだ。俺が持ってるのはくるみ。
どうして俺が一匹なのかと言えば、出来るだけ被害を出さないため。
つくしだったら絶対に噛まないから……だ!

其奴らをあきらの前に出して「抱いてみたら?」って言えば、もう1回自分の手を見ていた。

だからっ!!お前の手は綺麗だよっ!!💢💢


「あんこ……ずんだ、くるみ……来い。俺だ、あきらだ」

………………。

暫く団子三匹とあきらはお見合いみたいに見つめ合ってたけど、あきらが怖々と手を伸ばすとそこにスルッと入っていった。


「おおおーーーっ!ホントに噛まない!凄いっ!」
「うふふ、良かったね、美作さんっ!」

「………………(うそ!)」

「可愛いなぁ~!やっぱり抱き心地最高!
これがしたかったんだけど今まで出来なかったんだよなぁ~!」

「これからは沢山抱いてあげてね!」

「………………(そんな馬鹿な!)」



あきらはすごく喜んで、持って来た鍵付きゲージに入れて黒曜星に跨がった。


「じゃあな♪本当にありがとう!つくしちゃん、類!またな!」

「うん、またねぇ~♪」
「………………」


良かった良かった!ってつくしは嬉しそうにしてるけど、俺は少しばかり癪だった。
どうして俺ばっかり噛まれたんだろう?

俺、虐めてないし睨んでないし、そもそも顔だって優しいのに?


嬉々としてるつくしの横でふて腐れた顔をしていたら…………



「痛ぇーーーーーーーっ!!」


「………………」
「………………」


凄い叫び声が北の方向から聞こえた。


そう言えばコツメカワウソは頭が良くて、鍵なんかも開けることが出来るそうだ。

団子三匹…鍵開けちゃった?
そして、それに気が付いたあきらが…………くすっ♪



おしまい♪



こんにちは~♪
今日はコツメカワウソです(*´∀`)

カワウソ、可愛いですよね~♪
が、躾はなかなか難しいらしいです…( ̄▽ ̄;)
手が穴だらけになりそうだわ……
団子ちゃん達…今後どうなるのかしら…
あきらくんの手は穴だらけ……?(笑)
そうならないといいですけどね~(*´∀`)♪


さてここで1つお知らせです

残念ながら今日はお話の告知ではなく……
これまで毎週更新だった花沢城物語ですが、これより隔週のお届けになります(*-ω人)
毎週欠かさずお楽しみいただいていた方、すみません!
はい……Gip限界です……(T^T)
LINEに全く追いつけません…
ほんとにほんとにごめんなさい(。-人-。)

隔週のお届けになりますが、これまで通りお楽しみいただけたら嬉しいです(*´∀`)


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪



Gipskräuter


この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~また会う日まで・part2~ by GPS
- 2019/09/03(Tue) -





「西田……そろそろだな」
「……さようでございますね」

「よし!海岸沿いにテントを張れ!
で、つくしをそこに呼ぶぞ。手配しろ!」



夏の終わりの砂浜。
ロープを張って保護している場所にもうすぐ…って気配を感じて俺はつくしを呼ぶ事にした。


**


あれは今から2ヶ月前のこと。

西田を伴って海洋資源の調査に自ら出向いたその帰り道、もう暗くなった海岸沿いをリムジンで走っていたら砂浜の真ん中で動くものを見付けた。


「西田…車を停めろ」
「はい?どうかされましたか?」

「何かが砂浜で動いてる……なんだ?」
「……あぁ、あれはウミガメでございますね」

「カメ?!カメがあんなにデカいのか?!」
「ウミガメは大きいものですと2メートル近くになります。
恐らくこの辺りで見掛けるとしたらアオウミガメでしょう。大きさは1メートルと言ったところでしょうか」


「……乗れるのか?」
「……1人なら何とか……乗りたいのですか?」

「いや、何でもない」


何となくあんな大きさを見たらつくしが乗りたがるかと思っただけ……。
俺が乗りたがってると勘違いしてる西田は『乗っても早くはありませんよ?』ってな顔で見てやがった。


「で、なんでこんな夜中に歩いてるんだ?」
「歩く……そ、そうですね。
今はウミガメの産卵時期ですので卵を産みに来たのでしょう。
それ以外でウミガメが陸に上がって来ることはございませんから」

「産卵……西田!見に行くぞ!!」
「はっ?!司様、見るんですか?!」

「勿論だっ!!」


何故かすげぇ興味が湧いて急いで砂浜に向かった。

『道明寺、動物好きになったのね!格好いい♡』……なんか、これって良くね?
『あぁ、人間と一緒でカメの産卵も神秘的だったぜ?』……つくしに自慢してやろっ!

…………人間の産卵なんか見たことねぇけど。いや、出産か?どっちでもいいか!



車から見えたデカいカメがゆっくり砂を掻き分けて、草が生えてる近くまで行くと前肢で穴を掘り始めた。

「西田……あいつは何をしてるんだ?」
「まずは自分の身体ぐらいの穴を掘るのですよ。
それからまだ下の方に卵を産むための穴を後肢で掘っていきます。
深さは全部で60センチぐらいになるそうですよ」

「……まだ終わらねぇのか?」
「司様……まだまだです。
先ほど掘り始めたのでこれから1時間ぐらいでしょうか?」


俺達が見ているにも関わらず懸命に穴を掘る姿に何故か感動した……。
よく判んねぇけど感動した。

そして今度は後ろ向きになって穴を掘り続け、そのうちカメが身体をそこに沈めた。

「西田……おい!こいつ、泣いてるぞ?!い、痛いのか?」
「はい。カメは産卵時に泣くと言われておりますが、実は身体の中の塩分を出してるんです。
痛いから泣いてるわけではないと思いますが……」

「そうなのか……」
「はい。生き物の不思議でございますね」


どうして俺まで息を止めてしまうのか……
西田とジッとその光景を見ていたら、やがて這い上がって今度は砂を掛け始めた。

「……終わったのか?」
「はい。終わったようです。ご苦労様でした、ウミガメさん」

「……万ちゃん、だな」
「は?万ちゃん……ですか?」

「亀は万年って言うからな。あいつは道明寺 万だ!」
「…………す、素敵な名前ですね」


何やら誇らしげな万ちゃんは疲れ切った様子で海に戻って行った。
西田が言うには産まれてくるのは約2ヶ月先……俺はその姿も見たくなった。



**



「テント……しかし、司様。
こう言ってはなんですが、つくし様がお一人で来られるとは思えません。
漏れなく類様がついて来られると思うのですが?」

「……チッ!そうだな。あいつはつくしから離れねぇからな」
「ご夫婦ですから……」

「何処までも邪魔なヤツめ!」
「……ご、ご夫婦ですから邪魔なのはむしろ……」

「何か言ったか?」
「なんでもございません」


仕方ねぇ……類にも見せてやるか。




***花沢城***



「類様……何やら道明寺様から招待状が届いておりますが?」
「招待状?なんの?」

「さぁ?『誕生を祝う会』……と書いてありますが?」
「えっ!道明寺、赤ちゃん産んだの?!」

「つくし……あいつには産めないから」


また、何を考えてるんだろう。てか、誰の誕生?
司からの招待状を開いて見たら……場所が道明寺海岸の南側テント?
そんな所に花沢国国王夫妻をご招待?!

馬鹿じゃないの?!!


「何だかよく判らないけど、行ってみようよ、類!」
「え……行くの?」

「だって最近美作城にも西門城にも行ったもん!道明寺城にも行ってみたいわ♡」
「……いや、海岸だよ?」


………はっ!まさかのまさかだけど、つくしの水着姿を拝みたいとか?
九月だよ?……いや、司の所はまだ暑いし、

『つくし、お前本当に白いな♪』
『いゃん、道明寺。どこ触ってんのよ♪』

『いいじゃねぇか♪』
『もうっ、ばかぁ~』

冗談じゃないぞっ!水着とか水着とかっ!
触るとか……無しだしっ!
絶対、ダメだからっ!!


「類ぃ~、聞いてる?」
「………………」

「類ってばっ!」
「……ぁ……」

「もう、聞いてる?ここ、ほら時間と注意が書いてあるわ」
「あ、あ、うん」

「夜は、少し冷えるかもしれないから羽織るものも忘れない様に、ですって♪」
「……ん?冷える?」

「海岸のテントで誕生を祝う会って、何かしら?」
「さぁ~?」


**


『誕生を祝う会』当日。
約束の時間に合わせて、お昼過ぎに花沢を出発。
何時もの様に 田村と桃、菊、珀、ハル、
三人と四匹の道中だ。

招待時間がゆっくりだから、ぼっち目覚めは回避できたが、

…………何?そのおやつの量……

遠足じゃないんだからっ!って何度言っても聞きゃあしない。
終いには、「途中でお腹が空いたら、どうしよう……」なんて、真剣に悩んでたっけ。

司が指定した海岸の南側テントに着いたのは、真上にあった太陽が大分傾いた頃だ。
砂浜なんてめったに来た事のない四匹は、砂だらけになって、駆け回っている。


「おぉ、来たかっ!」
「道明寺、お招きありがとう♪」

「……で?何の誕生を祝う会なのさ、これじゃ判んないよ…」
「ん?あれ?書くの忘れたか?…亀だよウミガメ」

「「……ウミガメ?……」」


言われて砂浜を見れば、とある一画にロープが張ってあり、そこに、温度計を刺して西田さんがソワソワしている。


「司様、既に孵化は始まってる思いますので砂浜の表面温度が下がれば出て来るかと……」
「おぉ!そうかっ!いよいよだな」


詳しく聞いてみると、2ヶ月程前の偶然の出逢いを話してくれた。


「……で、そろそろって事?」
「ウミガメの赤ちゃんが出てくるの?」

「本当に今夜なの?」
「間違いねぇ、西田が観察日誌を付けてるからな♪なんと言ってもカメちゃんの飼い主と、俺様の勘だ」

「「……………………」」

「まぁ、お茶して食事もして気長に待ってようぜ♪」


テント内のテーブルを挟んで、一休み。
その間も、司なりに色々と調べたり考えたりした事を話してくれた。

ウミガメは、砂浜に産み付けられた卵が孵化して海に帰って行く事。
卵を産みに戻って来るのは、勿論 メスだが、オスは二度と砂浜に戻らない事。
産まれた子亀の生存率は極めて低く、大人になるのは1000匹中 一匹位だという事。

司の話を、笑いながら、時には涙ぐみながら聞いているつくしの横顔が綺麗だった。

気が付けば、太陽は沈み少し気温が下がって来たみたいだ。


「満潮のウチに出て来ると良いんだがな」
「………そうだね、少しでも海に近い方が良いわよね」


テーブルの上には、キャンドルが二つのみ。
子亀が出て来たら、直ぐに消せるように…、
と言う事だ。

夜、地上に出て来た子亀達は、明るい方へ進むのだそうだ。
夜は地上より、海の方が明るいのだと言う。


「……なんか……司が大人に見えて来る…」
「そうよねっ!あたしも思ったっ!」

「ちっ、失礼な奴だな。俺は大分前から大人だっ!」


「司様っ!どうやら始まったみたいですっ!!」


田村さんの声にキャンドルの灯りを消して、つくしが転ばないように手を取って外に出た。そんな俺を横目で見て、ふんって言いながら司も外に出てくる。

って…なんかおかしくない?
俺の方が『ふんっ!』なんだけど?


