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- 2026/01/01(Thu) -

はじめまして。

Gipskräuter<ジプソクラウター>です。


お越しいただきありがとうございます。


花より男子の二次小説を書いてます。
CPは総二郎×つくしです。


始めは読むだけだったんですけどね。

西門さんとつくしちゃんの、私の中ではあり得ないCPにいつしかどっぷり嵌まってしまいまして。ヘヘっ。

ある日ふと浮かんだ設定で無謀にも書き始めてしまった次第です(汗)

しかも、書き出しは浮かんだんですけどね。あとは、行き当たりばったりでそれぞれに勝手に動いてもらってます(笑)
なので、収拾作業が大変です(´-ω-`)


どの作品も、誰もがハッピーエンドを目指して頑張りまーす。


お話が完結するまではアップしない方針です。その代わりに、創作日記なるものをご用意しておりますので、そちらも覗いていただければ嬉しいです。


誤字脱字等多いかもしれませんが、お楽しみいただければ幸いです(*´∇`*)



最後に。


こちらはあくまで私の趣味のお部屋で、原作者様、他関係者様とは一切関係ありません。


誹謗中傷、荒らし等はご遠慮いただきますよう、宜しくお願い致します。


なお、駄文ではありますが著作権は放棄しておりませんので、転載、配布、二次使用等はご遠慮くださいますよう、宜しくお願い致します。



★パスワードについて★ 追記有り

★Index★



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colorfulbox 凪子サマ
- 2018/02/21(Wed) -

『白昼夢』




───今朝方、不思議な夢を見た


涼しげな目元に、艶のある黒髪がサラリと靡くショートボブの女に、なんだか一方的にいわれもない説教をされた気がする…

一目で”美人”という部類に入る女なのに、なぜか何処にも出逢った記憶がなく…

ただ

それなのに妙な懐かしさを感じる、不思議な女だった─────



───あれは一体、誰だったんだ…?



*

「…って、ちょっと聞いてんの? 西門さんっ//!」

「…あ? おぉ、わりぃ…」

慌てて目の前の牧野を見る

そうだった… 今日もまた、こいつの愚痴を聞かなきゃだな…


『ハァ…ねぇ… もうあたしも、浮気でもしちゃおっかな…///』

「プッ! 浮気って… ただの週刊誌のゴシップ記事だろ? …それにお前が浮気なんて…それこそありえねぇだろうが!?」

『なっ///!! …だ、だってっ…//』


自分でも大胆だと思ったのか、頬を赤らめてプイと横を向いてしまう牧野…

だが、、、

マジで…綺麗になったな────

以前はガキの匂いがプンプンしたのに、アイツと付き合うようになってから、みるみる艶っぽく変化して…


ズキン…

ん?

なんだ? 今、胸の辺りが、、、


*

~『…だから///! そういうとこ、ホント昔っから天の邪鬼よねっ//!?』

…あ?

…牧野、じゃない…

この記憶は、この声は… 昨日の夢の中の女か…??


~『ハァ… それで現代のカサノバだって? それが聞いて呆れるわ//! そんなんじゃ、いつまでたってもこのあたしがっ…//』

キッと睨み付ける女の瞳に、妙な気分に陥る

何処かで、見覚えがある…?

だが、お前は誰なんだ…?

自慢じゃないが、一度会った女は大概覚えてる筈で

しかも、こんないい女──────


*

「ちょっと//! 西門さんっ//!?…何よ//、なんか今日は… 何にも、言ってくれないんだね…//」

「あ… いや、その…」

ヤベェ、、、

変な白昼夢かよ…//!?

気づけばまた、目の前の牧野が、今度は泣きそうになってやがる…//


「…いつもは、何か言ってくれるのにね…//」

「いや、そりゃな…// その…」

まさか、話を聞いてなかったとは
今更言えねぇ…//

ま、それでも、、、

ここ最近はいつも同じ理由で俺に愚痴りに来るから、たいがい予想はつくけどな…


「…アイツは浮気なんて、しねぇだろ…」

いつも牧野が望むのは、決まってこの言葉だ

この言葉が聴きたくて
俺に「遠距離恋愛の不安」とやらを愚痴りに来るのが、ここ最近の牧野と俺の定番─────



「…そんなの解ってるよ… でも…//」


ほらな?

そうやって、少しばかりまた
頬を赤らめて……


「でも…? 何だよ…」

こうなったら、頑固な牧野の気持ちが正直になるように、その先を促してやるんだ…

そうすると、上目遣いでいつも俺の顔を見つめてくる


ほら、やっぱりな…

お前はいつも、いっぱいいっぱいで

でもそんな顔すんなって…

もうすぐだろ? “婚約”───

どうせするんだろうが、アイツと……


ズキン…


…くっ、まただ…


「…西門さん? どうかしたの…?」

「ハハッ、大丈夫だ… 気にすんな…」

…バカっ//!!

こいつに、俺がこんな顔させてどうすんだよっ…//


*

~『ほら見なさいっ!ハートは正直に悲鳴あげてんじゃないのっ//!?…そーいうのを”やせ我慢”ってんだからねっ//!?』


なにっ…//!?

だから何なんだっ//!! さっきっからお前はっ//!!


~『お前お前って言わないでくれる//? 少なくとも、あたしには気に入ってる名前があんの//!!…パパとママで… ────って、 そうつけてくれたんじゃないっ…//』


な、なんだよっ…//

急にしおらしくなった夢の中の女に、妙にドキリとした

いや、別に疚しい訳じゃない、、、


ただ

その悲しそうな表情に、何故だか妙に切なく胸がざわついて─────


そうか、お前…
少し牧野に… 似てるのか……?



~『当ったり前でしょう///!!だってあたしのママとパパは…//』


…な、なんだよ、、、

何でこんな、妙にドキドキするんだ…//


ん…?



「かすみ…?」

ふと浮かんだ女の名前を、もう一度口にした


*


「西門さん? …何言ってるのよ…// ハァ、ごめんね…//、じゃあもう、今日は帰るから…//」

「えっ? おい、牧野…」


再び現実に戻ると、目の前の牧野が
寂しげに立ち上がって、、、


いや、ちょっと待て…

俺に何が起きてる…//!?


実は今朝見た夢の中の女が、さっきから頻繁に出てきて…、って、そんなの言い訳にもならねーだろっ//!?


「…じゃあね! バイバイ西門さん//…あたし、いつも一方的に…煩わしかったよね//? ごめんね//…」


はっ…!?

おい、そんな顔すんなって…

なんでそんな…
泣きそうな顔で、無理して笑うんだよ…//?


「いや… なんだよつくしちゃん//?… 別に俺は…」

違う、こんなこと言いたい訳じゃねぇっ//!!

でも…っ//


~『ほらっ//!! ちょっと何やってんのよっ//!! ここが運命の分岐点なんだからねっ//!!』

クソッ///!!

こんな時にまた、幻聴がっ…//


「明日ね… フランスに行くんだ…
やっぱりちゃんと彼にあって、あたしの気持ち、しっかり確かめなきゃ…だよね…」


…っ…!!


「…そうか… まっ、それが1番いいかもな… 頑張れよ…」

「…ん//…そうだよねっ/// …そうするっ//!」


おい、、、

だから何なんだよ…//?

その、泣き顔みたいな笑顔は…っ///


だが

なぜかそれ以上、踏み込んではいけないような気がして────


「おう! 応援… してるぜ…」

「フフッ//… だよね… ありがと…」


ズキン…


…涙 ────?

いや、気のせいか………


サラリと牧野の黒髪が揺れる

だがきっと
このまま二度と振り向かないだろう



フランスへ─────

それは即ち、アイツと牧野との幸せな未来を意味する筈だ…


なのに何だ、、、

この、妙な虚無感は……




『バッカじゃないのっ///!!気取ってないで早く追いかけてよっ//!!パパっ//!!』

はっ!?
いい加減にしろ//!!またかよっ///!?

かすみお前っ…//


…ん? 今、パパって…


『そうだよ///!! 西門総二郎っ///!!あなたは紛れもなく、あたしの…//』


…お前が、俺の”子ども”、だとっ///!?


瞬間、強い衝動が俺の中を駆け抜ける


…!!!



そうか…
そうなのか…///

だとすると、今、追いかけなければ…//!!


「牧野っ//!!」


俺は慌てて人混みを掻き分け、アイツの後ろ姿を探していた

俺は今まで、一体何をしていた…//!?


“相談”と称して、近頃はちょくちょく二人きりで会っていた

その中で生まれた不思議な気持ちは、ずっとはぐらかし続け、見ない振りをして、、、


だが…

もし、今朝の夢が、何かの予兆だったら…?


…馬鹿げてる

そう思う もうひとりの自分も、いないではない

でも、今は────

ほんの一筋の希望に
あの牧野の涙に
賭けてみたいと思ったんだ…!!


その瞬間


『パパっ…//! ありがとうっ//… やっぱりパパは、あたしの自慢のパパだね…』

…かすみ…?

一瞬だけ、彼女の弾けるような笑い顔が浮かんで─────


『きっともう、大丈夫… それじゃ、あたしは未来で待ってるね… パパ…』


あぁ、、、

ありがとな…//


胸の中に不思議と、暖かいものが湧き出す、、、



これはきっと
たくさんの分岐点の中の、
ひとつの未来


あの時、こうすれば良かった…

そんな俺の強い後悔を

とある未来の中の、”かすみ”という娘が…

情けない親父に
カツを入れに来たのかもしれない、、、


…な~んてな…//

でも、取り敢えず今は…


「牧野っ!ちょっと待てって//!!」

ようやく捉えた彼女の細い手首をギュッと掴み取る

「えっ///!何でっ//!? 西門さんっ////…」

驚いたその顔…

今なら素直に
愛おしいと認められる自分に驚く…


なぁ、かすみ…
これでいいんだろ…?


