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花沢城物語 ~アサヒ イイコ♪ 後編~ by R & GPS
- 2019/03/27(Wed) -





何だか寝不足気味の朝陽を連れて帰って、俺の執務室で2人きり。
こいつを正面に置いて腕組みをした。


「朝陽、ちゃんと出来たか?」
「アサヒ、イイコ!アサヒ、ガンバル!」

「よし!じゃあ言ってみろ!」
「……ピィ!」

急に男前な顔付きをした朝陽にズッコケそうになった!

「朝陽、そこで類の顔マネはしなくていい!台詞だ、台詞!!」
「…ピィ?!」


そう、俺が頼んだのは「つくしちゃんの台詞じゃなくて類の台詞を覚えてこい!」だった。
普通インコ・オウム類は男の声だとあんまり言葉を覚えないんだけど、ここは朝陽の能力を信じての「頼み事」だった。


「……ツクシ、カワイイネ。モット、ヒロゲテゴラン❤オレノモ、オネガイ❤アッ、キモチイイヨ❤ジョウズニナッタネ❤」

「……類、お前ってヤツは。続けろ、朝陽」


「…スゴイネ、コンナニアフレテ❤ドコガイイノ?ココ?❤モウイッカイイレルヨ❤」

「……何回やったんだ?そんなに体力あんのかよ、あいつ。他は?朝陽」


「ツクシ、モットコエ、キカセテ❤アマイノ、モットチョウダイ❤……ピィ」

「……良く強請るんだな、類。もうないのか?朝陽


「ツクシ!イケッ!!イッショニ、イクヨッ!!ピィーー!!」

「お前がイッてどうすんだよ!
よし…でもいいだろう!頑張ったな、朝陽、ご苦労さん!」



さてと……じゃあ今度は朝陽を司とあきらんとこに行かせるか!


俺はこの言葉を覚えた朝陽を道明寺城と美作城に向かわせた。
あいつら、どうするかな~♪



次の日、怒り狂った司とあきらが花沢城に向かったのは言うまでもない。



***


バタバタと廊下が騒がしくなる

また?
今度は何?
と、思っていると、類の執務室がバタンと開いた!

「おい! 類!」
「お前なぁ!」

そこには目を釣り上げた司とあきら

「なに?」
「お前なぁ、総二郎の鳥に何を覚えさせてんだよ!」

「鳥?」
「しらばっくれるなよ! あの鳥がだな、なんか////エロい////事をだな////」

エロい事?
それって朝陽の事?
もしかして総二郎のやつ、朝陽を司とあきらの所へも行かせたわけ?
そこで、俺達のリアルな愛の営みを聞いた訳?

「それが何?」
「何じゃねえだろ? あの鳥がそんな言葉を覚えるぐらい、やりまくってんのか?」

「だから?」
「だから?じゃねぇだろ!」

怒りモードの二人に対し、類は深いため息を一つ吐く

「あのさぁ、言っておくけど、つくしは俺の妻! しかも深〜く愛し合ってる。 そういう行為も普通の事だろ?」

二人はぐうの音も出ない

「でっ、でも! 何も鳥に覚えさせる事ねぇだろ?」
「じゃあ、お前らも次々動物を連れてくるなよ! あの鳥だって、勝手に寝室に入って勝手に覚えただけだろ? 文句を言うなら、あの鳥をこの城に寄越した総二郎に言えば?」

本当は、わざと寝室に入れたのだが、そんな事を言う類ではない
ここぞとばかりに至極尤もな事を言い、二人を黙らせる

案の定、二人の怒りの矛先が変わってくる

確かに…
類に文句を言うのはお門違いだ
一応…取り敢えず今は類の妻
夜はアレやコレ❤
甘い一夜を過ごしていても不思議ではない

ただ…
その事実をリアルに知ってしまい、かなりショックを受けた
毎晩、あんなに激しい❤をやっているのか?
毎晩、咥えさせて…蜜をすすって…挿入しまくって…イカせまくって……