「あっ……あっ……類っ 見て見て!!
なんか…砂がもこもこ動いてる~!」


つくしはいつも通りの反応を示してじっとそこを見てて、司はそんなつくしを鼻の下を伸ばして見てる。もちろん間に割り込んで邪魔したけどさ。

「………あっ…あっ!出て来たよ!ほらっ、あそこっ!」
「すごいね」
「やっとだな」


一匹目が出て来たらその後はわらわらと砂から這い出して来てて、気付けば海に向かうカメの赤ちゃん達で砂浜はいっぱいになってた。


「こんなの初めて見た……」
「ほんとだね」

「すげーだろ!つくしは絶対に好きだと思ったんだ♪」

「道明寺、ありがとね♪♪」

「ふっ。これで終わりじゃねーぞ!
こいつらがデカくなったらここに戻ってきて、竜宮城に連れてってくれるんだからな♪」

「へっ?……竜宮城……?」
「…………」


象の次は亀?
……司ってほんとにバカなの?


「……司…これって助けた事になるの?……いや 百歩譲って助けた事になるとして………この亀が乗れるくらい大きくなるのにどれくらいかかるか知ってる?」
「はっ そんなの知るか!
この俺様に見守られて海に帰ってくんだ!特別な亀に決まってんだろっ」

「………」

「……司………ほんとにバカだね…」
「はあっ?類っ てめーっ!」

「道明寺!うるさいってば!」
「つくしは俺様の味方だろ?!」
「そんなわけないじゃん。やっぱりバカ?」

「💢💢💢」


こんな神秘的な光景を見ながらこんな話……?
でもまあ俺達らしいのかな?


その後もこの日最後の亀が海に帰るまでをじっと見守ってた。



その日の別れ際。


「道明寺、今日は招待ありがとね♪」
「おぅ。今度は竜宮城だな♪」
「…………」


竜宮城は……無理だろうけど、立派に成長して元気な姿がまた見れるといいな♪





おしまい




今日のお遊び♪


こんにちは~(*´∀`)♪

今日は亀さんです♪

実は小さい頃、祖父の家に亀がいました(*´ω`*)
(いや、話はそこから始まった訳ではないけどね)
けどね、その亀……
よく脱走してた気がする……
そして、いつしか姿を見なくなった気もする……
うーん……その亀は一体どうなったんだろか…
ちょっと怖くて聞けないけどね( ̄▽ ̄;)

なーんて、これを書こうとした時にふと思い出しました(‥ゞ

さて…この亀ちゃん
お礼をしに(なんの??)戻ってくるんでしょうか?(笑)
ま、背中に乗るのはきっとムリよね(*´艸`*)


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter


この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~出来るまで待ってて♪ ドナルド編~ by GPS
- 2019/08/27(Tue) -





「あのさ!何度も言ってるけどこれは無理!
どうして自分の国の事だけ考えるかな!」

「自分の国以外の事まで考えてたら疲れるじゃん。
仕事は出来るだけ簡単に終わらせて人生楽しまないと損するぞ?」


「だからって東との国境の壁の補修、なんで花沢側だけやるのさ!
そっちもやれよ!」

「片方補修すれば暫く保つだろ?
それよか花沢の空軍、なんであの辺の上空にいつも居るんだ?
蒼穹達が困ってたぞ?」


「そいつらの為に配備してんだよっ!!」


どうして総二郎との打ち合わせはちっとも進まないんだろう……。
毎回口喧嘩、しかも一方的に俺が怒鳴ってる気がする。

はぁ……マジで疲れるんだけど!


「じゃあこの辺で終わろうか♪」
「何も解決してないけど?」
「いいっていいって、また今度な~♪」

おちゃらけた総二郎が手をヒラヒラさせながら会議室を出て行く……そして、その足は……!


「総二郎、何処行くんだよ!」
「つくしちゃんの顔見に行くんだけど?」

「出会った頃から変わってないから見なくていいって!」
「いいって、いいって!俺の事は気にすんな」

「俺は気になるんだよっ!!」


俺が叫ぼうが吠えようが一切気にしない総二郎は、足取り軽くリビングに向かった。



「あっ!西門さん、いらっしゃーい!」

「よっ!つくしちゃん、何してんだ?」
「うふふ!美作さんの所で羊さんもらうことになってるの。
だから、その子の毛で毛糸作って類にセーター編んであげたいからデザイン考えてたの♡」

「…………へぇ」


ふんっ……判った?総二郎。
俺達はラブラブなんだよ。お前の入る隙間なんてこれっぽっちもないんだよっ!
そのセーター、いつ出来るのか判んないけど。

……って言ってんのになんで近寄るかなっ!
珀達も総二郎には警戒心ないから尻尾振ってるし。


「なぁ、つくしちゃん……」
「なぁに?西門さん」

「類の事好きなの?」
「……えっ!!何で急にそんな事言うのよっ!
だって、だって……だ、旦那さんだもん……そりゃ♡」

「総二郎、なに聞いてんの?当たり前でしょ、そんなの」

「じゃあさ、大好きな類のためにダウンジャケットもどうよ?」
「……はっ?ダウンジャケット?」
「いや、セーターだけで充分嬉しいからっ!」


…………何考えてんの?
セーター編む時間だけでもイチャつかれなくて嫌なのにダウンジャケットとか無理。
それにつくしは料理は出来るけど裁縫の腕はイマイチなんだから。
めっちゃ時間掛かって大変だって!


「ダウンジャケットって自分で作れるの?」
「ダウンがあったら詰めるだけだろ?
うちにダウンがあるんだけど……使うか?」


「総二郎!何言って……」
「うん!!やってみる!!」

「よっしゃ!決まりだな。
うちの池にアヒルが沢山居るからダウンがその辺にバッサバッサ落ちてるんだよ。
どうだ?見に来るか?」


「えっ!アヒルさんが居るの?見てみたぁ~い!!
ねぇ、類!私を西門さん家に連れてって♥」


「…………」


またそのフレーズ……?
今度は総二郎の城に行くの?ホントに?!
しかも俺のダウンジャケット、落ちてる羽を拾って作られるわけ?


「今はアヒルも発情期だから卵抱えてるヤツも居るけど、フリーなアヒルも居るからな。
遊んでくれると思うぞ?」


「ホント?その卵から1羽だけ白鳥さんが産まれるのかなぁ♥」

「……つくし、それは御伽噺だから」
「つくしちゃん、うちのアヒルからみにくい子なんて産まれる訳ねぇだろ?
全員一級品の美人だぜ?白鳥顔負けのな!」


「…………」


つくしも変だけど総二郎もかなり変じゃない?
どうして産まれるのが全員女の子なんだよっ!


なんやかんや言ってたけど結局総二郎の城に向かう事で話は終わった。


*****


はぁ~

今日もだ……、青い空が眩しい。真夏の太陽も真っ白な雲も、めちゃくちゃ眩しい。

今年の夏二度目のぼっち目覚め……。
あれから、あんまり経ってない…、のに…。

……だからっ!お弁当なんか要らないっ!

とか、楽しげなつくしに言えるハズも無く、
前回同様 ニコニコご機嫌な田村も馬車に乗り込んで来た。

!!何でっ!!って顔に書いてあったみたいで、「西門の第一秘書の山西とも、旧知の仲でして♪」と、
向かい側に座った途端に言われた。

……チッ💢💢💢💢

そう言えばあきらん家に行った時、
「つくし様の手作りっ!有り難き幸せっ!」
って、泣きそうになってたよね。

……弁当の分、給料減らそうかな?
(材料費 + つくしの手作り代 + 俺のぼっち代)
× 10……請求してやるっ!!


馬車の窓から空を見上げれば、蒼穹達が青い空に綺麗な円を描いている。
迎えに来てくれたのかな?良いとこあるんじゃないの?コイツ等♪

…………と、思ってたら、


「あっ!!蒼ちゃん、疾ちゃん、朝陽ちゃんだぁーーー♪」

ピィーーー♪♪ピィーー♪
アサヒ イイコ♪♪


馬車に乗り込んで来た……チッ!
俺でしょ?つくしでしょ?田村にSP達の
珀、桃、菊、ハルの四匹。
そこに、蒼穹と疾風、朝陽。

なんだって、密度の高い馬車内なんだっ!

そんな風に思っていたら、いつの間にか
走壱、壱子、弐子、参子が並走していて、
いつもの三倍の砂埃で西門城に到着した。


「……またまた、すっげえ砂埃だな…」
「………ケホッ…西門さん、今日は宜しくお願いし……ケホッ…ます…」
「総二郎……走壱達、放したでしょ…ケホッ」

「わりぃ、気が付いた時は走り去った後だったんだよ」
「西門様、お招き頂きありがとうございます」

「あぁ、田村さん。山西が待ってましたよ」
「ありがとうございます。では類様、山西の所におりますので……」


「じゃあ、早速 アヒル部屋に行ってみるか?こっちだ」
「……部屋?小屋じゃないの?」

「あぁ、部屋って言っても小屋と変わりないけどな、城内のダウン工房と繋がってるんだ…」
「そうなんだぁ~」

「まぁ、マメに羽毛を回収しないとだからな」
「……回収?」

「本職にする積もりもねぇし、その為に羽毛を毟るなんて以ての他だ。工房って言っても趣味の域を越えてねぇしな」


そんな話をしながら着いたのは、真っ白なアヒルが思い思いに寛ぐ大きな池付きの広い庭だった。


「うわぁーーーー広ぉーーーい♪」

わん!
わんわん♪♪


つくしは感動してきょろきょろと辺りを見回してる。SP達もその足元で興味津々でアヒルを眺めてた。
そこはアヒルが住むには勿体ない程の広い部屋になってて天井も高い。しかも部屋なのに池付きなんだから、アヒルも満足してる……のかもしれない。


「……案外 綺麗なんだね」
「そりゃあ、洗うとはいえ羽毛を使うんだから綺麗にしといた方がいいだろ」

「確かに……」


バサッバサッ……

ガッガッガッ………!


「あぁ……また失敗……」

わぅん……


ガッガッ♪


総二郎と話をしている横でつくしはアヒルを捕まえようと追いかけては逃げられてる。
そんなつくしを見て総二郎はアヒルに近寄っていとも簡単に一羽のアヒルを捕まえた。


「ほらよ、つくしちゃん♪」

「うわ~、ありがとう!!」
「こいつ、ドナルドってんだ」

「じゃあ、あれは?」
「あれもドナルドだ」

「みんなじゃん………」
「美作さんちのメリーさんみたいなもんなのね!
でもやっぱり飼ってるだけあって捕まえるの上手だよね~!」


「まあな♪♪」

「私、全然捕まえられなかったのに~」

「けど つくしちゃん、お手柄だぜ♪足元見てみろよ」
「えっ?お手柄?足元?」


言われてそこを見てみれば、地面を模したのか焦げ茶色のフローリングに真っ白な羽がちらほらと落ちてた。

なるほど……このためにこんな色してたんだ。色々考えられてるんだな。ただの道楽って訳でもないんだ。
ほんのちょっとだけ総二郎のこと見直したかも……?