「お前に、どうしても伝えたい事があったんだよ」

「えっ///… な、何を…///」


困ってるか?

いや、きっと大丈夫だ…

俺とお前の娘は、絶対に美人でいいやつだと保証する


「今から言うこと、しっかり逃げないで聴けよ?」

「な、何よっ///…別にっ///、逃げてなんか///…」

「よし。…じゃ、真っ直ぐ俺の目を見ろ…」

「なっ////… でもっ///…」

「でもじゃねぇだろ… いいから… な…?」

「…わ、わかったわよ///…」


真っ直ぐに、目と目が合う

ガラにもなく気持ちが高ぶるが
それ以上に、牧野の緊張が伝わる…


馬鹿だな、、、

初めから、こんな未来もあったんだ…


そう

ここからはまた、新しい俺の…



『俺達の未来』の、その一歩が
始まると信じて────



「なぁ牧野… 俺は、お前を───」



その瞬間

かすみがにこりと
俺達に微笑んだ気がした─────



***************************************

ごめんなさい…💦
やっぱり総ちゃんは難しいのでっ(>_<)

この続きはきっと、素敵なG様の総つくが…❤(笑)


凪子でしたm(__)m💦




素敵なお話、ありがとうございます♪
是非是非続きも!|д゚)チラッ
うふふ♪



凪子サマへのコメントは責任をもってお届けいたします!
温かいコメントお待ちしております(*`・ω・)ゞ

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colorfulbox やこサマ
- 2018/02/21(Wed) -

甘い夜にご用心



冬と言えばウインタースポーツだろう。

あまり乗り気ではなさそうな牧野を連れて新潟県のスキー場にやってきた。
いちいち順番待ちをしたりするのは面倒だ。
当然貸し切りしてパウダースノーを楽しむ

つもりだった。

「なんでお前らがいるんだよ!」

ショートスキーを履いたつくしの左には

「ふんっ」

右には

「寒い」

誘ってもいないのに司と類がいる。

「どこから情報仕入れてきた!」
「オレ様を誰だと思ってんだ」
「暇だし…」

俺は思う。

スキー場に付いてきてしまったものは仕方ない。
だが今夜は悪いがふたりきりにさせてもらうぜ、と。

「まあ、いい。ところであきらはどうした」
「知るか」
「わかんない」

親友なんて言っててもお互いに干渉し合わないのが俺たちのスタンスだ。

「とにかく俺はお前等まで面倒見る気はねぇからな、行くぞ牧野」
「え、ああ…うん」

ブーツとボードをセッティングして、牧野を連れてリフトへ向かう。

カナダで見たボードセンスとは違って、スキーはそれなりに滑れるらしい牧野と一緒にタイミングを合わせてふたり乗りのリフトへ乗り込んだ。

「寒くねぇか?」
「ん、大丈夫」

牧野と思いが通じ合って数か月。
この俺としたことがまだ手を繋ぐくらいで、一晩を共にするどころかキスすらできていない。

今回牧野をスキーに誘った理由はふたりの間に立ちはだかる見えない壁をブッ壊すことだ。

寒くないと言いつつも、チラッとさりげなく横を見ると寒さに震える牧野が見える。

「グローブ、取れよ」
「え、やだよ、寒いし」
「いいから」

半ば強引に牧野の右手からグローブを取り、俺もサッと取り外して左手で牧野の手を握り、そのままポケットに突っ込んだ。

「温かい…」

そのまましばらく黙って牧野の冷たい手を握り締める。
徐々に俺の熱が伝わって、牧野の手が温かくなるのを感じると、照れくさくなるのはどうしてだ?

自分の顔が赤くなっているのが恥ずかしくて、空いている右手で牧野の左側頭部を引き寄せ俺の肩にもたれさせ、牧野から自分の顔が見えないようにする。

「おいっ!空中でイチャイチャしてんじゃねぇっ!」

突然の爆音に驚いた俺たちは、すごい勢いで後ろを振り返る。

すると、額に大きな青筋を浮かべて鬼の形相でこちらを睨む司の姿が見えた。

右手に拡声器を持って…

「なんだ、お前、どっからそんなもん持ってきた💢」
「うるせぇっ!聞こえねぇんだよ」

聞こえねぇくせに『うるさい』ってどういうことだよ…。

「こっちは耳がおかしくなるくらい聞こえてるんだよ!ちょっとは隣のヤツに気を使え!」

司の隣には耳の穴に指を突っ込んで顔をしかめている類がいる。

「鼓膜…破れるし…」

なぜだ。
一気に関係を縮めようとここに来たのにこれじゃいつもと変わらない。

「司!類!頼むから帰ってくれ!!」


***


結局、司と類に邪魔される形で牧野との距離を縮めることはできなかった。

スキー場を出た俺たちは外国製の特別雪山仕様RV車に乗り込んで、西門で所有する別荘に移動。
さすがにあいつ等も車の中までは付乗り込んで来ない。

バックミラーで確認しても、付いてくる車はいない。

よしよし。

邪魔ものがいないことを確認し、俺は牧野の左手をシフトノブに置き、その上から自分の右手を重ねる。

「あ…」

まるで手の甲に心臓があるかのように牧野の鼓動が伝わってくる。
誰かが言っていたが、緊張というのは伝染するようで、車の中がまだ完全に温まっていないのに身体の芯から燃えるように熱くなるのを感じる。

引き返すなら今のうちだ牧野、と言いたいところだが、今日の俺はもう止まれない。
同じベッドで手を握るだけで朝を迎えるなんて類みたいなことはしない。

プレイボーイの名に懸けて。


ハッ


惚れた女にプレイボーイの自信を出してどうすんだ。
初心な女は徐々に攻めていくんだったな。

初心?

初心な女の扱いってどうしたらいいんだ?

そうこうするうちに別荘が見えてくる。
雪かきがキレイに済ませてある別荘のガレージに入れると、車から降りた。

シートベルトを外すのにモタモタしている牧野をチラリと見て、反対側に回ってドアを開けてやる。

「あ、ありが…」

チュッ

よし。

第一難関突破だ。
不意打ちキスなんて何年振りだとかそういうことは考えるなよ、読者。

「ずるい…」

顔を真っ赤にする牧野、お前こそズルイ。

下を向いて緊張する牧野の手を引いて、別荘の玄関に入ると

「お待ちしておりました、総二郎さん」
「ああ、暫くだね、カスミさん」

別荘を管理するカスミという女性は、元々新潟の高級旅館で働く中居でその仕事ぶりにほれ込んだ親父がヘッドハンティングする形で別荘に雇い入れた。

「お友達が先にお待ちですよ」
「そうか…」

ん?

お友達だと?

「よう」

この声は

「なんでお前まで…」

背後から聞こえてくる声はあきら。

なぜ…なぜお前まで…。

「あ、美作さん!」
「よう牧野!来てやったぜ!待たせたな」
「うん💛」

待たせたな、で拒絶しないってどういうことなんだ?

「早く着替えて来いよ!準備出来てるぜ!」
「うん、わかった!ねえ西門さん。あたしの部屋ってどこ?」

『あたしの部屋』だと?!
今夜は『俺の部屋』で一緒に…

「こちらにご用意させていただいております。牧野様、どうぞ」

おいおいカスミさん、なぜ…。

「ありがとうございます!」

ま、待て牧野!

スノーブーツを脱いで用意されたスリッパを履くと重い荷物を引き摺るようにして足早に2階へ。
そもそも何を持ってきたんだよ、あれ。

「お持ちします、牧野様」
「いえ、お構いなくっ!」

カスミさんを振り切ってどんどん2階へ向かって行く。

「総二郎さん」
「なに?」
「お荷物を…」

牧野にフラれたカスミさんは、俺の少ない荷物を持ってなぜか1階奥の部屋に。

新潟の別荘には何度か来たことがあるが、こんな場所に部屋なんてあったか?

「準備は済ませてありますので、思う存分お楽しみください…ニヤリ

その顔…どういう意味だよカスミさん。

何がなんだかよくわからず、促されるまま部屋のドアを開けると…

「なんだこれ…」

「よう!待ってたぜ、今夜は寝かせないからな!」


***


「だーっ、チクショーっ!!!」

なんだこれ。

「ちょっと、何してんの?もう諦めてさっさとヌイちゃえば?」
「ば、バカ野郎!そんなことできっか💢」
「ああっ!」
「バカ牧野!お前なんて声出すんだ!」
「俺、もうダメかも…」
「類…我慢しろ!耐えろ!」
「悪い、俺一ヌケだ…最高だな、この快感…」
「クソッ、あきらめっ!」
「いやっ…あん💙」
「だから牧野!!」
「オレだってそろそろこの黄金の右手が黙っちゃいねぇぞ!」
「そこだいけっ!」
「総二郎、一番いい思いしてんだし早くフィニッショしてよ」
「あああああああああああああっ!」
「牧野もイッたぞ!」
「ってことは…総二郎…」

「「「お前が最弱王だ!」」」


***


俺は同じような光景をテレビのモニターで見たぞ。
誰と一緒に見たかって?
残念ながら類とだったが。

「ねえ、これすごく楽しそうだし5人でイケるよね?」
「こんなことできるか、恥ずかしい」
「いいじゃん、きっと楽しいし気持ちいいよ」

いい大人が5人揃ってなぜこんなことを?