羨ましい…
かなり、羨ましい…

今まで想像上でしかなかった夜の営みが、リアルに想像できてショックだった!
それもこれも…
総二郎があんな変な鳥を俺達の城に寄越したばかりに…

類の思惑通り、怒りの矛先は総二郎に向かう

「そうだな! 取り敢えず今は類の妻だしな!」
「夜もまあ、夫婦なら仕方ないよな!」

「取り敢えず? 言っとくけど、未来永劫俺の妻だから! お前らの出る幕はない!」

「「ぐっ!」」

再び言葉に詰まる司とあきら

「取り敢えず、今はそう言うことにしてやる!」
「じゃ、お邪魔したな」

二人はそそくさと類の執務室を出る
すると、つくしが丁度お茶を持ってきた

「あれ? もう帰るの?」
「あっ、あぁ///」
「まあな」

二人は今までと違い、つくしの顔がまともに見れない

あの鳥の言葉が脳裏に浮かぶからだ

『ツクシ、モットヒロゲテ❤』
『アマイ、ミツ、イッパイナガレテル❤』
『オレノモ、オネガイ❤アッ、キモチイイ❤』
『イレルヨ❤イッパイ、ツイテアゲル❤』

勝手に膨らむ下半身
二人は、前傾姿勢になりながら、、

「お前も、程々にしろよ」
「体がもたねぇだろ?」

その言葉に、つくしはキョトンとする
そして笑顔で告げた

「大丈夫! 体力に自信あるし、好きだから❤」

えっ!という表情をした後、ガックリと項垂れる二人

「そっか、そうだよな」
「分かっていたんだけどよ、知りたくなかったと言うか」
と、ブツブツ言いながら花沢城を後にする

つくしは、その二人の後ろ姿を見ながら、、

「何かあったのかな?
今日は動物を連れてきていないし、、
あたしなら体力あるし、動物が大好きだからお世話もバッチリするんだけどな?」

と、ポツリと呟いた


司とあきらは、その足で西門城へ向かう
怒りの矛先は既に総二郎に向けられていた



***


「総二郎様っ!!総二郎様ーっ!!」

遠くからすっげぇデカい声で叫んでるのは秘書、山西。
どっかからの襲撃か?と思ったが特別揉め事なんて起こしてねぇし?

執務室の椅子の背凭れには朝陽。こいつもビビって俺の肩に降りてきた。


「総二郎様!!大変でございますっ!」
「どうした?誰が来たんだ?」

「そ、それが道明寺様と美作様が凄い形相でお城の中に入ってこられまして、ただいま門番がお引き留めを……!
あぁーっ!!来られました!総二郎様、如何致しましょうっ!!」

「…………」


司とあきらが?
はぁ……って事は類が開き直ったな?
『夫が妻を愛して何が悪い!悪いのは盗聴させた総二郎だろう』……って感じか?

くそっ、期待外れだったな~!
一発張り倒すぐらいしてくれれば良かったのに。


「……朝陽、頼み事がある」
「……ピィ?」

「忘れろと言った事を忘れろ。今度は思い出せ!」
「ピッ?!!」

「いいか?大好きな総ちゃんの頼み事だ。しっかりやれよ、朝陽」
「……ピ、ピィ……」

狼狽えている朝陽を肩に乗せたまま司達を待っていたら、2人はドアを蹴破る勢いで入ってきた。


「総二郎!!てめぇ、なんて事すんだっ!!」
「やっていい事と悪い事があるだろうっ!!」


「そんなに怒んなよ~、冗談だろ?冗談!」


「冗談で済むかっ!馬鹿野郎っ!!」
「仕事が手に付かないじゃないかっ!!」


「落ち着け!その代わりいいもの聞かせてやるから。
朝陽、出番だ」


「……ピィ!」


この後、隣の部屋に司とあきらと朝陽を閉じ込め、朝陽が最初に覚えた言葉を聞かせてやった。
その時に2人の悲鳴が城中に響き渡った。

俺は数日間、毎朝それを聞いたんだ……ふんっ!!