「つくしちゃんはダウンジャケット作りたいんだよな?そうなると……結構な量の羽が必要になるけど待てるか?
ま、こうして時々家に来てアヒルと遊んでくれりゃあ 少しは早くなるかもしんねぇけど?」

「来ていいの?!うん、来る来る!!
類、いいでしょ?その方が早くダウンも作れるよ~♪♪」

「…………………」


さっきの……やっぱり前言撤回!
そうだよ!
総二郎ってこういう奴だよ!!
ニヤニヤしながらこっちを見てるから余計にムカつく!


「類も忙しいだろ?来るときは連絡くれれば送迎もしてやるからな♪♪」
「えっ?本当~?!やった~♪♪♪」

「………ない」

「はっ?」

「送迎なんかいらないから!!」
「つくし、いい?
ここに来るときは俺と一緒だから。黙って勝手に来ちゃダメだよ?分かった?」


「うん、分かった~!
類と一緒に来れるなんて嬉しい~♪」



そうでしょ!
ほらほらっ、もっと言ってやってっ!

ってか、総二郎!
聞こえないフリなんかするなよ!!
ここ大事なとこなんだからっ!


俺と総二郎の間で火花がバチバチッとしてる中、つくしはもうダウンの事で頭がいっぱいなのか、その辺の羽を集めてはアヒルを追っかけ回してる。勿論、出来た……?SP達も一緒だ。


「つくしちゃん、当分はダウンに夢中だな♪♪」


勝ち誇った顔してニヤッて笑うんだもん。
タチが悪すぎじゃない?


「夢中になるのは俺!!のためだし♪♪」


あーあー、悔しそうな顔しちゃってさ。
くすっ。

煽ったのは自分でしょ!ふふん♪
つくしを独り占め出来るのは俺だけなんだから♪♪



この日集まる羽毛がダウンの何パーセントを占めるのか………?

ちょっと考えたけど、あまりにも果てしないような気がしたから考えるのは止めた。

どうせ暫く通わなきゃいけなくなったんだから、思いっきりイチャついて見せつけてやろっと♪♪




おしまい


こんにちは~(*´∀`)♪

今日の花沢城はドナルド……アヒルさんの登場です♪
以前はメリーさんで毛糸から手作りの手編みのセーター…でしたが、続く?ドナルド編は手作りのダウンジャケット…

いやいや、だからね……一着のダウン作るのにどのくらい羽毛が必要なのかなんて知らないっつーの! (笑)

そしてこれを書いてる今現在
調べた物は全て抜けました……
どのくらい必要なんですかねぇ?(笑)
途方もない量だった気はする……(*´艸`*)

今シーズンに間に合うんでしょうか……?
頑張れ!つくしちゃん!!


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter


この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~雨宿りはバスルームで~ by GPS
- 2019/08/20(Tue) -





ちゃぷん……ちゃぷん……


「ねぇ、類……外は凄い風だねぇ」
「ん?あぁ、台風が近づいてるからね。
でも大丈夫。少し南に進路がズレてたから」



1日の終わりのバスタイム。
つくしとのんびり風呂に入っていたけど窓の外ではゴーゴーと暴風雨。

だからかもしれないけどちょっと俺の方に寄って来て、ピタッとくっついてる。
そして不安そうに窓の外を見つめながら眉を顰める……くすっ、そんな可愛いところがあるだなんて。

「心配ないって。城が崩れるわけないでしょ?
それに何かがあっても俺が守ってあげるからさ……ね、つくし」


台風の最中になにやってんだ?って言われそうだけど、こんなに怯えるつくしも超レアものなんだもん。
少しぐらいいいよね?って素肌の肩を抱き寄せたら……


「道明寺、大丈夫かしら」
「………………は?」

「だって南に進路変えたんでしょ?
怖がってないかしら……」


「…………あのさ、司が怖がるわけないでしょ?
むしろ台風に向かって暴言吐いて進路変更させるか、道明寺空軍を出動させて迎撃ミサイル打ち込んでるよ。
もしかしたら闘司郎が前線に出されてファイティングポーズとってるかもしれないし。
それに万が一怖がってても地下シェルターで頭から毛布被ってるって」


「……道明寺の心配じゃなくて大ちゃんと小ちゃんだよ。
道明寺なら西田さんが守ってくれるでしょ?」


「………………」


司を守るの、西田さんなんだ。
どうやって守るのか見てみたいけど。


「そんな事よりさ……怖いの忘れるために何したらいいと思う?」
「……え?」

「くすっ……こうしたら忘れられない?」
「あっ…類ったら……」


ちゃぷん……
つくしの腕をもっと引き寄せて、その唇まであと数センチって所まできたのに……


「あああーーっ!!」
「な、なにーーっ!!」


バスタブの中でつくしが思いっきり大声で叫んで俺の首に両手を巻き付けてきた!
…………それはそれで楽しいんだけど。

じゃなくて!
つくしが俺の後ろを指さしてアワアワしてる?すんごい大きな目をして口まで開けて。


「る、る、類っ!!何か居るっ!!」
「……は?ここバスルームだよ?何が居るって?」

「だって、だって、ほら、あそこ!!真っ黒いの!」
「真っ黒?黒いものって……?」

つくしを抱きかかえたまま振り返って見たら…………


天井から何かぶら下がってる。

確かに真っ黒……って、もしかしてあれ……
「脊椎動物亜門哺乳綱蝙蝠目」……所謂コウモリじゃないの?


「つくし……何処から入ったのかは判んないけどさ、あれはコウモリだよ」
「コウモリ?血を吸うの?!」

「血を吸うコウモリもいるけどここには居ないよ。
住む場所が限られてるし、人の血を吸うコウモリは1種類しかいないからね」

「そうなんだぁ……驚いた!
台風から逃げてきたのかしら」


「どうだろう……?風で飛ばされて来たのかな」
「……可哀想ね」


可哀想か……?
さっきの俺の方がよっぽど可哀想だったけど?
めっちゃいい所で邪魔された感じだったけど。


パタパタパタ…………


「あっ!類、コウモリさんが飛んで行ったわ!
ドアの方に……ま、待ってぇ!」


「はっ?!つくしが追い掛けてどうするの?」

コウモリが飛んだからって慌てて素っ裸のつくしがバスタブから飛び出してドアを開け、その拍子にコウモリは脱衣場に!
それでも「待ってぇ!」なんて追い掛けるから今度は……え?!まさかバスルームから出ちゃうの?!


「つくし、あんた!自分の姿を見なよ!
すっぽんぽんだよっ!!つくしーーっ!!」



俺も慌ててバスルームから飛び出したけど脱衣場につくしの姿もコウモリも居なかった。
見ればドアが開いてる……まっ、まさか?!

慌ててバスタオルとパンツをひっ掴んで、脱衣場から飛び出した。


「つ、つくしっ!」
「はっ!る、類様っ!!」

「類様っ!!なんと言う格好ですかっ!!」
「田村っ、つくしは?」

「つくし様でしたら、先程すれ違いましたが?」
「…つくしの裸…見たの?」

「はっ?」
「見たんだね?」

「……つくし様は、ちゃんと夜着でしたよ?それよりも、類様ですっ!何ですか?その様な姿で…」
「………………………………」


男同士なんだから別に良いじゃん…、なんて言えるハズも無く、田村のお小言を聞きながら身体を拭いて、パンツを履いて湿ったバスタオルを押し付けた。
急いで夜着を身に着けて、つくしを探して廊下を走った。

ベッドルームを覗いたけど、居ない。
何処に行ったんだろう……?
珀達の所かな?


「……ゎん?」
「ごめんごめん、おやすみ」

………………居ない……。

リビングの扉が開いてるのを見つけて覗くと、台風だからと部屋の中に入れたタニシの水槽の前に踞る愛妻の姿。


「つくし…探したよ?」
「あ、類。あのね…コウモリさんを追い掛けたんだけど、何処にも居ないの…もしかしたら、水槽に落ちて溺れてるんじゃないかと思ったんだけど、ここでも無いみたい…」

「……髪が濡れたままじゃん、乾かそ?」
「…うん…類もね♪」


『何処に行っちゃったのかしら?』を繰り返すつくしを宥めながら、ベッドルームに強制連行。
何時もの様にイチャイチャしながら、お互いの髪を乾かす最中も、あの黒い奴を気に掛ける。


「ねぇ、あのコウモリさん大丈夫かしら?」
「……大丈夫だよ……。こんな雨の中態々外には行かないでしょ」

「……そうかな?」
「そうだよ。それよりさ♪」

「ん?なぁに?」
「さっきの続き……いいよね?♪」


返事なんて待ってらんないっ!何かを言おうとしただろう可愛いお口を塞いで、
ふかふかのベッドにダイブ♪

さて♪さっきの続きを…と、体勢を変えた処で再び俺の首に両手が巻き付いて来た。

……… deja vu …


「あぁーー!居たぁーー!!」


……おのれっ!一度ならず二度までもっ!!
振り向いた時には、愛妻は俺の下から抜け出し、コウモリを捕獲しようとしていた。

……そいつ、捕獲してどうすんのさ…


ドンドンドン、ドンドンッ!


「類様っ、つくし様っ!如何なさいましたかっ!!ご無事ですか?類様っ!!」


つくしが部屋の中でコウモリ相手にドタバタしてたからか、心配になったらしい田村の慌て振りが可笑しくて笑いながら扉に近づいた。

「くすっ、何でもないよ。今開けるから」
「あっ……!」

カチャッ

「あぁーーーっ!!」

「んっ?つくし?どうしたの?」


パタパタパタ…
パタパタパタ…


「わっ!!」

「…………」


なんか…黒いのが横切った……?
はっ……今のはすっごくマズかったんじゃない……?


「る…類様……今…私の目の前を……黒い物体が………」

目の前の田村はさっきまで扉をドンドン叩いてた人物とは思えないほど動揺してるし、後ろからは痛いほどの視線が突き刺さってる………。


「るーーいーーっ!
何でドアを開けちゃうかなぁぁ?!」



うわっ…怒ってる……


「ごっ、ごめん!」

振り返ったら鬼の形相……とまではいかないけど、頬をぷくっと膨らませてジロリと睨まれた。
その顔さえも可愛いんだけど、怒ってるつくしにそんな事言ったらまた怒られるから黙ってた。


「あの……類様、つくし様。
これは一体どういうことでしょう?先程の…黒い物体…は何でございますか?」


つくしに怒られる俺を見かねて助け船を出したのか、疑問を早く解消したかったのか……。田村は俺とつくしを交互に見ながらそう言うから、ここに至るまでの経緯を説明した。


「……コウモリ…ですか……」

「田村さん?コウモリどっちに行きました?」

「はぁ……あちらに飛んで行きましたが……」

そう言って田村が指差したのはキッチンへと続く廊下だった。
横をすり抜けて部屋を出て行こうとするつくしを引き留めた。

「もう違うところに移動してるかもしれないし、遅いから明日にしよ?」
「でも………」

「うん…俺がドアを開けなければ逃げなかったよね、ごめんね。でも捕まえてどうするの?狭いカゴに閉じ込める?」
「そ、そんなつもりじゃ……」

「今はさ夜だし嵐だし外に続く扉は全部閉まってるでしょ?
朝になって台風が遠ざかってれば、皆が起き出して開けっ放しの扉とかもあるかもしれないけど、コウモリって夜行性が多いからどこかに隠れて寝てるんじゃない?」


「………そうかな?」
「多分ね。だから今日はもう寝よ?」
「………うん」

「騒がせて悪かったね、田村。
そういう事だからおやすみ」

「田村さん、ごめんなさい。
おやすみなさい」


「はい、おやすみなさいませ」


ふぅっ やっと寝れる……

正直 明日にはどうなってるのか分かんないけど、相手はコウモリだもんね。いなかったらいないで仕方ないし!