「うん、牧野のパパと一緒にやったけど楽しいよ」


***


誰がこんな無駄なことをしたのかさせたのか。

覚えのないプレイルームは司が勝手に増築、壁と床は白と黒のチェックに彩られ、オーダーメイドでしか見たことがなく、使い回しがまずできないであろう五角形のテーブルで行われる…

ババ抜き。

ワーワーギャーギャー騒いでいるうちに何度ビリになったことか。
誰が忠実に再現しろと言った類。

俺はこの1回目の勝負からずっと「最弱王」と書かれた白いジャケットと、変なヤリを持たされている。

「正月の嵐の番組見てて楽しそうだなって思ったんだよね。ホラ、ババ抜きなら俺得意だし」

ハァ…

もうため息しか出てこない。

ふと窓の外を見ると、空が白み始めている。

スケジュールの都合で別荘には1泊しかできない。

そして、もう、朝。


クソ!俺と牧野の甘い夜を返せ、外野めっ!!





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colorfulbox 花サマ
- 2018/02/21(Wed) -

kissをあなたに【4】R


本文の中にR表現がございます。
苦手な方、18歳未満の方はブラウザを閉じてくださいませ。

パスワードをかけずにUPしています。
3月に入りましたらパスワードをかけさせていただきますことをご了承ください。
★パスワードについて★



仕事が終わりスマホをみると、つくしからの2・3件の着信があった。折り返して電話しても繋がらない。
何かあったのだろうか。
酒を飲みに行こうをしつこく誘ってくる狸爺どもに丁重なお断りをし、ホテルのロビーに向かうと、オフホワイトのコートに紺色のワンピースを着たつくしがポツンと立っていた。
「・・・・つくし?!」
俺が近寄ると、ほっとした顔で顔を見上げた。
「西門さん・・・。」
「どうした?・・・何かあったのか?」
ふるふると下に顔を向けたまま振ると、もじもじしたまま黙っている。
「つくし?」
「・・・・・・に・・・・。
 ウィルに・・・、ウィルにキスされそうになった・・・。」
「・・・え?」
「でも、あたし・・・、西門さんじゃないと嫌だ。嫌なの・・・!
 だって、だって、あたし!・・・西門さんの・・彼女だもん・・・・・。
 西門さんのキスじゃないと・・・・、嫌なんだもの・・・!
 だから、私、キスして欲しくて・・・・ここに来ちゃったの・・・。」
超と言っていい程の恥ずかしがり屋で恋に奥手なつくしが、顔を真っ赤にしながら俺の着物の袖端をちょこんと握りしめ、手を震わせている。
今すぐここで唇を奪いたい。 それぐらいに壮絶につくしが可愛いくて、あと少しでここがホテルのロビーである事を忘れてしまうところだった。
「・・・俺について来い。」
つくしの手を掴み、ホテルの受付に声を掛けてキーを受け取る。その足でエレベーターへと乗り込んで、最上階スイートのドアを開けた。



先につくしを部屋に入れてゆっくりドアを閉め、つくしを背後から抱きしめた。
「西門さん・・・!」
「ウィルにキスされそうになったって?」
左の手で髪を避けて、つくしのうなじにキスを落とす。白くてきめ細やかな肌から、仄かに香る甘い香りを嗅ぐため鼻をよせる。息が首を掠めたのか、びくっとつくしの肩が動く。
「どうやってキスされそうになったか言えよ。」
首を下から舌で舐め、耳朶を甘噛みすると、ガクガクと躰が震えてきた。
つくしが女になる合図だ。

耳孔を舌で丹念に嬲りながら、そっとコートを脱がす。指で柔らかい胸をなぞるように触ると、ツンと主張している先端を簡単に探しあげることができた。ブラ越しで軽く触り、つくしが甘い声を発した瞬間、刺激を止める。
敏感な箇所を甘い疼きが走る寸前で止めた事に、つくしは物欲しげな吐息で抗議する。眼が潤んで、色っぽい。
背中のファスナーを下げてブラのホックを取る。ワンピースもブラも全てが床に落ち、つくしはシミひとつない細い背中を無意識のうちに左右に揺らした。
早く触って欲しいと、主張しているかの様に。

まだまだだ。
俺をもっと求めてからじゃねぇとな・・・。

「もう一度だけ言うぞ。
 どうやってキスされそうになったから言え。」
触れるか触れないかギリギリのところで、背中に指をすっと滑らせる。ほんの少しの刺激で敏感になってしまったつくしはビクビクと仰け反り、あと少しで躰が崩れ落ちる寸前だ。
「・・・手を・・・。」
「手を?」
「・・・!手を・・・手を握られて・・・。」
「ふぅん・・・。それで?」
小さいながらも形のよい乳房を、背後から包む。
「ぁあああぁ・・・。それだけ・・・。
 それだけだけだから・・・・!」
柔らかくて滑らかな肌を撫でまわすが、、あえて紅く主張している先端を触らない。
首にキスを落としながら片手の指の腹で先端を挟み、もう片方の手で下着の上からたっぷり濡れた箇所を確認する。
「つくしはエロすぎ・・・。
 こうやって触っているだけで、ほら、こんなにたくさん濡れる。
 もし、ウィルにキスされていたらどうなっていたか考えてみろ・・・。
 お前は油断しすぎなんだよ。お仕置きが必要、だな。」
グイっと布越しに指をしずめ、他の指で、蕾をこするとつくしが甲高い嬌声を上げた。
ぐりぐりとこすり上げると、甘い刺激につくしはもうふらふらだ。
「・・・いやぁ・・・。
 にし・・かどさんが・・・スしてぇ・・・。」
喘ぎながら身悶えるつくしの姿に、俺は快感を覚えた。

くくく。やべえ・・・、俺ってドSじゃん。
ま、こんな刺激くらいで簡単に陥落してしまう躰に、
俺がたっぷりと仕込んだからな・・・。

「何?聞こえねぇけど?
 ・・・俺にどうされたいんだよ?」
きゅっと、蕾と赤い先端を同時に摘まむ。
「はぁん!!はぁっ・・・き・・・キス・・・して。」
「それだけ?」
わざと触れないでいた先端を強めに摘み上げると、甘くて強い刺激のせいで更に蜜を溢れさせた。その感触を自覚したのか、つくしはふるふると首をふり、潤んだ瞳をさらに蕩けさせていた。
「・・・たい・・・!
 西門さんと・・・つながり・・・たい・・・。」
もう限界なのか、しがみつくように俺の腕に絡む。真っ赤になって、快楽と羞恥が入り混じった姿で見上げながら、俺を誘う。その仕草は俺のツボだったようで、プツッと何が切れる音が脳内を弾いた。かあっと熱くなった俺は、つくしを抱き抱えてベットに向かった。





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colorfulbox あおサマ
- 2018/02/20(Tue) -

かすみちゃんの恋のステップアップ大作戦



ジャジャ〜ン!!『恋のステップアップ大作戦』を決行する!それは好きな人にチョコを渡す事よ!

ッ、つまづいたり傷つく事を怖がってばかりはダメだなって思ったから!チャレンジするわ!

ププッ、緊張し過ぎてテンション上がりすぎかもぉ。

さぁ行こう、私の好きな人、西門総二郎の元へ!

ん〜と、その前に、軽く準備体操しとこう!イチ・ニ・サン・シ!ニー・ニッ・サン・シ!腕も伸ばして屈伸して。リラックスする為の体操は大事よね。うんうん。体を起こしてーの

ブっ倒れないように腰に手を当て背中をぐぅ〜んと後ろに反らす!気持ちいいのよね、コレ。

ロック大好きでミュージシャン達には『大好き〜♡きゃぁぁ〜♡』とか言ってガンガン応援して追っかけ出来るんだけど。はぁ〜。リア恋だとそうできない。ドキドキして体がカチンコチンになって目の前に彼が現れても何にも出来ない。いつも見ているだけ。

グっと握りしめた両手を頭の上に高く上げ、天に運気を貰おうと空に向かってパッと開く。私に力をちょうだい!

おぉっし!!準備はおっけー!

たたたっ、と標的まで一気に走るのよ!

んーーーおっとぉ!

じめんを強く蹴って加速し過ぎて通り過ぎちゃったじゃないっ!タイムを叩き出そうとしてどうすんのよっ、私!

よよよ、と心の中で泣いてから

うおっし!!と太ももをバンバン両手で叩いて

びしっ!と両頬も叩いて気合注入!!・・気合を入れ過ぎて頬がちょっとヒリヒリするけれども

おっしっ!!回れ右して標的をロックオ〜ン!

め、目があっちゃったぁ!こっち見てるぅぅ〜!

でっかく目を見開いて私を凝視してるじゃない!・・・と思ったらお腹を抱えて笑って、る。えっ、なんで爆笑?
あっ!!・・その、くしゃっと笑った表情は、、

ともだちにしか、心許せる人にしか見せない表情だよね。

うん、ずっと見てきたから、私には解る。


🎉🎉🎉


今日は2月18日。
彼がバレンタインのチョコを受け取らない人だって知ってる。
バレンタインデーから4日経過。
つまり、これはバレンタインのチョコではないの!世間様が言う告白のチョコじゃな〜い!『ただのチョコ』なんだな、うん。

私の大作戦、最初に言ったけどチョコを渡す事!
告白なんてせず渡すだけ。それでいい。

なんだそのこじつけ?って言われようが
告白しないなんて傷付く事を怖がっているからじゃない、って言われようがこれが今の私の精一杯っ!恋の初心者なんだから、てか地下からのステップアップなんだから、渡せたら満足よ!小さい成功が積み重なっていつか大成功を生み出すのよ!
だからこれは未来の恋の為の一歩なのよ。

・・・私が好きになった人はあの『西門総二郎』思いが通じ合うなんて無理だもん。
だから渡せすだけでいいんだもん。

英徳大学の先輩。いつもナイスバディで派手で綺麗な女の人に囲まれている。最初に見た時はその御一行様が凄すぎて目が釘付けになっちゃったわよ。世の中には派手な人達が本当にいるんだなと思ったのよね。なんだかイチャイチャもしてるし。それからもの珍しくて見かけると観察するようになって。

幼馴染と言われる人達とじゃれあう姿だったり、
綺麗なお姉さんに思いっきりビンタされてたり、
教授と話してる真面目な表情だったり、

今日はどんな表情が見れるんだろうって、いつの間にか楽しみになってた。

ある日、大学構内に住み着いているネコを撫でている姿を見かけた。

「お前は自由でいいな」

ポツリとそう言った時の表情がとても哀しそうで
でもとっても綺麗で目が離せなかった。
私はその時、彼を好きになったんだと思う。
彼の心に触れてみたいと思ったんだ。



はっ!うわっ!
笑いながら一歩二歩と私に近づいて来た!

「ねぇ、き、君。くくっ。名前何て言うの?」

「か、かすみ」

はっ!これはチャンス?!

「ただのチョコ!」

片手でグイっと突き出した。

「はっ?・・・・・」

ポカンと口を開けたと思ったら

「ぶっ!!」

す、すごい激レア!西門総二郎が、目の前で吹いてる!

側にいることが出来たら、もっといろんな表情が見れるんだろうな。胸の奥がチクッとする。

ガシっと手を取りチョコを握らせ、返されないようにさっさと背を向け方向転換。緊張して手足がうまく動かないっ。右・左・右・左。ちゃんと動かすのよ、私!早くその場を離れなきゃ。

渡せた!渡せた!しかも手、触っちゃった!
限界まで手を洗わないぞ!あっ、記念に手形を取ろうかな。

頑張ったよね、私。
思いは伝えてないけど、頑張ったよね。

胸の奥がもっとチクチクして、鼻の奥がツーンとして、周りの景色が滲んで見える。作戦は成功したのに・・。

「ねぇかすみちゃん。ただのチョコ、俺と一緒に食べてみない?」


FIN.





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- 2018/02/20(Tue) -

曲がり角には福がある



彼、西門総二郎が、彼女、牧野つくしに出会ったのは偶然だった。

いやっ?必然?

まぁ、細かいことはどうでも構わない。

なにしろ二人は出会い、総二郎はつくしに恋をした。


総二郎は、愛しいつくしに会うために毎朝六時きっかりに、この角を曲がる。

なんで、六時きっかりってわかるかって?それはね、ほらっ

ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン

時告鳥ならぬ、近所のお寺の時の鐘が鳴るのだ。

鐘に合わせて曲がる癖して、さも偶然会っちゃいましたを装おって西門総二郎は、毎朝毎朝この角を曲がるのだ。毎朝、ご苦労な事だと思うが、どんなに疲れようが、おいおい、この時間、この場所から日帰りかい?……でも、嬉々として帰ってくるんだ。

そんだけ好きなら、早いとこモノにしちいまいなよ!と思うけど…毎朝会えるだけで大満足してるのだ。
いつもの手練手管……おっとと、これは失礼。いつもの……うーん、都合のよい一期一会? いや、もっとまずいか……うーん、まぁなんだ、お気楽極楽は、鳴りを潜めて、これがまぁ、純情可憐に惚れちゃって、中坊だって、いやいや今時の小学生だってしないみたいな不器用さ満載に片恋をしている。

つくしもつくしで毎朝会う色男の恋心に、いい加減気が付いてやればいいものの、鈍いんだかバカ……おっと、これまた失礼。まぁ、なんだ、おぼこで純粋って奴で、ちっとも気が付かない。


片恋総二郎、つくしの一挙一動に可笑しなほどに一喜一憂し身悶えている。先々週の喜びは、つくしがニッコリ微笑み口にした言葉

「西門さんって、凛とした寒さの冬が似合いますね」

だった。

天にも昇る心境とはこんな事を言うのかと思いながら、その言葉を噛み締め幸せな日々を過ごした。


先週の憂いは……今季一番の冷え込みですと、お天気お姉さんが言っていた極寒の朝だった。鼻の頭を真っ赤にしながら、つくしが放った言葉

「冬は寒くてイヤになっちゃいますね。早く、春来いですよね」

総二郎の頭の中で銅鑼がなったかのように……冬、イヤになっちゃいますね。冬、イヤになっちゃいますね。冬、イヤになっちゃいますね。が、クルクルと鳴り響いた。浮き足立っていた一週間があっただけに落ち込み様は、半端なく天を仰いでは溜め息を吐く日々を過ごした。


お付きの者達も最初の内こそあたふたとしたものの、この頃では手慣れたもので、総二郎の惚気や呟きを適当にあしらっている。

時折……己達が傅いた主は、もう少し冷静沈着な男だった気がしたなと思うのだが、恋する総二郎は人間味に溢れていて、こんな主も

『悪くない』

と思わせるのだ。

もともと類稀な容姿と併せて非凡の才能の持ち主であったが、この一年、誰も見たことのない大輪の花を咲かせてくれるのでは?と思わせるほどに、才能を開花させている。

誰も見たことのない未知のものをこの目で見てみたい。と思うのは、この世の常だ。だからだろうか、総二郎の恋を誰も反対しないし、誰も止めない。いや、それどころか……影ながら応援しているのだ。

多分……総二郎と同じくらい、いや、ある意味それ以上に周りの者達がつくしに関することを熟知している。『つくしんぼちゃん観察日誌』なるものが存在するとかしないとか……

まぁ、最初は、さして美しくもない極々普通のつくしのどこに総二郎ほどの男が惚れたのだろうかと意地悪な見方をしていた者達も、つくしを観察している内に何だかわからないが好きになり、もっと観察してるうちに彼女の持つ真っ直ぐさに、べた惚れになっていく。
そして、そんなつくしを好きになった総二郎を西門を率いる主として、また一個人としても頼もしく、そして好ましく感じるのだ。

総二郎の恋する樣を見ていると忘れていた尊いものを思いだす。一番大切なものとは何なのか?一番必要な相手は誰なのか?


総二郎の父もまた、妻に出会った瞬間のことをありありと思い出した。出逢った瞬間、頭の中に鐘が鳴り響き、一瞬で心を、否、全てを奪われた。彼女の言動に一喜一憂した。結婚が決まった時には、彼女と共に紡ぐ未来を夢想し、幸せに酔いしれた。それが覆されたのは、結婚式当日だった。彼女には好いた男が居たと、それでも、この話を断らなかったのは、否、断れなかったのは、お家のためだと……天国から地獄に突き落された気がした。

でも……掴んだ幸せを失いたくなくて、彼女の今の気持ちを聞くことが出来なかった。西門に縛り付けるかのように、三人の子を設けた。子供が生まれる度に、子の誕生を喜ぶよりも何よりも、これで枷が増えた。彼女は何処に行かない。行けない。そんな黒い喜びに包まれた。邪さを纏わせた思いは、好きで好きでたまらない気持ちをねじ曲げていった。

子供に、家に、縛る一方で、自分自身は素直になれずに、彼女が嫉妬をしてくれたならと、見せ付けるように浮き名を流し続けた。彼女に自分を見て欲して欲しかった。なのに……彼女は嫉妬するどころか、愛人達に盆暮れ正月の付け届けを送る始末だ。やはり、自分の事など愛していないのだと思い、一人悲しみに彷徨い続け、やさぐれていた。

総二郎の真摯な思いに触れ……自分もあの頃のように頑張ってみたくなった。玉砕したところで今と同じだ。もし上手くいったらめっけもん。ならば、くだらないプライドに縛られているのではなく、己の気持ちに素直にならなきゃそんだ。それに、玉砕したところで夫婦だ。粘って粘って振り向かせればいいだけだ。

…………蓋を開けてみれば夫人の初恋相手は家元だった。家元夫人もまた、家元に恋焦がれていたのだ。遠回りをした。でも、いま二人は幸せの真っ只中で過ごしている。

お礼?と言ってはなんだが、二人は、いい口実を総二郎にプレゼントした。そのお陰があって、総二郎は、つくしと仲間になり会話を交わせるようにまでなれたのだ。

まぁ、それもかれこれ半年前になり、その前の見つめるだけの恋期間も入れると、今日で一年が経つ。てな訳で、家元夫妻筆頭に西門一門総出でつくしと総二郎がくっつくのをジレジレしながら待ちわびている。


ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン

今日も六つの鐘が鳴る。

もうじきつくしがあの角を曲がりやってくる。

ほらっ、もうじきだ。

ソワソワした気持ちを押しやり、総二郎は、なに食わぬふりして天を仰いだあと、あの角を曲がるんだ。


5、4、3、2、
アレッ


「あっ、キク、ダメ、ダメ」

キクはつくしの手を離れ、一目散にカスミ目掛けて走りだした。

そして……カスミ目掛けて好きだ好きだと猛烈アタックを開始した。

「き、き、キク、だめ、だめ、に、に、西門さんカスミちゃん、だ、だ、抱きあげて、く、く、下さい」

総二郎は、カスミを抱き上げるより何よりも、キクの全身好きだアピールに感銘を受けていた。

『そっか、好きなら好きだといかなきゃダメだよな。ヨシッ!』


「キク!」

とつくしが声を発したのと

「つくしちゃん、結婚してくれ」

総二郎の一世一代の告白と


「ワォ~ン」
「クゥ~ン」

キクとカスミの鳴き声と全てが重なりあった。

「えっ?……えっ?えっ?、に、西門さん?」

「つくしちゃんが好きだ。つくしちゃんは、俺のこと、嫌いか?」

つくしは、大きな瞳を更に見開いて首を振る

「じゃ、結婚してくれ」

「け、け、結婚って……」

「いやかい?」

「いやって、言うより、あたし達、い、犬仲間だし、って、キクっ」

「犬仲間だと結婚出来ない?川瀬さんと新井さん先月結婚したよね?」

言葉をかぶせるように総二郎に言われて……先月末に結婚した犬仲間の顔を思い浮かべながら

「あぁ、そうですよね」

つくしが返事をすれば、我が意を得たとばかりに

「じゃあさ、俺達も、結婚しようよ」

総二郎が畳み掛ける。勢いに釣られて思わずコクンと頷きそうになったあと

「いや、いや、いや……あたし達、付き合ってないですし」

「じゃ、付き合おう」

「えっ?」

「んっ? やっぱり結婚?」

「あ、あの、そんなことより、今は、キクとカスミちゃんをですね……」

「俺たち上手くいけば、カスミもキクも幸せだよ。ねっ」

総二郎は真っ白な歯を輝かせながら、ニッコリと微笑んだ。

「それは、そうみたいですけど……だからって、いきなり結婚って」

仲睦まし気に寄り添う二匹を目の端にとらえながら言葉を返せば

「じゃ、取り合えず付き合おう!決りだね」



なんだか、とてつもなくドタバタとして、そして強引な告白と相成って、二人は付き合いだした。


その後、押せ押せ総二郎とばかりに押して押して押しまくり……戸惑っていたつくしの心を見事射止めた。

つまらぬ事でヤキモチ妬いて時々ケンカもするけれど、思わず微笑んでしまうほどの仲睦ましさだ。出逢った日から三年目の今日、晴れて二人は幸せの鐘を鳴らす。

勿論、キクとカスミも披露宴には特別ゲストとして参加予定だ。


そうそう、誰が広めたかアノ曲り角。今じゃぁ、幸せの曲り角として、観光名所の一つとなっている。

何はともあれ、おめでとう。そして末永く幸ありますように!





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colorfulbox 星香サマ
- 2018/02/20(Tue) -

お江戸でござる! 異国蘭学浪漫編

※注意書き
このお話は、大店の一人娘、つくしと、ぼんくら亭主(婿殿)総二郎。
番頭の類、同心のあきら、侠客の司(今回出番なし)が織り成すパラレル時代劇(もどき)。
今回は総二郎とつくしの結婚後のお話です。


パラレル時代劇『お江戸でござる!』本編はこちらから♪
※柳緑花紅 河杜花サマ宅へのリンクとなります



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時は江戸。
徳川の狸爺が東の国に幕府を開いて200と数十年。
浦賀の沖に黒船は現れるわ、井伊の大老は浪人の刃に倒るわ、世間は攘夷だ何だの大騒ぎ。

そんな中でもこの男、今日も真っ昼間から呑気に茶屋の軒先に座り、湯飲みを片手に人垣見物。

「おネィちゃん。あちきと遊ばない?」
「きゃーっ! なにこの人っ!」
「…おいおい…。つれないねぇ…」

通り掛かった綺麗処に袖にされ、総二郎はくいっと湯飲みに入った茶
…ではなく、酒を煽る。
茶屋の看板娘も常連客も、いつものことさ、と気に留める様子もない。

よく見れば…
否、よく見なくてもこの男、かなり整った顔立ちをしている。
月代を整え小袖と裃を身に纏い、本差と脇差、2本の太刀を佩けば、誰もが振り返る見目麗しい侍になるであろう。

なのにここにいるのは、髷はきちんと結わず、女物の着物を着流し、昼間から酒を飲み女を口説く、ぐうたらもの。
品川宿の問屋である『牧野屋』の跡取り娘つくしと結婚し、めでたく入婿となったのだが、肝心の店のことはつくしと番頭の類に任せっきり。

とはいえ総二郎には不思議と人を惹きつける魅力を持っている。有事の際には「奴が一声掛ければ、東海道中の雲助が集まる」と噂されている程に。


そんな総二郎が道行く女性、誰彼構わず笑顔を振り撒いていると、聞き慣れた声が頭上から響く。

「相変わらずだな」
「…なんだ…あきらか…」

首だけをひょいと上へ向けその人物を確認すると、再び視線を路上の女性たちへと向ける。
“なんだ”扱いされたあきらは、いつものことと苦笑しつつ、総二郎の隣の長椅子に腰を下ろした。
茶屋の娘に、こちらは本当の茶を頼むと、はぁ…と、ため息をつく。

「なんだ。ため息とは、色っぽい話か?」
「そんな訳ないだろう?」
聞いた方も聞かれた方も、判りきった問答に薄く笑う。

「…攘夷、攘夷…か……」
唄うような拍子で総二郎が呟く。

「冗談じゃなく、巻き込まれないよう気を付けろ。
ヒュースケン(※1)の一件以来、幕府はピリピリしてるからな」
「別に、野郎が一人二人、切られたところで惜しいもんでもないだろうによ」

そういう問題ではないことを知っていながら、敢えて軽口を叩く。
相変わらずの総二郎の態度に、あきらが苦笑を浮かべた。

「まぁ…なんかあれば知らせるわ。
…あんまり思い詰めると、禿げるぞ」
「俺は禿げじゃねぇ!」

身内に誰も禿げはいないのに、何故か仲間内からは髪の毛を心配されることの多いあきら。
気遣い屋故に言われることなのだが、最近のあきらは“禿げ”に過剰反応を示す。それを知っての総二郎の茶化し。拳を上げたあきらを避けるようにひょいと立ち上がると、後ろ手に手をひらひらさせ歩き出す。
苦虫を噛み潰したような顔をしたあきらは、残った茶を飲み干し席を立った。



「帰ったぞー」

いつもの通り自宅の暖簾を潜ると、奉公人達が一斉に頭を下げる。
品川宿の問屋“牧野屋”は相変わらずの繁盛ぶりだ。
店に居る馴染み客に軽く挨拶をしていると、見たことのない女性が軽く頭を下げ、店から出るところだった。
思わず「おネィちゃん…」と言い掛け、店の一番奥で帳簿を付ける男の嫌味を思い出し、それを止める。

「誰だ、今の…?」
「…近くの住人…」
誤魔化すように類に尋ねると、素っ気ない返事が返ってくる。

「イイ女だな」
「未亡人だよ。…けど…」
「けど…?」
珍しく言いよどむ類に眼を向けると、小さく「多分…外妾(※2)…」と呟く。

寡婦は、実家が裕福か再婚のあてが無ければ生活が成り立たない。外妾は給金も良いため故あるものはなる場合も多かった。
女の身の上を思い、僅かに眉をひそめる総二郎に、類の淡々とした声が響く。

「心配しなくても大丈夫だよ。牧野には俺が居るから」
「…おい…何の心配だよ…」

ギロリと睨み付けるのだが、 類は何処吹く風。飄々と算盤を弾く。
「絶対、お前より先にはくたばらねぇ」と呟きながら奥の部屋へと向かうのだが、あきらの言葉と女の細い肩が気に掛かる総二郎であった。



数日の後
ぐうたら亭主は今日もまたふらふらと町中を着流しで歩く。長屋が多いせいだろう。横丁からは子供達が遊ぶ声が聞こえてくる。
『元気なことで…』と思っていると、なにやら囃し立てる子供の声が届いた。
子供同士の喧嘩か…と通り過ぎようとしたのだが、どうやら一方は女。しかも相手は多勢のようだ。くるりと角を曲がった総二郎が眼にしたのは、ひとりで身体の大きな少年達に立ち向かう少女の姿。年はまだようやっと“つ離れ”したくらいだろうか?
果敢なその後ろ姿に、ふと、初めてつくしに出会ったときの事を思い出し、笑みを浮かべる。

「ケッ…何だよこの…」「おいおい、女を口説くには、些かなってねぇなぁ…」

からかうような総二郎の口調。
大人、しかもかなりの長身のその姿を見た途端、蟻の子を散らすように去って行く。「覚えていろ」という独創性のない単語を口にして。

「…生憎、野郎の顔を覚える気はねぇよ…」
くくっと喉を鳴らし、ひとり残された少女の方へ足を向ける。
突然の出来事に呆然としていた少女が、くるりとこちらを見た途端、総二郎の足が止まる。
不思議そうにこちらを見つめる大きな瞳の色は、異国人と同じ鳶色をしていた。