さっきの続き……なんて思ってたのにつくしは心ここにあらず……。
俺って実は動物に邪魔される星の元に生まれたのかな?なんて思いながら、つくしを抱きしめて眠りについた。



翌日からつくしの「コウモリ大捜索」が始まった。
珀を先頭に四匹を引き連れて城の中を歩き回ってる。


「コウモリさんどこにいるかしらね~?」

ゎん?
わわん♪


「つ、つくし様~!!
こちらにコウモリが………あっ………!」


「つくし様、先程キッチンにコウモリが……!」


「はーい!!珀、行こっ!」

わん!
わんわん♪


「はあっ……またすれ違いだったね………」

ゎん……


使用人からの目撃情報は続々あがるのに、つくしは未だに会えずじまいらしい。


パタパタパタ…
パタパタ………


「つくし~!!いたよ~っ!!」

「はーい!今行く~っ♪♪」

わんわんっ♪


パタパタ…
パタパタパタ………


「あっ……」



どうやら花沢城コウモリ大捜索はまだまだ続くらしい。




おしまい




今日のお遊び♪



こんにちは~(*´∀`)♪

今日はコウモリです!
類くんファンの方なら由来はきっとご存知ですよね?(笑)
そのコウモリネタ、まだまだ健在です(*´艸`*)

知らない方のために?ちょっと解説?

それはいつぞやの類くんイベント前のこと

作家様のお宅にコウモリが侵入!
そのコウモリ、勢いあまって?お風呂にちゃぷん……
作家様はコウモリを救出したんですが、それをお仲間に報告したら、類と命名され……(笑)
そんなこんなでコウモリネタは続くのです(*´艸`*)


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪



Gipskräuter
この記事のURL | 未分類 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~出来るまで待ってて♪ メリーさん編~ by GPS
- 2019/08/13(Tue) -




「じゃあ今日はこのぐらいで終わろうか。
やっぱりあきらとの打ち合わせが1番スムーズに終わるね」


「総二郎と司だとおちゃらけてるのか喧嘩してるのか判んないからな」
「言えてる」


仕事の話を終えて握手を交わし……
さっさと城から追い出そうとしたら、俺の横をすり抜けて「牧野~!」って言いながらリビングに走って行くあきら!

だから牧野じゃないし!!何度言ったら覚えるんだ、こいつっ…!
いつもおっとりしてるクセにこの時だけは凄く素早い……気が付いたらもう廊下にはあきらの影も形もなかった。

急いで俺もリビングに向かったら、あきらは既につくしの真正面で、まるで此奴がここの王であるかのように座ってる。
そこ……俺の指定席なんだけど?って睨んだって効果無し!

全く、そういう所は2人と変わんないんだから!


「牧野、何見てんだ?」
「あきら、牧野じゃないから」

「つくし、何見てんだ?」
「だから!!つくしって言うな!俺の奥さんなんだから!!」

「……ん?ちょっと待ってね……今ね、色々と……」


あれ?珍しくつくしが真面目な顔して本を読んでる。
何を読んでるのかと思ったら……編み物の本?

えっ……もしかして、俺に編んでくれるのかなっ?!

…………いや、ここで珀達のマフラーだって言われたら流石に傷つくな。
つくしから言われるまで黙っとこ。

でも、チラッと見たら珀、桃、菊、ハルもつくしの横で尻尾振ってる。
まさかと思うけど……思うけど……思うけど……。


「つくし、言っとくけどSPにだけ特別なことをしたら城内の動物保護条例に反するからね?
みんな平等、みんな仲良し、依怙贔屓なし!!これ、決まりだからね?」


「なに言ってんだ?類」
「そうよ、なんの話?」

「……何でもない」

「あのねぇ……類にセーター編もうと思うんだけどね
「あっ!俺のなの?!」

「……類、お前……」
「何考えてたの?」

「……何でもない」

「あのね、特別なセーターにしたいのよね~。出来たら自分で染めたいなって思って。
でも、そんな事出来ないしねぇ……毛糸作るわけにもいかないし」

「……うん、流石に毛糸はね。羊毛とかないし」

「うちにあるぞ?」


「えっ!美作さん家、羊毛があるの?!」
「………………」


なんだろう、今、凄く嫌な予感がした。
背中がゾクッと……ザワッとしたんだけど。


「あぁ、この前うちのメリーさんの毛を刈ったばかりだから沢山あるぞ。
なんなら取りに来るか?どのぐらい必要か判らないし、毛糸職人もいるから聞いてみるか?」


「うんうん!行く~!!
ねぇ、類、私を美作さん家まで連れてって?♥」


「え!あきらの所に?」
「うん!いいでしょ?いいでしょ?
類も一緒に行きましょ?みんなで行きましょうよ~!!」


「あぁ、いつでも来いよ。牧野1人でも全然いいけど」
「だから牧野じゃないって!!」


昔の映画のタイトルみたいなお願いのされ方にちょっとはグラッとしたけどさ。
だけど本当に行くの?ねぇ、行くの?


「羊さん、何匹ぐらい居るの?」
「さぁ?放牧してるから数えたことはないけどなぁ……結構な数居るぞ?」

「きゃあーっ!見てみたーい!!」
「来ればすぐに見られるよ。丁度毛を刈ったばかりだから寂しいけどな」

「………………」
「………………」

「なんで俺の頭を見るんだよ、2人とも」


何だかよく判らないうちに話が決まり、つくしと俺は珀達を連れて美作城に行くことになった。

目的はメリーさんの毛……。
いっその事、俺の好きな毛糸を買ってこようかと毎晩悩んだけど、とうとうあきらの城に行く日になってしまった。


雨でも降ってくれれば いいのに…と思ったのは内緒だけど、今日は「これでもかっ!」と言う程の晴天。

……あぁ、青い空が眩しい。真夏の太陽も真っ白な雲も、めちゃくちゃ眩しい。

俺の愛妻は何だかとっても嬉しそうで、朝早くからお弁当作りに抜け出したようだ。
目が覚めた時、俺はベッドに独りぼっちだった。

………最悪っ!!

……ピクニックに行く訳じゃないんだから…
なんて言えるハズも無く、
あきらや碧のお弁当にまで気を配るのが、何だか気に入らない。

花沢御用馬車に珀達四匹と共に乗り込み、
何故だか知らないけど田村も同行。
美作の第一秘書の村山さんとも仲が良いらしい、
「村山と会うのは久しぶりなんですよ♪」
なんてニコニコしている。


「楽しみですね♪田村さん」
「えぇ、とても」

………チッ💢💢……

ここで、田村の弁当まで作ったの?なんて聞けるハズも無く、悶々としてるうちにあきらの城に着いた。

あきらと第一秘書の村山と碧に出迎えられて馬車を降りると、見知った奴等が勢揃い。
他人(ひと)ん家の池で洗濯しまくる奴、他人(ひと)ん家の庭に穴を掘りまくる奴……、
今日はつくしが来るのを知ってるから、花沢に行ってないんだ…と思ったらムカついた。


「じゃあ、早速メリーさん達の所に行ってみるか?」
「うん♪ありがとう」

「楽しみだね、類♪」
「……………」



「うわぁーーー!広~い♪♪」


つくしの声に驚いたのか、囲いの中のずぅーーっと奥にある大きな木の下に居た羊御一行が一斉にこっちを向いた。
……と思ったら、ワラワラと寄って来た。

うわっ!壮観だな……何匹居るんだろう…


「毛を刈って間もないから貧弱に見えるけど、来年の春はモコモコだぞ♪」
「可愛いわねぇ~♪」


メェ~メェェ~♪
メェェ~~♪♪


「皆、驚かせちゃダメよ」

「「「「……ゎん…」」」」


珀、桃、菊、ハルの四匹は、初めて見る羊の集団に興味半分、ビビり半分。
尻尾も振ったり丸めたりで、これだけ広い草原なら直ぐにでも遊びの催促をするハズなのに、それすらも忘れてるらしい。


「次は本題な♪毛糸職人の所だ。話は通してあるから、ゆっくり相談すると良い」
「うん♪何から何までありがとう、美作さん」

「あぁ、気にすんな」


………💢💢何でそんなに嬉しそうな顔してんだよっ!あきらはっ!💢



早速毛糸職人の元に案内されたつくしは、頬を緩ませてあれやこれやと質問攻めにしてる…みたいだ…。

………みたい
そう…みたい、なんだよ!

だって仕方ないじゃん!
つくしに『類は来ちゃダメ~ッ!!』って言われちゃったんだもん…。
だからこうして外から中を覗くしか確認する方法がないんだよ。

もちろん、つくしの後に続こうとしてたあきらもちゃんと阻止したし!!


「ぷっ。そんなにお姫様が気になるか?」
「………」


そういうあきらだってさっきっから隙あらば覗こうとしてるじゃん!!
絶対にさせないけどねっ!

一緒に閉め出されたSP達にあきらを監視させてちょっとでも動こうものなら……てね!


つまんないな…。
早く終わんないのかな?


そう思って中を覗くんだけどさ、にこにこしてるつくしの顔見たら『早く終わらせて帰ろ』なんて言えないじゃん!
ほんとつまんない!!


「……寝る」
「はっ?」

「珀、桃、菊………ハル…!
俺が寝てる間あきらをここに近づけちゃダメだよ?ちゃんと見張り出来るよね?」


「おいっ!」

「わん!
わんわん♪♪」


あきらの非難の声は無視!
SP達の頼もしい返事を聞いた俺は、窓際の下を陣取って壁に凭れて目を閉じた。





「類?お待たせ~♪る~い?」

どのくらい寝てたのかその可愛い声に目を開ければ、目の前につくしの顔が飛び込んで来た。
その後ろにはSP達がいて、更に向こうにはあきらがいて苦笑してる。

ふふっ。
うちのSP達頑張ったんだ♪♪
今日はご馳走でも用意してあげようかな♪


「やっと起きた~♪」

「…どうだった?楽しかった?」
「うん♪
だけどね……類…あのね」



言葉を詰まらせながらつくしが教えてくれたのは刈った羊毛が毛糸になるまでのあれこれ。
大変な作業なんだろうな~とは思ってたし、つくしがそれをどこまで理解してるのかな?なんて疑問にも思ってたけど、想像の範疇を超えててすでにキャパオーバー気味みたい。

ま、そうだよね。一日あきらの所に来た所で直ぐに毛糸が出来る訳ないんだし。かといって、あきらの城に毎日通うなんてお断りだし!


「それでね…類。私ちょっと考えたんだけど………」
「ん?」


………なんか、すっごくイヤな予感がする…。


「あのね…、私やっぱり今年はセーターは諦めようと思うの……類には申し訳ないんだけど」
「それでいいよ」


だってこれから毛糸作って、出来上がったらセーター編んで…じゃ二人の時間がなくなっちゃうしね♪
俺としては手作りのセーターは嬉しいけど、二人の時間の方が大事だし!

俺のイヤな予感もたまには外れるんだ……よかったよかった♪


「それでね……聞いた話だとね………」
「えっ?」


まだ続きがあるの?!