「……おじちゃん…だれ…?」
首を傾げそう尋ねる少女に苦笑を浮かべる。

「…おいおい…。まだ“おいちゃん”扱いされる年じゃないんだがな…。
“お兄さん”と呼んでくれ」

親友達が聞けば「充分、おじちゃんだ」と突っ込まれそうな言葉をしれっと告げる。が、少女は素直に「お兄ちゃん…?」と口にした。

「嬢ちゃん、こんな処でどうした?」
「あのね。今日はDadが来るから、お花を摘んで飾ろうと思ったの」
「だ…ダット…?」

聞き慣れぬ異国語に首を傾げつつ、少女の瞳の色と“来る”という表現で大体の検討はついた。恐らくは近くに住む外妾が生んだ子供だろう。先程逃げていった子供達も、見慣れぬ瞳を持つ少女に、心ないことを言っていたに違いない。
総二郎は再び近付くと、少女の頭をポンポンと撫でる。

「…偉いな、嬢ちゃん。名前は?」
「…Plumeria…。お花の名前だって…」
「ぷるめりあ…。プルちゃんか。可愛い名前だな」

総二郎が笑いかけると、少女はぽっと顔を赤らめた。



片手に野の花を、片手は総二郎と手を繋ぎ、プルメリアと名乗る少女は楽しげに帰路を急ぐ。
最初は怪訝そうにしていた少女が、元々、人好きのする総二郎。しかも幼いとはいえ女に嫌われる筈もない。

「Dadはね。お船に乗って、お仕事で江戸に来たんですって。ショーグンサマにも会ったことがあるんだって。
総ちゃんは何のお仕事をしているの?」
「んー…そうさなぁ…」

総二郎が曖昧に笑う。
まさか子供相手に、『普段は何もしない駄目亭主』等とは言えない。
そんな会話をしながら町外れに向かうと、ぽつりと1軒、小さな家が見えて来る。
家の前には馴染みの薄い洋装の男。背は総二郎と同じくらい高い。
それに、いつぞや店ですれ違った寡婦の女。
男の姿を見付けると、プルメリアは破顔し駆け寄る。

「Dad!!」
「…危ねぇっ…!」

周囲の殺気に気付いた総二郎が叫ぶ。
手にした杖で振り下ろされる刀を払う。
ひとり、ふたり…
何処に潜んでいたのか、いつの間にか家の周囲を数人の男が囲んでいた。

「…何者だ…。貴様…」
「人に名乗るんなら、自分から先に名乗るのが“礼儀”ってもんだろ?
最近の“武士”は、そんなことも忘れちまったか…」

総二郎の挑発に「なにを…」と、柄に手を掛ける。
江戸とは異なるイントネーション。
水戸か、薩摩か、長州か。
いずれかは判らぬが、血気にはやる若い侍であることは間違いない。

「このオッサンが何者かは知らんがな。
女子供の前での刃傷沙汰は、どうかと思うぜ」

「逢引きを狙うなんて、野暮の極みだしな」と、薄く笑う。
呆然とする3人に中へ入るよう告げると、杖を構えた。

数人は問答無用とばかりに斬りかかってくる。
それを杖でなぎ払うと、男達は呆気なく気絶した。
その立ち振る舞いに実力を悟った年長者らしき者は、刀を構えじりじりと間合いを詰めてくる。
只の者は異なる師範代級の太刀筋に、総二郎の背中にも汗が伝う。
防げるか…?
そう思っていた総二郎の視界の端に、自宅から飛び出す子供の影が映る。

「…総ちゃん…!」
「馬鹿! 出てくるなっ!」「毛等の子供がっ! 天誅っ…!」

男の刀が、総二郎から少女に向かう。
刀が振り下ろされるより先に、少女の身体は総二郎にすっぽり包まれた。

「…ぐ…」
「…攘夷も結構…。…異人の野郎を切るのも結構…。
けれど女に手に掛けるなんざ、武士の…男の風上にも置けねぇな…」
「そ…いつ…毛等の…」
「ハ…。関係ねぇ…。何が“天誅”だよ…!」

低く、怒りに満ちた総二郎の声。
杖に仕込まれた刀が、男の腹を貫く。
総二郎の背後で、ドサリと人の倒れる音がした。

「…総ちゃん…?」
「おう、プルちゃん。大丈夫か…?」

背後の様子は総二郎の身体に隠れ見えないため、素直に頷く。
いい子だ、とばかりに頭を撫でていた総二郎の手が止まる。

ぱたり。
総二郎の身体が傾ぐ。
と、同時に脇腹に広がる赤いもの。

「総ちゃん!」「旦那さん!?」「Oh! My God!!」
叫ぶ声が、やけに遠くに聞こえた。



陽が落ち静けさが訪れていた療養所に、けたたましく扉を叩く音が響き渡る。

「先生! 仁(じん)先生! 居るかっ!!」

通報を受け駆けつけたあきらが扉を叩くと、奥で灯りが近付いてきた。
扉を開けたのは、島田髷姿の綺麗な女性。

「…そんなに叩かなくても…。あら…美作さん…」
「かすみちゃんか…。仁先生は…?」
「今、ご用で川越に…。って…総さん…?」
あきらの後ろでぐってりと倒れ込む総二郎の姿を見付け、慌てて中に入るよう告げる。

「…かすみちゃん…。今日も可愛いな…」
「…馬鹿なこと言っている場合じゃないでしょ!
…そっちに運んで下さい…。そう…そっと…」

倒れ意識が遠くなりながらも、恒例の軽口は忘れない。
そんな総二郎にあきれつつ、かすみは連れてきた者に指示を出しながら、自らは白い割烹着を身に纏い、頭と口元を布地で覆う。
寝台の上に乗せられた総二郎の右脇腹に、大きく広がる血の跡。
それを開け、傷の具合を確認していく。

「…傷は動脈には達していないようですが…。出血が多いので、まずは止血します。
麻酔と…輸血の用意を。それから…」

テキパキと周囲のものに何かを告げる。
棚から取り出される沢山の薬。細い針と管が繋がったものを手に戻ってくる。

「…相変わらず…ここの作業はまやかしみたいだな…」
「…まやかしではなくて、仁先生が教えて下さった最新の蘭学です。
美作さん。総さんの腕を押さえていて下さい」
「…おい…かすみちゃん。俺は男に襲われる趣味はねぇぞ…」
「総さんは少し黙っていて下さい。麻酔、しますからね」

ぴしゃりと言い放ち、総二郎の腕に針を刺すと、口元に布地を当てる。
僅かに顔を顰めた総二郎だが、そのうちゆっくりと瞼を閉じた。

「…どうなんだい? かすみちゃん」
「…大丈夫です。総さんは私が絶対に死なせませんから…」

かすみは力強く告げると、作業に取りかかった。



総二郎が目を覚ますと、障子扉の向こうが明るい。
意識を手放す前に見た風景とは異なる、畳の部屋。
起き上がろうとしていると襖が開き、かすみが入って来た。

「駄目ですよ、総さん。まだ寝ていて下さい」
「…ざまねぇな…」
「美作さんから伺いました。女絡みで後ろから刺されたんですってね」
「そ…そりゃあ…」

強ち間違いではないが、その言い方にはかなり語弊がある。
否定しようとして止めた。感が良く、医術を学んでいるかすみのこと。「いつか刺されますよって、言っておいたじゃないですか」と呆れた口調で告げるものの、女に刺された傷ではないと気付いている筈だ。

「…へーへー。すみませんねえ…。で、これはいつ外れるんだ?」
左腕に刺さった針と管を指差す。

「この中の血液が無くなるまでです。…結構な出血量だったんですよ」
「……すげぇ技術だよな。…そうだ…かすみちゃん」
「何ですか?」
「…これ、類の血は混じってないだろうな?」
「…こんな状態で、言うことはそれですか…」
はぁっと大きくため息をつく。

「類さんの血液型はAB型。総さんはO型なので、輸血はできませんから、ご安心を」
「…かすみちゃんのなら、いつでも歓迎するぜ…」
「馬鹿なこと言わないで下さい」
つれないかすみの態度に苦笑を浮かべる。


小石川にある療養所『仁友堂』に勤めるかすみは、総二郎のかつての許嫁である。
武家の娘であるかすみは、総二郎との縁談が御破算になった後、別の武士の元へ嫁ぐ予定であった。
が、結納の途端場で破棄し、自宅からは勘当。『仁友堂』の主である南方仁(みなかたじん)のもとに身を寄せていた。
仁の医術スタイルは独特で、身体に管を刺したり、血液を「ええ(A)」だの「びぃ(B)」だので4つに分けたり…。
江戸で流行った古呂利(コレラ)や、廓特有の病(梅毒)も治療しており、その腕前は、かの緒方洪庵をも凌ぐと言われている。

「…仁先生は、留守なんだって…?」
「…留守で良かったですよ…。
それでなくても仁先生、才谷さん(※3)のことを心配して心配して…。
このうえ、総さんもまでだなんて…。
これ以上、心配事を増やさないで下さい」
「…才谷さんねぇ…」

かすみの言葉に、一度だけこの療養所で出会った男を思い出す。
土佐訛りのある下級武士。だが、その眼には特有の力があった。
なにかをしでかす者が持つ眼、それと同時にある危うさ。

「…ああいう輩が、“時代に選ばれた人物”っていうんだろうねぇ…。
凄いんだろうが、肩が凝っていけねぇよな…」
俺には到底無理だと笑う。

「ま、心配しなくても…。俺は細く長ーく、しぶとく生き残ると決めているんだ」
「…ならばいいですけれど…」
作業を終えたかすみが立ち上がる。

「でも、奥方様からの一発は、覚悟しておいた方がいいですよ。
美作さん、つくしちゃんにも先程と同じ事を言っていましたから」
「なにっ!」
「ほら、起き上がらない。まだ絶対安静ですからね。
さっきから向こうの部屋で待っていますから、呼んできますよ」
「ちょ…ちょっと待て…」

総二郎の制止も聞かず、明るく告げると襖を閉める。
幾ら素直なつくしとはいえ、あきらの言うことをそのまま信じるとは思えない。
…多分。
それに…自らの身を案じ、泣きはらした目を向けられるのが、総二郎にとっては叩かれるよりののしられるより、何より一番堪える。

-さて、どうしたものか…?