「羊さん一頭から4~5キロの羊毛がとれるんだって!それだけあればセーターも何着か編めるみたいだし、これから羊さんを飼い始めて、機材なんかも用意したら、お城で好きな時に自由に毛糸を作れるんじゃないかと思うの♪♪」
「…………それって」

「くくっ。それなら年が明けたら出産時期に入るから、気に入った子がいれば譲ってやるよ」
「はっ?」
「えっ?ほんとに?いいの?!」

「あぁ、俺は大歓迎だよ」
「わーい、嬉しい!美作さん、ありがと~♪♪」

「………」


ねぇ…俺の存在忘れてない……?
俺…『いいよ』なんて一言も言ってないんだけど?
やっぱり俺のイヤな予感って当たるんだ…


がっくりしてたら、つくしと目があった。もちろんいつもの通りその瞳は……キラキラしてる。

……うん…勝てる訳ないよね…
それにしてもあきらのニヤニヤ顔がムカつく!!


「分かった……いいよ。
ただし、つくしの編んだ物はこいつらにあげちゃダメだからね?お礼とかもなしだからね!分かった?」


訳分かんないって顔してるけど、そこは譲れないからね!!
じっと返事を待ってたらつくしは小さく頷いた。

「……この子達ならいい?」

未だあきらを威嚇し続けるSP達を見ながら、今度は目をうるうるさせてる。ほんとに俺の奥さんは………。

「前にも言ったけど城内の動物保護条例に違反しちゃダメだよ?みんな平等だからね?」
「うん♪」


すっごく嬉しそうに頷いてるけどほんとに分かってるのかな?
はっ…もしかして全員に作る気?
そんなことしたら俺との時間がなくなっちゃうって気付いてる?


とは思ったけど…あきらもいるし、いや、いなかったとしてもそんな事言えないし……。
あっ、俺が上手く誘導して作らせないようにすれば全部解決じゃん♪
忘れないように田村に伝えとかなきゃ!


あれっ?そういえば田村ってどこ行ったんだっけ?
ま、いっか!子供じゃないんだし。
これ以上問題が増える前にさっさと帰ろ!


「つくし、そろそろ帰ろ?」
「は~い♪
美作さん、今日はありがとう~!」


「あぁ、またな!」


来年になれば仔羊に会える嬉しさからなのか奥さんはご機嫌で、田村の存在は忘れてるみたいだ。

二人揃って馬車に戻ったら、当然の如く田村はそこにいた。

田村が事の成り行きを知って驚くのはもう少し後のこと………。




おしまい



今日のお遊び♪
数が多いとどうしても………ね(笑)


こんにちは~♪
今日は美作城のメリーさん……羊さんです(*´∇`*)

いくら手作りって言ってもね~
毛糸からって…流石 花沢城!
いやいや手間かかりすぎでしょ!(笑)
でもでも普通に手作りじゃ動物達の出番ないしねぇ?
ってか、セーター1枚編むのにどのくらいの羊毛が必要なのかなんて分からないですよね(笑)
ほんとGoogleサマサマです(*-ω人)
それぞれ調べ物が多いんですよ~(((*≧艸≦)ププッ
常に真面目に調べてますとも!キリッ


お付き合いくださりありがとうございました( `・∀・´)ノ


Gipskräuter

この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~中くらいの恋の話~ by GPS
- 2019/08/06(Tue) -





<道明寺城>

「シゴトシロ!バーカ!」
「喧しい!てめぇが居たら仕事が出来ねぇんだよ!!」

「アホウ!アホウ!!」
「阿呆って言うヤツが阿呆なんだよっ!バーカ!」


……自分で言うのもなんだが、すげぇ馬鹿馬鹿しいやりとりのような気がする。
何でこの俺が司郎丸にコケにされながら仕事してんだ?

ブツブツ言いながら書類を眺めていたが読めない字がある……くそっ!!


「司様、お仕事の最中に申し訳ございませんが」
「何だ?お前のカメレオンなら知らねぇぞ?」

「カメちゃんは大人しくブーゲンビリアの木で昼寝をしていますので大丈夫です。
あぁっ💦そうではなくて、楓様から贈り物でございますよ?」

「は?ババァから?」

「はい。お庭に居ますからどうぞお越し下さいませ」
「待て!」

「はい?何でございましょう?」
「贈り物が何で『庭に居る』って表現になるんだ?」


何となく類の気持ちが判った瞬間……あいつは動物が好きみたいだからいいが、俺には大問題だ!
自慢じゃないが馴れてるのは小司郎と大司郎だけ。
静司郎は理解不能だし、闘司郎は自由気儘だし、司郎丸とは相性最悪だし、烏は解散したし、パンダは野生だし。

「まさか、それは生き物じゃねぇよな?」

「……生き物でございます。
司様が最近ペットを飼われたとの噂を聞かれたようですが、それがいずれも楓様のお好みではなかったようでして……」

「俺の好みでもねぇよ!!」

「そ、そうでしょうけど、この度の子はなかなか綺麗でございますよ?
きっとつくし様もお喜びだと……」

「……つくしが喜ぶ?」
「はい!この子を連れて花沢城に遊びに行かれては如何でしょう?」

「……よし!見ようじゃねぇか!」


そう言って西田と一緒に庭に行ってみると……居た、真っ白な……馬?


「西田……これは何だ?」
「ポニーのメスでスピカでございます。
スピカとは真珠星という意味もあり、楓様がお付けになりました」

「ポニー……馬だよな?小っさくないか?」
「ですからポニーでございます。
ポニーとは肩までの高さが147センチ未満のものをいいまして、スピカはウェルシュマウンテンポニーと言う種類で体高は130センチですね。でも、ショーにも出るほどの美しい毛を持ってるんですよ」

「……乗れるのか?」
「……司様はお止めになった方がいいかと思いますが
つくし様ならお乗りになると可愛らしいでしょうねぇ」


「花沢に行ってくる!!」
「今からですか?!」


真っ白なポニーにつくしを乗せて、俺が散歩をさせてやるっ!

待ってろよ、つくし!!
馬に……ポニーに乗せてやっからな!!



**花沢城**



「やっぱり綺麗ねぇ、黒ちゃん!今日も艶々ふさふさの鬣~♥
後で三つ編みにしてあげるね!」



……今日も来てる、あきらと黒曜星。
ラスカルの迎えだって言うけど、今までそう言って連れて帰ったこと殆どないよね?
ウサギだって飼ってるんだから人参には困ってない筈なのに「花沢の人参が好きなんだよな!」って……それ、嘘だよね?


「黒曜星に乗るか?」
「うん!菊ちゃーん、来てぇ!」

わん♪

「いや、俺が乗せてやるよ」
「ホント?じゃあ……」
「菊次郎!!つくしを乗せてやって!!」

そこであきらの腕につくしを任せる訳がない!
判っててもそんな事言うんだから、油断も隙もあったもんじゃない!


「…………ケチ!」
「誰がケチだよ!あきら、睨んでもダメ!」



その時、後ろから田村が声を掛けてきた。


「類様、道明寺様がお見えでございますよ」
「………司?」

「………えぇ……」
「田村、その『間』は、何?」
「……………………………………」

「動物連れとか?」
「…………」

「返事は?……連れて来たんだね?」
「……はい……」

………チッ………どいつもこいつもっ!!
動物で俺のつくしが釣れると思ったら 大間違いだからねっ!!!


「きゃーー♪道明寺ぃ~何々?ポニーさん?」
「お、おぉ」
「…………………………」

「どうしたの?この子道明寺の?」
「あぁ、可愛いだろ?真っ白なんだ♪」
「…………………………」

「お名前は、なんて言うの?♪」
「ス、スピカだ。真珠星とも言われてる星の名前だな♪」

「きゃ~♪素敵なお名前ね♪♪スピカちゃんね」
「ま、ま、まぁな♪」
「……それ…司が付けた名前じゃ無いでしょ?」

「な、なんだよっ!」
「司がそんな綺麗な名前、あり得ないもん」

「……ぷっ」
「あきらっ、笑うなっ」

「ぷっくくくっ」
「笑うなって言ってるだろっ!!」


「ねぇねぇ、黒ちゃんと星繋がりだわ♪仲良くなれると良いわね♪♪」


つくしの一言で、俺達の視線はスピカと黒曜星に……、
…………何だろう……黒曜星がソワソワしてる気がする……。


「ね、ねぇ。あきら」
「ん?なんだ?」

「黒曜星って何歳なの?」
「ん?どういう事だ?」

「……いや、繁殖とかさ」
「あーそっちな、そろそろお年頃だと思うけど」

「で、司のスピカは?」
「……知らん…/////…」

「……知らんって…何 赤くなってんのさ」
「俺のスピカに恋だの何だのは、まだ早いっ!」

「スピカ~、ウチに嫁に来るかぁ?黒曜星は紳士だぞぉ~♪」
「はっ!あきらっ、スピカは嫁になど出さんっ!」

「スピカ、何の心配も要らない、大事にするからな」
「……💢💢💢…絶対やらんっ!!」


二人の親バカ?飼い主バカなやり取りを他所に、黒と白の二頭は良い感じに仲良くしている。
本当に、もしかしたらもしかするかもしれない。人間と同じで動物だって運命的な出逢いはあるからね♪


「ねぇねぇ、類」
「黒ちゃんとスピカちゃん、仲良しになったみたいね♪」
「ん、そうだね」

「どんな子が産まれるかしら?凄く楽しみね♪」
「……つくし…気がはやいよ……」

「え~だってぇ~黒ちゃんの子供だよ?すっごくスマートで、すっごくフサフサな子が産まれるに決まってるわっ♪♪」
「…………そ、そう……かな…」

……産むのはポニーのスピカだよ?とは言えず、田村に助けを求めようとしたら、目を逸らされた。

「ねぇねっ、類!私ね~、ダルメシアン柄の子が産まれたら飼いたいな~♪」
「えっ……ダルメシアン?」

「うん♪♪」
「………」

えーと…いいけどダルメシアン柄限定なの?なんか総二郎の日向が二匹いるみたいじゃん!それにそれに、産まれる可能性ってそんなに高くないと思うけど?
……なんて、楽しそうに言ってるつくしには言えない。
結果、田村と目を見合わせて無言を通した。


「はっ、バカだな、つくし!
ダルメシアン柄なんて産まれる訳ねーだろ。産まれるのはシマウマだ!!」



はっ?
シマウマ?
それ本気で言ってる?

当然のように目と目を合わせるのはあきらと田村だけ………。


「えっ、黒ちゃんとスピカちゃんからシマウマさんが産まれるの?
でもそれってなんだかおかしくない……?」


「黒と白なんだからシマウマだろ?全然おかしくねーじゃねーか!」
「…そ……そうなのかなぁ…?」

「「「……………」」」


……あのさ
最早どこから突っ込めばいいのか分かんないんだけど……

司ってばふざけてるんじゃなくて……本気だよね…?
……そうだよ
最近まで子象は空を飛ぶと思ってたくらいだもん……


「ねぇ類?類はどう思う?」

ダルメシアン柄を否定されて、その上、産まれて来るのはシマウマだと断言されて、救いを求めるような目でつくしは俺のジャケットの裾を掴んでる。


うっ……可愛すぎる……
あー、もう!
早くこいつら追い返して二人っきりになりたい!!


「……類?」

「ん、あ…ごめん。
黒曜星とスピカでしょ?
ダルメシアン柄はなくはない……かもしれない。
でもどっちかって言うとホルスタイン柄じゃないかな?…けど、シマウマはないよね」

「そうよね!やっぱりないわよねっ!」

「ほらー、類がこういってるんだからシマウマは産まれないのよ~!」
「そ…そんな訳ねーっ!」

「いや、もうシマウマはいいからさ……」


司は意地になり始めるとすっごくタチが悪い。だからもうこの話を終わらせたいんだよね。
ちらっとあきらを見たら、下を向いてて肩が小刻みに震えてる。笑いを堪えてるのバレバレじゃん。

こういうのを収めるのはあきらの仕事でしょ?!なんて心の声を投げかけても俯いてるあきらには届かない。

そっちがそういう態度なら……!


「ねぇ、あきら?
これから用事あるんじゃなかったっけ?」

「はっ?」

「さっきあるって言ってたよね?ねっ?」
「…あぁ…そうだったかな」

どうやらジロリと睨んだら俺の意図が通じたらしい。これ……司にも通じるようになると有り難いだけどな。

「黒曜星!今日は帰るぞ~。
スピカとはまたいつでも会えるからな。
ちゃんと挨拶しとけよ~」


ヒヒ~ン♪


あきらが黒曜星に跨がって帰ろうとしたけど……あれ?なんで止まるの?
黒曜星、足を止めなくていいからさっさと進路を北に!!

ジロッと睨んだけどその足はいつもに比べてめっちゃ遅い。

いや、見てるからいけないんだと思ってクルリと背中を向けたら……はっ?!今度はスピカがこっちを見てる?
どうしてスピカが泣きそうな顔して見てるの?!

まさか、まさか……ホントに恋が始まったの?!


「よし!じゃあつくし、スピカに乗せてやる。来い!」

「えっ?うん!でも大丈夫かしら……スピカちゃん、小っさいし」
「つくし、怖いなら止めときな」

「大丈夫だって!ポニーでも馬は馬!それにつくしは小さいんだから平気だろ?
気になるなら先に俺様が乗ってみせてやろうか?」


「ええっ!道明寺が乗るぐらいなら私が乗る!」
「だね。司が乗ったら動物虐待だよ」

「なんだと?!」


そんな事を言ってるうちに菊がスピカの横に来て身を屈め、つくしをその背中にひょいっと乗せた。
「きゃあーっ!ホントに乗れたぁ!」って大はしゃぎのつくしだったけど、まだスピカの目は遠くに行った黒曜星に向かってる。


チラッと見たらやっぱりあきらを乗せた黒曜星も振り向きながらゆっくりゆっくり……

あれ?様子がおかしくない?
黒曜星が止まった。
そして真横を見たらつくしを乗せたスピカも止まった。


ヒ~ン……
ヒヒ~ン……!

ヒヒ~ンッ!!

「えっ?!」
「はっ?!」
「うおっ?!」


二頭が同時に啼いたかと思ったら!!


「きゃああぁーっ!」
「つくしーーーーっ!!」
「ぎゃあああああーっ!!」

「うわああああぁーーっ!!」



黒曜星があきらを振り落としてスピカの方に走ってきた!
そしてスピカはつくしを俺の方に落として黒曜星に向かって走っていく!


二頭がまるで恋人のように身体を擦り寄せたのはその直後。

つくしは俺の腕の中にすっぽり入ってて、司はスピカに蹴られ、あきらは遠くでひっくり返っていた。



「……大丈夫、つくし」
「うん!平気!それよりも類……ラブラブだね、黒ちゃんとスピカちゃん♡」

「俺達みたいだね」
「えへへ……」


この後仕方なく、司とあきらが二頭の将来について話合いをしていた。
「通い婿」にするとか「二股禁止」とか「式場は何処にする?」とか……聞いてて馬鹿馬鹿しかった。

つくしは二頭に向かって「良かったねぇ♡仲良くね!」なんてニコニコだし。



どうしよう……本当にホルスタイン柄の馬が来るかもしれない。





おしまい♪





今日のお遊び♪


こんにちは~♪
今日は道明寺城に楓さんからのポニーの仲間入りです♪♪♪

それにしても…必ずつくしちゃんの所に連れて行くって……(笑)
いやいや、花沢城はそういうお話だものね!(笑)

はてさて……黒ちゃんとスピカちゃんのお子……?
生まれるのかしらねぇ…?(サイズ的に…笑)
生まれるとしたらどんなお子かしら?
間違いなくシマウマじゃないだろうけど(*´艸`*)
そんな日が来るのかしら…笑?
いやいや…とりあえず止めておこう!(後が怖いわ…)


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter

この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~逃走→侵入→鍵付きゲージ~ 後編 by R & GPS
- 2019/07/31(Wed) -





『……はっ?!ここは……』
『……どしたの?星ちゃん……あれ?』
『……ふぁ、よく寝た。はっ?ここは……』

『…類君達のお部屋じゃない?』
『うわぁ!簡単に入って来られたじゃん?!』
『どこどこ?類君はどこ?ねぇっ!何処?!』

『理雄ちゃん、落ち着いて……』


キョロキョロ辺りを見回したら、どうやらもう日が暮れて窓の外は真っ暗。
いつの間に?と、三羽はバスケットから飛び出し、部屋中を走り回って二人を探したけど何処にも居ない。

これじゃあ何の為に危険を冒して戻って来たのか判らない!とばかりに理雄が足をドンドン鳴らしていると、明日香が窓際で理雄と星花を手招き。
急いで行ってみると……バルコニーからちゃぷんと音がする。


……水の音?

しかも窓は少しだけ開いている。
三羽が恐る恐るそこから顔を出して覗いて見ると………類とつくしがバルコニーの隅っこにある露天風呂で、仲良く並んで入浴中。

『ひゃああーっ!類君がっ、類君が裸だぁ!』
『つくしちゃんもだよっ!きゃあああっ!』
『………………うそ!』

『ヤバいんじゃない?これは不味いよね?私たち邪魔だよね?』
『……流石にうさぎだからって夫婦のお風呂をねぇ……』
『………………マジ?』

『それに私たち、水は苦手じゃん?濡れたら大変だよ?』
『確かにね……わざわざ具合悪くなるのにお湯には入れないよね』
『…………………いや、行く!!』

『『理雄ちゃん?!』』

理雄はどうしても類君とお風呂に入りたくて入りたくて入りたくて、ダッシュで露天風呂に向かって走り出した。
明日香と星花はそれを窓際で背伸びして見てるだけ。
とても湯に近づく勇気はなかった。



「つくし、洗ってあげる……おいで?」
「えぇ~!いいよぉ!自分で洗えるもん!」

「いいから!恥ずかしがらなくていいじゃん?俺達夫婦だよ?」
「だってぇ……誰かに見られたら……」

「誰も見てないって❤ほら、こっちに来てごらん」

「……ううん、類…何処かから視線を感じるんだけど」
「……は?」

類はつくしを洗おうとさっきからボディタイルを握り締めている。
それなのにつくしが照れて来ないもんだからウズウズし過ぎてその視線に気が付かなかった。

でも言われてみれば横から鋭い視線が……?
二人同時に顔を窓の方に向けると、そこに居たのは……美作城の脱走うさぎ。


「あれ?これは……理雄ちゃん?」
「起きたんだ?でも一羽だけ?他は寝てるのかな」

『類君ったら!全員起きたけど、ここまで来る勇気は理雄だけ!ほら、早く抱き上げてっ❤』

「あら、窓の内側に居るわ、星ちゃんと明日ちゃん。どうして来ないのかしら?
お風呂に入りたいんじゃないのかな?」
「つくし、さっき出水先生に言われただろ?うさぎは水嫌いだし、濡らしたら体調壊すって」

「あっ!そうだったね。じゃあ理雄ちゃんもお部屋に戻りましょ?」

『やだっ!!理雄は平気だもん!やだっ!戻らない!』


理雄は抱き上げてくれるまで動かない!のポーズで露天風呂の真下で仁王立ち。
短い足をバンバンさせて「抱っこしてぇ!」の猛アピールを繰り返す。


「……この子、入りたいのかしら」
「でもダメなんだろ?」

「そうねぇ…じゃあ足だけ?」

『足だけでも尻尾だけでもいいのっ!兎に角類君、理雄を抱っこして~!!』

理雄の思いとは裏腹に手を伸ばしたのはつくし……でも、理雄はその瞬間ガバッ!と踞った。


「類……なんだか類の方がいいみたい。
抱きかかえてあげてくれる?」
「えっ!俺なの?」

「だって私が手を出したら小さくなっちゃったんだもん」
「……判った」


ザバッ!と身体を起こして素っ裸の類が手を伸ばしたら、興奮したのは窓際の星花。
「いやん!」と叫んで目を隠したものの、チラッと盗み見るのは当然。
そして明日香は「あぁ、なかなか……」と訳の判らない事を呟いていた。

そして肝心の理雄はと言うと……それまで踞って居たのに急に身体がびょーん!と伸びて類の腕の中に入ることに成功!
そして露天風呂の淵にチョコンと乗せられた。

『きゃああーっ!ここまで来た!大成功じゃん!』

「うふっ!可愛いわねぇ~!」
「……うん」

『そりゃ雄だけど、類君に会うために磨きを掛けてきたもん♪』

「類、私はいいから理雄ちゃん洗ってあげたら?」
「……俺が?」

『きゃあっ!つくしちゃん、ありがとーー♪』

「だってどう見ても類が好きみたいだよ?」
「……うん、じゃあおいで、理雄」

『はいはいはいはい!今行きますっ❤』


理雄はちゃぷんちゃぷん揺れるお湯が怖いくせに類の横まで行って、その小さな足を出した。
類がそれを持って優しくコシコシしてやると理雄の目はうっとり……。

「もう少し湯に近づいて……」
『こ、こ、怖いぃーーー』
(でも、類くんに触られてる🎵)


「こんな感じかな……」
『でも、濡れるぅーーー』
(ぁ、でも気持ちいい)


「良かったねぇ、理雄ちゃん♪」
「もうこの辺でいいでしょ。濡れちゃいけないから部屋にお帰り?」

『えっ!もう終わり?もう終わったの?類君、足は4本なんだけど?!』

「お帰り、理雄」


『…………はい』

つくしを洗い損ねた類のご機嫌は少し下り坂。
これ以上下ると一緒に寝てくれないかもしれない……そう思った理雄は渋々部屋に戻った。



『やったじゃん!理雄ちゃん、お風呂まで行けたね!どうだった?』
『濡れなかった?早く乾かさないと!』
『……あっ!右の前肢は触らないで!ここ、類君がコシコシしてくれたから!』

『……そうなんだ?でも明日人参食べたら汚れると思うけど』
『右手使わないようにするのよね?理雄ちゃん』
『勿論!しばらく洗わないもーん♪』

『『…………(いや、無理だって)』』


そして類とつくしも露天風呂から出てきてお揃いのバスローブでホカホカ。
当然のように類のハグが始まって、三羽は呆然と二人のラブシーンを見る事に……。


「あんっ、類ったら……まだ身体が熱いから……」
「だってさっき洗わせてくれなかったじゃん?もう我慢出来ない……」

『ちょ、ちょっと!これ、どーすんの?見るの?私たち!』
『……見てもいいけど?これもある意味勉強だよね』
『いや!待って?理雄、まだキスしてもらってないっ!』


「でも、その前に星ちゃん達を寝かせないと……」
「暗くしたら寝るんじゃない?そうしたら俺達も……ね?」

『電気消されるよっ?!バスケットに入らなきゃ!』
『え?明るいまましないの?』
『そうじゃなくて!早くベッドに行くよ!全員でっ!』


ここでも全員の言葉に反応したのは星花。
理雄の号令に、まるで暗示に掛かったかのようにベッドに向かって走り出した!