横になったまま、思案を巡らせていると、襖の向こうから聞こえて来るのは、聞き慣れた軽やかな足音。
いつにない状況に、大きく息をつく総二郎であった。



-お江戸でござる! 異国蘭学浪漫編 了-



※1 ヘンリー・コンラッド・ジョアンズ・ヒュースケン
アメリカ国籍を取得したオランダ人。ハリスの通訳として来日。
1861年(万延元年)攘夷派の薩摩藩士に襲われ死亡。

※2 外妾
外国人の妾。羅紗緬(らしゃめん)とも呼ばれた。

※3 才谷梅太郎 
本名:坂本龍馬
1867年(慶応3年)京都近江屋で中岡慎太郎と共に暗殺された。





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- 2018/02/20(Tue) -

Relaxing time ~ある休日の1コマ



和室の静かな部屋に、鹿威しの音だけが聞こえる。

「総、お疲れ様。明日も朝から忙しいから今日はゆっくり休んでね。」
そういってつくしがお茶を持ってくる。

縁側に腰を掛けた俺は、縁側に腰掛け石庭を眺める。
つくしが俺の隣に腰を掛ける。

つくしの手をギュッと握りながら
「静かだな・・・」
その言葉しか出てこない。


学生時代狂ったように女をとっかえひっかえしていた俺からは想像もつかない穏やかな生活。
それが嫌ではなく、その穏やかな生活が今の俺にはすごく合っているのだから・・・。

「総、ここ連日、御贔屓さん筋が主催の茶会やら食事会やらですごく忙しかったでしょう?
だから今日みたいに、お弟子さんのお稽古を見る以外に時間が空いている時くらいはゆっくり休んでね。」
そういってお茶を俺に渡しながら、笑顔をみせる。

その笑顔は、あの頃から変わらない。
 ― あぁ、この笑顔だ
俺はこの笑顔が見たくてたまらないんだ。

*****************

つくしは俺の横で笑顔をみせながら、この間一緒に母と食事をした時の話をしている。
母とつくしは会わないんじゃないか?
結婚するときはそんな事を思ったりしたのだが、つくしは知らないことが多すぎるのでいろいろと教えてくださいと
母になんでも相談するようにしているからなのだろう。
母はつくしを本当の娘の様に可愛がっていた。

はじめはつくしを快く思わないかった御贔屓筋や後援会の御婦人方も、
母がつくしを気に入っていると知ってからは、つくしに聞こえるように嫌みを言ってくるようなことは無くなり

つくしと交流を持つようになってからは、つくしの魅力に気がついたようで、
今ではつくしは母が忙しくて参加できない婦人会にはつくしに参加してほしいと声がかかるようになっていた。

こうなるまでに苦労もしただろうにそんな表情一つ見せずに毎日笑顔での過ごしている。
この家に嫁がせたことで苦労をさせるんじゃないか。
そんな俺の心配は杞憂におわったのだった。

*****************


「そうだな。こうゆう時しかお前ともゆっくり過ごせないしな」
そういいながらつくしの膝に寝っ転がる。

俺がつくしに膝枕をしてもらっている状態で見あげていると、

つくしは恥ずかしそうな反応をみせる。

総二郎は、そんなつくしの結婚前と変わらない反応に笑顔がこみあげてくる。
自然にこんな表情ができるようになるんてな・・・
表情を貼り付けていた時の俺が見たらびっくりするんだろうな
そんな事を思いながらも俺はつくしの膝に頭を寄せると、ここ連日の忙しさからウトウトしていた。
1、2時間ほど眠っていたらしく、目が覚めた時はつくしが穏やかな表情で俺の頭を撫でていた。

**************


1、2時間つくしの膝枕で休憩した俺は、つくしが行きたいと言っていた屋敷の近くに2月前にできたというカフェに来ていた。

ケーキとコーヒだけではなく、あんみつや和風のお菓子もデザートとして扱っているカフェ。
お茶の種類もコーヒーの種類やお茶の種類が多くて、つくしはずっと行きたいと言っていた。


俺はつくしと2人で、屋敷から近い裏路地にある静かなこのカフェで、
コーヒーを飲みながら窓の外を見ていると、
向かいで、大きなサイズのあんみつを食べていたつくしが
綺麗に和服を着こなした若い女性がお店に入ってきたことに気がつき声をかける

「あっ、かすみさん」
かすみさん?誰だ??

つくしから初めて聞く名前だった。
声をかけらたかすみという女性はつくしに頭を下げ近づいてくる。
「つくしちゃん。こんにちは。今日はご夫婦でお茶ですか?」
そう声をかけてくる。

つくしはかすみに笑顔をみせ隣に座るように促した。
「失礼します」
かすみは遠慮がちに俺にも頭を下げながらつくしの隣に腰を掛ける。

つくしはかすみに笑顔をみせながらも、俺にかすみと知り合った経緯を説明する。
「あのね。かすみさんはウチと取引のある和菓子屋さんにお茶を卸しているの。
病気のお父様の代わりに、得意先回られている時にお会いしてね、その時にお友達になっていただいたのよ。
今はお父様もお元気になられたので、自分で起こしていた会社で抹茶をもっとみんなに親しんでほしいと
抹茶とお菓子のプロデュースに力を入れているの。」
そういって嬉しそうにあんみつを頬張っている。

「かすみさんは何か頼む?」
そう聞いたつくしにかすみは
「そうね・・・じゃあこれを」
そういってかすみが頼んだのは、抹茶パフェだった。
俺は一瞬、抹茶に混ぜ物か・・・

そんな事を思ったが、
「抹茶だけで飲むのもおいしいけど、こうゆう風にパフェとも合わせてもおいしいよね」
そういって話し掛けると
「あら?ひと口食べる?」
そういって無邪気に接してくるつくしに穏やかな微笑みを見せる。
つくしがこんなに楽しそうな表情を見せるのは久しぶりだ。
かすみが抹茶を親しんでもらうために、お菓子とプロデュースしているというのは、きっと人気が出るだろう。
静かにコーヒーに口をつけながら、静かな話し方をするこの女性から目が離せなかった。

とても聞き上手な女性だった。
「今度はね、つくしちゃんの大好きなあんみつとかロールケーキとも合わせてみたいわね
きっとおいしいわよ」
そういいながら、つくしと食べているものを交換したりしている。

3、40分ほどすると、かすみのスマホが鳴った。
「はい。・・・はい。かしこまりました。近くにいるのでこれから伺います」
そういうと綺麗に和服を着こなしたかすみは、立ち上がり
「ごめんなさいね。これからお仕事の打ち合わせがありますので失礼します」
そういって自分の分の会計をテーブルに置く。

「かすみさん。またお茶しましょう」
そういって笑顔で手を振るつくしに
「ええ。また。住んでるところも近いですしね」
笑顔で俺とつくしに頭を下げるかすみ。

俺も何かひと声かけようと立ち上がる
「つくしの楽しそうな表情が見れました。またご一緒していただけると私もうれしく思いますよ」
そう笑顔をみせて声をかけると
「///・・・あっ///。はっ、はい。」
そういうと頭を下げてかすみは店を後にする。

かすみが店を出た後、つくしは
「かすみさんね。穏やかで静かな話し方をされるし、聞き上手でね~。すごく素敵な女性なんだ」
そんな風にかすみの事を話すのをきいて

抹茶に混ぜ物かよ。と思ったが、つくしがここまで慕ってる女性が、
少しでもみんなに抹茶を広めるために頑張ってくれてるんだから
類の抹茶ミルクって飲み方もありなのかもしれないな

そんな事を思いながら、夫婦水入らずで過ごす、静かな休日だった。


◆END◆





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colorfulbox 花サマ
- 2018/02/20(Tue) -

kissをあなたに【3】



金髪サラサラ・青い目・長身・気品ある美男子・そして桁違いのお金持ちというウィルは、あっという間に英徳学園大学内にファンクラブができるような存在となった。
マスコミも「世界的イケメン大富豪の一族が日本に花嫁探し!」って、またとんでもない特番を組んだものだから、見初められたいと鼻息荒い人達が連日のように大学へと押し掛けてきて大騒ぎ。しかも、もともと有名な「F4」にウィルをいれて、「F5」と勝手に垂れ幕作っている人達がいたのは流石に驚いた。
騒ぎの張本人であるウィルは、短期留学のカリキュラムを熟すと必ずとラウンジにきて、美作さんや花沢類、西門さんと経済の話や政治の話など難しい話をして盛り上がっている。
いい男たちがコーヒー片手におしゃべりしている姿は、私でなくてもついつい見惚れてしまう。思わず、なんどSNS投稿してしまおうかと思ったことか!
ウィルは人見知りをしない陽気な人なので、桜子や私ともラウンジでお話ししたりする。でも、どちらかというと、みんなでワイワイと和やかに喋っている方が多かった。