そして三羽揃ってベッドの真ん中に寝転がり「動くもんか!」の姿勢。


「あらら?そこで寝たいの?」
「無理じゃない?潰しちゃうよ」

『『『潰す?!』』』

「そうだよね……類、寝相悪いもんね」
「うん、まぁね。ジッと出来ないから潰す自信がある!」

『『『自信がある?!』』』

「じゃあやっぱりバスケットで寝てもらおうか!
類、おやすみのキスとハグしてあげてね~!」
「……了解」

『うわぁ~~~ん💦せめてそれだけでも~💦』

『『……理雄ちゃん……』』


こうして類は一匹ずつ抱っこして、ハグしてキス❤をしてやり、三匹をバスケットに入れた。
何とかチュ!をもらって類君と裸の付き合いも出来たので今回は理雄もホクホク❤



***



次の日の朝……


「……ん?暑っ……つくし、熱でもあるの?……つくし?」

『………………くぅ……』

「つくし……あれ?つくし居ないの?」

『…………はっ!類君、起きたの?』

「………………あれ?」

『おはよっ!類君♥』


類が目を覚ました時、愛妻の姿は既にベッドにはなく、そこに居たのは理雄。
ちゃっかり明け方にバスケットを抜け出して、類達のベッドに入り込むことに成功♥
つくしが目覚めてベッドを降りた瞬間に、その腕枕を我が物としたのである。


「…………いつから?」
『ふふっ!いいからいいから!類君、おはようのキス♥はやくっ!』

「道理で暑いわけだ……起きよ。お前もみんなの所に戻りな」
『ああああーっ!!やだぁっ!!』


つくしの居ない朝、類のご機嫌は最悪。
理雄を抱きかかえるとポスッ!とバスケットに戻された。

そこには呆れ顔の星花と明日香。
「何やってんだか」って感じでジタバタする理雄を見ていた。



「あっ!類、起きたの?おはよ~!」
「おはよ、つくし。何処に行ってたのさ……朝は横に居てくれないと拗ねるよ?」

「ごめんごめん!もうすぐしたら美作さんがお迎えに来るでしょ?
だから今日もお土産の人参、採ってたの。明日ちゃん達にあげようと思って」
「そうなんだ?相変わらず優しいね」

『えっ!もうあきら君が来るの?……ってか、怒られるよね…』
『…………今度はヤバいよね。鍵付きの籠かも……』
『やだやだっ!まだ帰らない~!!』

『あきら君、怒ったら怖いのよ……』
『あの優しい目の奥にキラッとね……うわっ、汗が出る~💦』
『こうなったらもう1回脱走を……』

『『理雄ちゃん、まだ私たち脱走中だって!!』』


そんな3羽の願いも虚しく、あきらのお迎えは朝早かった。
しかも今回は黒曜星の背中にアルミ製の鍵付きゲージ付き。

お土産の人参だけあきらが背負って帰ることになった。



「ホントにごめんな?よく言って聞かせるから」

「いいよぉ!また遊びに来てねっ♪」
「……今度は日帰りでね」



パカラッパカラッパカラッ


『……今度っていつかしら……』
『あきら君次第だよね……』
『明日だよ!明日!!また明日来るから待ってて、類君~!!』


『『今度は1人で行きなよ……』』


「……そこの3人、判ってるよな?
帰ったら反省室だからな!」


『『『………………』』』


パカラッパカラッパカラッ
(黒ちゃんは走るよ、今度こそ真っ直ぐ美作城へ)



おしまい♪



こんにちは~(*´∀`)♪
本日のお客様もお馴染み『さくらいろ』のりおりおサマでした♪
りおさん、いつもお話ありがと~(*´∀`)♪

GPSの扱いはどうやらとっても?不服?らしく……(笑)
理雄ちゃんのチャレンジはどこまでも続き?……ここまで来ました♪
今回のお話で満足してもらえたんでしょうかねぇ?
ちゃんと着地したはずなんですが…心配だわ……

まだまだチャレンジは続くのでしょうか……?
いやでも、もう鍵付きゲージだし?(笑)
ほら……あきらくんも可哀想よね?
これ以上やったらハ○ちゃうわよ?(笑)
うーん……是非ともご満足いただいてほしいわ( *´艸`)


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter




この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~逃走→侵入→鍵付きゲージ~ 前編 by R& GPS
- 2019/07/31(Wed) -






今度こそ!!


パカラッパカラッパカラッ、、

黒曜星に揺られながら、あきらの背中の籠の中に居るウサギ達
一人、理雄はむくれていた

『星ちゃん、ズルイ!! 類君に抱っこされてキスされてヨシヨシされて、、』
『でも、、理雄ちゃんもずっと類君の膝の上に乗って、、、ひっ!』

明日香をギロリと睨む理雄
それとこれとは、話しは別!!と目で威嚇する
もちろんその視線に星花も縮み上がる

『理雄も類君にキスされたい!! 星花ちゃんだけズルイ!! 明日ちゃんだって、つくしちゃんとキスしたのに~~』
『まあ、、その気持ちも判るよ?』
『ごめんね? 私だけキスされちゃって』

『分かってくれる? 理雄のこの無念さが!!』
『『うんうん』』

そんな二羽に、理雄はあきらに聞こえないようにさらに声を潜めて話す

『あのね。 あきら君が外出禁止って言ったじゃない? と言う事は、このまま美作城に帰ったら、もう二度と類君に抱っこして貰えないし、ヨシヨシして貰えないし、キスだってして貰えないの』

ウンウン、、と明日香と星花は頷く

『だから協力して?』
『協力?』
『何をするの?』

『あのね。 この籠を壊して再び花沢城へ行こう?』
『『えっ!!』』

『明日ちゃんだって、もう一度つくしちゃんにヨシヨシされてキスされたいでしょ?』
『うん、、』

『星ちゃんだって、類君に抱っこされてキスされたいでしょ?』
『うん、、』

『でもこのままだと、、二度と、、二度とそれが叶わないんだよ? 我慢できる?』

二羽はフルフルと頭を横に振る

『でしょう? だったらチャンスは今しかない!! これぐらいの籠なら何とか前歯でかみ切れるでしょ? その後、全速力で花沢城へ行こう? 今度は皆で!!』

皆で!!という言葉に、星花は嬉しくなる
今度は置いてきぼりにされない!!
しかも、もう一度類君からのハグとキスが受けられる!!

『やる!!』

明日香も、つくしの温もりに癒されたい
あの一時は至極の喜びだった

『やる!!』

そうと決まれば話は早い
三人は協力して前歯で籠に穴を開けはじめる
そして体が通り抜けそうな穴が開いた所で、理雄、明日香、星花の順に抜け出した

『やったね!!』
『協力すれば何とでもなるんだね』
『じゃ行こう!! 花沢城へ!!』

と、三羽は一目散に花沢城へと向かった



ひひぃぃーーーん!

「どうした 黒曜星?」
『あきらさま、背中の籠が軽い気が致します」
「はっ!なんだとっ!!」

あきらは、背中の籠を確認。
ぽっかりと空いた穴をみて、三羽が脱走を謀った事を知った。

「……あいつら…」
『あきらさま、戻りましょうか?』
「だな、戻ってくれ」


パカラッパカラッパカラッ
(黒ちゃんは走るよ、再び花沢城へ)



***



その頃の花沢城……の庭の隅。
あきらの背中の籠から逃亡した三羽が隠れてコソコソ密談中だった。

『はぁはぁはぁ……やっと着いた。で、どうやってお部屋まで入るの?』
『はぁはぁ…1日に2回は疲れる……。
どうしよう?もう穴は掘れないよね?』

『理雄、もう絶対掘らないって誓ったもん!』

『じゃあさ……って言うかお腹空いた』
『星ちゃん、もうお腹空いたの?』
『でも確かにお腹空いた!ねぇねぇ、もう1回ここの人参食べに行かない?』

『怒られない?』
『多分、つくしちゃんは怒らないと思うよ?』
『類君も怒らないもん!
腹ごしらえしてから考えよ?!』


『『『Let's Go!!』』』


あきらが戻って来るとも思わずに、こうして三羽は人参畑に向かった。



「類様、失礼いたします」

「どうした?田村。そんな変な顔して」
「何かあったの?田村さん」

「はぁ。美作様が再びお城にお越しになりまして……。
現在お庭を徘徊……いえ、お庭で何かを探していらっしゃいますが?」

田村がそんな事を言うからバルコニーから覗いて見ると、確かに黒曜星を連れてゴソゴソ歩き回ってる。
そして背中に籠があるけど……ここから見る限り星花達が居ない。

なんか……凄く嫌な予感がするんだけど。

そしてつくしもそれに気が付いたみたいであきらに向かって声を掛けた。


「美作さーん!どうしたのぉ?
理雄ちゃん達は?背中に居ないみたいだけどー?!」

「あぁ、類につくしちゃん!悪い、あいつら籠を噛み切って脱走したんだよ。
多分ここに戻って来たんだと思うんだけど」

「えっ!!戻って来たの?」
「忘れ物かしら?」

「いや、つくし……あいつらうさぎだし、来た時も手ぶらだから」

でもまぁ、一生懸命探すあきらを放っておく訳にもいかない。
つくしと一緒に降りて探してみたけど、庭の何処にも居ないようだった。
そして新しい穴もない……何処に行ったんだろう?って3人で探していたら、つくしが手招きをした。


「どうした?つくし」
「あれあれ!あそこ見て?」
「何処だ?あっ、人参畑?」

「……何か動いてる」
「あっ!跳ねた!ありゃ明日香だな?……ったく!!」

「待って、美作さん!」

あきらが三羽を掴まえようと足を出したのをつくしが袖を掴んで引き止めた。


………………まさか?まさかだけど……


「戻って来るほどここの人参が気に入ったのなら今日はお泊まりさせようか?
もしかしたら他の子達と遊びたいのかもしれないし。
美作さんが良かったら1日だけ預かるよ?」

「…………いいのか?」
「うん!明日迎えに来てよ。
ねっ!類、それでいいよね!!」

「………………い、(嫌だけど)いいよ」

「悪いなっ、類。明日も来るわ♪」


あきらはそう言って何故か嬉しそうに黒曜星に跨がって帰っていった。



その頃 三羽はあきらと黒曜星、類とつくしの足音にも気付かず夢中になって人参にかじりついていた。

シャリッ…シャリッ…


『ねっねっ!
ここの人参は何でこんなに美味しいんだろうね~?』


シャリッ…シャリッ


『そりゃあやっぱりつくしちゃんの愛情が籠もってるからじゃない?』

シャリッ…シャリッ…


『うんうん、類くんの愛情も詰まってるしね♪♪』


類くん自慢、つくしちゃん自慢をしながら次々に人参を頬張る三羽。

シャリッ…シャリッ…
シャリッ……

……リッ……


口数も減りお腹も満たされて、いつしかその場で眠りについてしまった。


「ねぇ、見て見て♪皆 寝てる♪」
「大分食べたからね……これだけ食べれば眠たくもなるでしょ…」


足元の畑には、三羽が食べたであろう人参の穴がポコポコ。
食いしん坊のうさぎが三羽もいると、こんなに減るのかっ!の有り様だ。


「うさぎってこんなに食べるんだ…」
「うふふ、いいじゃない。無駄にした訳じゃないもの…」
「はぁ~あんた、優しすぎ」

「ここじゃ、可哀想だわ。何処に寝せようかしらね?」
「えぇーー此処でいいじゃん。寒く無いし」

「類さま、つくしさま、此方を…」


掛けられた声に振り向けば、田村がいい感じにタオルをひいたバスケットを持って来た。


「うわぁ♪ここに寝かせてあげましょう、ね?」
「だね」


三人は、満腹爆睡の三羽のうさぎを回収。
バスケットに寝せると、城内に戻った。




後編へ続く!