そんなある日。
ラウンジで今度のバレンタインの特集雑誌をペラペラめくっている時、ウィルが一人でラウンジに現れた。簡単な挨拶をすると、ウィルがとなりのソファーに座り、私の読んでいる雑誌を覗きこんできた。
『ねえ、そのページはチョコレートの特集?』
『えっとね、いや、これはバレンタインの特集だよ。』
『日本はチョコレートを恋人同士がで交換し合うの?』
『ううん、違うよ。
日本のバレンタインは女性が男性に、
 チョコレートを渡しながら告白するのが王道なの。』
『へぇ・・・。アメリカとは違うな。
 ・・・ねえ、つくし。実は今日、
 日本初上陸のチョコレートショップのプレオープンがあるけれど、
 一緒に行かない?』
『プレオープン?』
『そう!まだ本格的にオープンする前に、関係者にお披露目しているんだ。
 招待されていたけど、行く人がいなくて困っていたんだ。
 当然、チョコレート購入だってできるよ?』

ウィルの話をよく聞いてみると、オープンするのはチョコのブランドショップ。だけど、チョコレート以外にアパレルやインテリアなど、世界初の事業展開を日本で行うということで注目されているお店なのだそう。
いつもならバイトの掛け持ちで忙しいから断っていたけど、今度のバレンタインは西門さんと付き合って初めてのバレンタイン。さっきまで何をあげたらいいか悩んでいる最中だった事もあり、渡りに船っていう感じだったから行くと答えた。
今回のバレンタインの為にバイト代も貯めていたし、西門さんの喜ぶ姿を見たいし・・・。

しっかし、私ったら、よっぽど困っていた顔をしていたのかしら?
ウィルもどうせ誘うのなら、気になる女性を誘えばいいのに・・・。



ウィルが連れて行ってくれたチョコレートショップのプレオープンは、シャンパン片手にショッピング出来るセレブって感じのお店だった。ウィルにエスコートされながら一通り店内を歩いて回ったけど、やっぱりこういう感じのお店は慣れない。あちこちキョロキョロしてしまう。
店の奥にあった個室には、ダークチョコレート色の部屋に赤とゴールドを基調とした高級ソファーが配置。やや低めのマホガニーのテーブルには、センス良く並べられたメインのチョコレートが置かれ、まるで宝石のように一つ一つ選んでいくのだという。
『つくし、これは日本でしか発売されない味なんだって。
 ほら、手を出してご覧?』
ウィルにそっと手を握られ、掌に一粒のチョコがのせられた。紳士的な対応&金髪サラサラヘア&完璧に整った顔でニコっと笑うと破壊力満点!思わず見惚れてしまった。
側に立っていた女性スタッフさんなんて、目がハートマークそのもの!
しっ、しかも!!あわわわわ・・・、ウィルの手が私の手を握ったまま・・・!
『ウィル!!
 あの、あの!・・・手を、放してくれないかな?』
『ははは。つくしはシャイだね。』
くすくす笑いながら、ゆっくりと手を放して、色っぽい流し目で私をみる。
なんか、しぐさが誰かさんと似ている気がするんですけど・・・?!
『どのチョコレートが美味しいと思った?』
顔を火照るのを自覚しながらも、ウィルの勧めるまま次々と試食をして、美味しいと思ったチョコレートを数個選ぶ。高級感溢れるチョコレートをおっかなびっくり選んでいると、本当に宝石を触っているみたいで緊張してしまった。

そんな状態でまだ胸をドキドキさせていると、スタッフの人が綺麗にラッピングされた化粧箱を、私の目の前に置いた。
『あの〜、私、まだプレゼントお願いしていないのですけど・・・』
慌ててスタッフの人に話しかけると、ウィルがニコニコと箱を取り、私の前に置き直した。
『つくし、これ、僕からのプレゼント。受け取って貰えないかな。』
いつの間にか用意された薔薇の花束とともに、ウィルはラッピングされたチョコを私に差し出した。重厚感満ち溢れる化粧箱は存在感がたっぷりで、チョコではなく、貴金属が入っているんではないかと思ったほどだ。
上目遣いで覗かれた青い瞳からは、冗談ではない事が物語っている。

『さっき、日本とアメリカとではバレンタインの考え方が違うって言う話になっただろ?
アメリカでは男性から、女性に愛の告白するんだ・・・。
つくし。初めて会ったあの日、着物姿の君に一目惚れしたんだ。
・・・僕と付き合ってくれないか?』

ん?
一目惚れ?
誰に?
・・・・・えっ!私?!

想像を斜め上に行くっていう表現はまさにこの事。パニック状態というか、まだ何を言われたのか理解できない私に、ウィルは自慢の金髪をサラサラとかき揚げながら更に畳み掛けてきた。
『キスしていい?』
ウィルの顔がゆっくりと近づいてきた。
あと少しでキスされる〜ってところで、ようやく私の脳みそが回転し始めた。

サラサラした髪や流し目などのしぐさが彼と似ている。
でも、やっぱり似ているだけで、まったく違う。
だって・・・!
あんたは緑がかった切れ長の瞳じゃない!
あんたは漆黒のような黒髪じゃない!!
私にキスしていいのはあんたじゃない!!!

『何すんのよ!
 この、すっとこどっこ〜〜~い!!』
西門さん以外の男性にちょっとでも触られたくない!そんな一心でドンと、お相撲さんも驚く張り手でウィルの身体をつき飛ばしてしまった。ウィルはびっくり眼のまま、ソファーから転げ落ちて固まっている。
『ここは日本!ジャー!パー!!ン!!!
 女から男に告白すんのが、日本のバレンタインルールだっつーの!!
 しかもわたしとキスしていいのは西門総二郎だけよ!!』
何事かと驚いたスタッフが駆けつけてき来るのと同時に、茫然自失状態のウィルを置いて、私はダッシュでお店から出て行った。





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colorfulbox りおりおサマ
- 2018/02/19(Mon) -

『甘いモノ』 りおりおより❤



「なあ…良いだろ?」
「やだっ」

「なんでだよ?俺はお前のことが好きだし、お前も俺のことが好きだよな?」
「うん、好きだよ?」

「じゃあ、なんでOKしてくれねぇんだよ!」

総二郎は、目の前の女に懇願している
だが、目の前の女は、なかなか了承しない

目の前の女に、必殺流し目を向ければ、ポッと赤くなりモジモジするし、髪をかきあげれば、見惚れている

にもかかわらず、渾身のプロポーズには、全く良い返事を返してくれず、どうしたものか?と、さすがの総二郎も困り果てている

しかもだ!
目の前の女は、カフェに入るや否や、抹茶オーレに抹茶ケーキを注文し、それを美味しそうに食べている

俺が、どんな職業をしているのか知っている癖に、こういう図太い神経にも驚きだが、惚れた弱みか許せる俺がいる

お前ぐらいだぜ?
こうして抹茶に異物混入を許せる奴は!

「なあ?何で駄目なんだ?」
「だって…私、抹茶オーレ好きだし」

だよな…
俺を前に、堂々と飲んでるし…

「それぐれぇ、どうってことねぇよ!
お前とこの先も一緒に過ごせるなら、いくらでも飲めよ。
なんなら、とびっきりの抹茶オーレを作ってやるぜ?」

あぁ…
お前の為に、好きなだけ作ってやるよ
すんげぇ、美味しいやつをな!

「それに、抹茶ケーキも大好きだし、抹茶アイスも好きだよ?」

だよな…
お前、いつも食べてるもんな
でも、幸せそうにそれらを食べるお前を見ている時が、俺にとっては至福の時なんだぜ?

「知ってるよ!
俺ら、もう3年も付き合ってるんだからよ!
お前が、抹茶ケーキも抹茶アイスも、抹茶と付く物全てが好きってことも、よく知ってんだよ!
もちろん、俺のたてるお茶が一番好きって事もな!」

途端、ボッと頬を染める目の前の女
そんな可愛い顔をしながら、なんでOKしてくれねぇんだよ!
こうなったら、何がなんでも今日中にOKの返事を貰うからな!

「大丈夫だ!
誰も反対なんかしちゃいねぇ
それに、俺がこの先何があっても護るからさ」

「あのね…総のこと、すごく好きだよ?
でも、好みが合わないと、そのうち色んな物が合わなくなるでしょ?
それに…総は、私でずっと満足できるのかな?とか思ったり…」

つまり、食の好みが合わねぇと言いてぇのか?
そこから、歪が出ると?
それに、そのうち俺が浮気するってか?

甘いな!
俺がどれだけお前に惚れているか知ってんのか?
お前の好みに、俺が合わせてやるってんだよ!
それにお前と出会った瞬間から、俺の瞳はお前しか映さねぇんだ!
いい加減、俺の物になりやがれ!


総二郎は、目の前の女の食べかけの抹茶ケーキを口に放り込み、抹茶オーレを一気飲みする
そして、そのカップをコトンとテーブルに置くと…

「かすみ! 
お前が好きだ!
絶対幸せにする!
俺と結婚してくれ!」

かすみは驚いた顔をする

ダメか?
これぐらいじゃ、まだお前の心に響かねぇのか?

すると…そのかすみの顔が、泣き笑いに変わる

「よっ…よろしくお願いします」

かすみの言葉に、総二郎はホッと安堵する
と、同時に最高の笑顔を見せる


やっと…
やっと、了承してくれた…

初めて口にした抹茶ケーキと抹茶オーレは、かなり甘かった

だが、俺の…いや俺達の未来は、もっともっと甘い物にしてやる!

覚悟しとけよ!
かすみ!

おっと…その前に…
浮気の心配はいらねぇって事を、身を持って分からせてやる

総二郎は、テーブル越しに身を乗り出し、かすみにキスを贈る

それは…
抹茶ケーキや抹茶オーレよりも…
甘い…甘いモノだった



fin





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