この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
花沢城物語 ~西門 日和 と 花沢 迷子~ by GPS
- 2019/07/30(Tue) -





ある日の西門城。
城主総二郎が出張のために支度中、朝陽が部屋に飛び込んで来た。


「なんだ?どうした、朝陽」
「ソウチャン!アサヒ、コワイ!ピィ!!」

「怖い?何が?」

朝陽が何かに怯えてるから飛んで来た方を覗いてみたら……あぁ!あいつか!
あいつはいつも池に居たし、朝陽は遊びに行ってばっかりだから気が付かなかったんだな?


「朝陽、あいつはこの春から城に居たんだぞ?
お前の仲間で日和(ひより)ってんだ。仲良くしてやってくれよ」

「……ヒ、ヒョ……」

「日和だ。あいつはいつも水の近くに居るからな。で、魚を掬ってんだ。
俺が暫く居ないから遊んでやれ

「…………ピィ?」

「嘴が大きいからあんまり近づくと口の中に入れられるぞ?
まぁ、食われることはないだろうけど、池の中で動くもの見たら掬いたくなるみたいだから」

「アサヒ、バンガル!!」

「そりゃ頑張るだろ?ははっ!まぁ、いいや。
くれぐれも西門城から出ていかないように見といてくれよ?
あいつはまだ人の家に行くための練習してねぇからな」

「アサヒ、イイコ♪イッテラッシャイマセ!」

「追い出すのかよ……」


まぁ、出張と言っても3日で帰るし。
日和も大人しい子だし、蒼穹も疾風も朝陽も居るし大丈夫だろう。


事件が起こるなんて考えもせず、朝陽に見送られて城を出た。




***3日後の花沢城***




会議が終わって窓の外をボケーッと見ていたら……空を飛んでくる大きな鳥を発見。

……また来たんだ、静司郎。
それを見たら気分が悪くなって外を見るのをやめた。


まったく……うちを何だと思ってるんだろうね。
司の城にも池ぐらいあるだろうに何で週に何回もここまで来るの?
来たってつくしを呼ぶわけでもないし、他の動物と遊ぶ訳でもないのに。

まさかうちの用意した魚の方が旨いとか?
それともラスカルに洗って欲しいとか……確かに狙ったように2人(1匹と1羽)は何時も一緒に居るよね。


ブツブツ言いながら次の仕事の準備をしていたらドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」と言えばひょい!と顔を出したのはつくしだ。

「どうしたの?何かあった?」
「ううん、急ぎじゃないんだけど……ハル、ここに来てる?」

「ハル?ううん、ここには来てないよ。
大体ハルが室内で遊ぶ訳ないじゃん。帰って来いって言っても帰らないのに」


「そうなのよね~……何処行ったのかしら」
「居ないの?」
「うん、何処にも居ないの。さっきまで金太郎と梅次郎と遊んでたのに」

「……そう言えばうちには猫も居たね」
「うん!実は恋人になってるからこの先増えるかも♥」

「えっ!!」


恋人って……あの捨て猫達が恋をしてたの?
捨てられたっていう悲劇を乗り越えて、いつの間にかHappyになってたの?!

この後つくしが嬉しそうに教えてくれた。
どうやら黒の金太郎と白のさつきのカップルと茶の梅次郎と白黒のめいのカップル。
最近は城の日当たりのいい場所で「いい感じ♥」だそうだ。

…………って事は時が来れば、この城の中に色んな色の猫がうじゃうじゃ居るの?


頭を抱え込んでいたら……バルコニーに朝陽が居た。


「アサヒ、イイコ♪…ヒョ…ヒ…ヒョ」
「…?……(今度は何を覚えて来たんだか)…」

「ヒョ…ヒヨリ、バンガル」
「ヒヨ……リ…?何それ?しかも、バンガルって…頑張るでしょ?」

「ソウチャン、イッテラッシャイ♪アサヒ、バンガル♪…ピィ」
「……はいはい、総二郎は出掛けてる訳ね?」

「アサヒ、イイコ♪ヒ…ヒョ…リ、イイコ♪」
「はいはい、イイコ♪ね、イイコ♪」

総二郎ん家の朝陽と会話?しながら会議資料を目を通し、田村に急かされてる決裁印を押す。

………だからさ…何でこんなに防衛費が跳ね上がる訳?しかも「対動物」だし、餌代もバカにならないし、
……弁当持参にさせるかな……う~ん…


外からは、ハルを探すつくしの声が聞こえて来る。


何処に行ったんだか……また、迷子かな?
鳳友の時にシコタマ叱られてからは、勝手に探検したりしてないしな……?
いや、好奇心はつくしに負けてないよね…


「朝陽、ハル見てない?」
「ピィ?!」

「アサヒ、イイコ♪ソウチャン、イッテラッシャイッ!」
「総二郎じゃなくてさ、ハルだよ…」

「ヒョ…ヒヨ…リ、イイコ♪」
「……ねぇ、ヒヨリって何?」

「ピィッ!」


その時、『あらぁ、ペリカンさん♪』って、つくしの声で全身がゾワゾワとした。

…………ペリ……カン…?……

バルコニーに居る朝陽に顔を向けると、その同じ速度で視線を外す。


「朝陽っ!ヒヨリってペリカンの名前?」
「ピィッ!」

「朝陽っ!総二郎に言いつけるよ!」
「アサヒ、イイコ♪ヒヨ…リ、イイ…コ?」

朝陽じゃ埒が明かない。
バルコニーから階下を見れば、静司郎の定位置にペリカンッ!!!!

飛び上がろうとしてるのか、頻りに羽をばたつかせている。

……にしても……下嘴の袋が異様に膨れてないか?


「あぁーーーーっ!」


もしかして、ハル 喰われたんじゃないのっ!!!


「つ、つ、つくしっ!!そこ動かないでっ!今 行くからっ」
「えっ!何?」

どうしたの?とか、何か用?とか言ってたけど、それ処じゃないっ!
兎に角、確かめないとだっ!!

早くしないと、ハルが連れて行かれるっ!
いやっ、その前に窒息するっ!!

慌てて部屋を飛び出したら後ろからバサッバサッと朝陽までついてきた。


「朝陽、ヒヨリってほんとにいい子なの?」
「ピィッ?アサヒ、イイコ♪ヒヨ…リ、イイ…コ??」


うん…聞いた俺がバカだったよ……
ともかく急がなきゃ!!



池まで来るとさっきとは少し離れた場所につくしとSP達がいて、その前にはペリカンがいた。


よかった…
間に合った……!


「あっ、類~♪
ペリカンさんって嘴が綺麗なのね~♪♪
そんなに慌ててどうしちゃったのー?」



なんでそんなに呑気なのさ?
ハルが喰われてるかもしれないのに!


「つくし…ハルは?!
ハルはみつかったの?!」

「うん?ハル?
それがねー、どこを探してもみつからないのよ…。一人でどこに行ったのかしらね?」



「ねぇ、つくし…。あのペリカンの下嘴の袋…膨れてると思わない?もしかして…ハル、あそこにいるじゃないの?」

「えっ?!
確かに…だいぶ膨れてるね……。
呼んだら返事するかしら??
ハールー!そこにいるのー?返事してごらん?ハールーッ!!」



つくしはペリカンに向かってハルの名前を連呼するけど、いくら呼んでも返事はない。
もしかして意識飛んでる?!


「ちょっと朝陽!
日和の口開けさせて!!」

「……アサヒ、コワイ…」

「総二郎に言いつけるよ?!
日和の面倒頼まれてるんでしょ?」

「……アサヒ…バンガル…」


恨めしそうに俺を数秒見つめると、意を決したかのようにバサッバサッと羽音をたてながらヒヨリの傍に飛んで行った。


「…ヒヨリ、アーン?ア、アーン?イイ?
ヒヨリ、イイコ?ヒヨリ、バンガル!」

「「ハル………」」


つくしと二人、固唾を飲んでその様子を見守ってた。


くぅん?


「えっ?!」
「わっ!」


びっくりして振り返れば、俺とつくしの間にはハルがいて短い尻尾をお尻ごとブンブンと振ってた。


「あー!!ハルッ!よかったぁ~…」


えっ?じゃあ…あの口の中は何?


ザバァーッ


朝陽のあーんが効いたのか偶然なのか、日和が開けた口からは水が流れ出た。


「ふふっ、お水ごと掬ってお魚を食べてたのね♪」
「そ…そうみたいだね……」


それにしてもさ、何…この時間差?


バサッバサッ


「アサヒ、イイコ♪ソウチャン、スキ~♪♪」
「あっそう…よかったね……」


つくしの肩にとまった朝陽はやり遂げた感満載でその後もずっとイイコを連発してた。


はぁ…なんか疲れた……
すっごく疲れた!!
なんだってこんなに紛らわしいのさ!


「ハル?お前どこに行ってたの?」

わん?

「お前…つくしのSPって分かってる?
そんな事してたらいつまでたっても「見習い」は取れないんだからね?分かってる?」


……ゎん


反省したっぽいハルはしょんぼりしながらもつくしにぴったりくっついては時々尻尾を振ってる。


今回の元凶を振り返れば、また嘴の下を膨らませて美味しい食事に夢中になってるみたいだ。


ここはお前の食事場じゃないんだけど……?


「類、ハルみつかってよかったね~!
日和ちゃん?もここ気に入ったみたいだし♪これからまた楽しくなるね~♪♪」


「そ…そうだね」


なーんて答えたけど!
俺は全然楽しくないから!!



この日、朝陽と日和を迎えに来た総二郎に目一杯説教をして城から追い出した。

にも関わらず翌日にはまた日和が来てたとか、来てたとか……。


少しは「反省」って言葉、覚えてほしいよね!




おしまい





今日のお遊び♪


こんにちは~(*´∀`)♪
今日はペリカンの仲間入りです♪♪

このペリカン……春から西門城にいたらしいのですが……?
この数ヶ月何をしてたんでしょうね~(笑)

静司郎の定位置に降り立った日和ちゃん
いつか静司郎とご対面するんだろうけど………どうなるんだろか(笑)
お遊びの通りちょっと似てるこの2羽
色が違うだけでこんなに変わるのね………(*´艸`*)


さてさて…そうですよ!
またまたお話が届きまして…GPSが繋ぎました~(笑)
明日、15時18時に公開です♪
お楽しみに~(*´∀`)♪


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪

Gipskräuter


この記事のURL | ★丸投げ隊 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