この出来事で1番の被害者は総二郎なのか?司&あきらなのか?

もしかしたら朝陽……なのか。


1番楽しかったのは類だという事だけは間違いない。




おしまい♪



こんばんは~(*´ω`*)

R&GPS お楽しみいただけましたでしょうか?
りおりおサマが入るとGPSはこうなるんですね~(笑)

ええ勿論GPSにお誘いしましたよ!
が…
「やだ!」
即答でした……ガーン……

でもでもきっとまた何かをご持参くださるはず!!(笑)
きなが~にお待ちくださいませ(*´艸`*)

りおりおサマ、ありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


本日20時は『Live and let live』るいかサマ宅での更新もお忘れなく~!!




お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter


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花沢城物語 ~アサヒ イイコ♪ 前編~ by R & GPS
- 2019/03/27(Wed) -




「ちょっと、この朝陽を一日借りるね」
「へっ? 借りる?」
総二郎は類の言葉に頭を捻る

「つくしが気に入ったみたいだから、今日だけ特別に宿泊させたいって事!」
「あぁ、、まあ良いけどさ」

類の方から泊まらせろと言う事はかなり珍しい
今まで、いろいろな動物を送り込んだが、目くじら立てて怒りモードだった
それが、、
と思う物の、これでまたここに来る理由が出来たと二つ返事で了承した

そして翌日の朝、、
総二郎の枕元で何やら呟く声がする

「アッ❤ ソコハダメ❤ アァン❤ モット❤ アイシテル❤ アタシモ❤ ルイ~モット~~❤」

ん!?
総二郎は思わずガバッと体を起こす
するとそこには、朝陽が嬉しそうに呟いている

「アッ❤ アァン❤ アイシテル~~❤ ソコッソコッ❤」

はぁ、、と総二郎は頭を抱える

くっそ!
そう言う事かよ!!
類の奴、昨夜の情事を朝陽に覚えさせやがったな!!

「アッ❤ モット~~❤ アァン❤」

って言うか、どれだけやったんだよ!!
朝陽が覚えるぐらいだろ?
って事は最低三時間?いや、五時間か?
で、これどうしてくれんだよ!!

総二郎はしばらくの間、二人のリアルな愛の情事を朝陽の口から聞かされる日々だった



いや、朝陽は俺のキバタンだ。
類の思うように使われて堪るか!!

こうなったら朝陽の言語記憶能力に賭けるしかない。
その前にこいつに出来るかどうかだが……。


「朝陽、ちょっと来い!」

「…………ピィ?」

「いいから来い!」

「アァン、モット~?」
「それはいいから来い!!」

完全にこの台詞、気に入ってるな?とんでもないキバタンだな、こいつ!

俺の前に恐る恐る来た朝陽は心なしか視線を外してる。
怒られるって事だけは理解してるんだな。

それなら話は早い……説教もだが、頼み事をしてやろう。
こいつは頼まれ事が大好物だからな。


「いいか、朝陽。この前類の所で聞いた言葉は忘れろ。
今度、この城で喋ったら追い出すぞ」


「……ピィ!!」

「そう、追い出すぞ!俺は本気だ。
つくしちゃんの言葉はこの先覚えなくていい。判ったな!!」


「……アサヒ、イイコ!ソウチャン、ダイスキ!」

「そう!その総ちゃんの頼み事だ。聞いてくれるか?」

「アサヒ、イラッシャイマセ!!」


大丈夫か?こいつ。ホントに判ってるんだろな?

この後俺は朝陽に「頼み事」をして、もう1度花沢城へ送りつけた。


***


「あっ♪朝陽ちゃんが来たっー♪」
「ピィ♪」

「いらっしゃい♪朝陽ちゃん」
「ピィ♪ピィーー♪アサヒ、イラッシャイマセ♪……マセ♪」


……チッ…暫くは平和に過ごせると思ったのに…、総二郎の奴…記憶操作でもしたのかな?
つくしを何度も何度も鳴かせて、常には言ってくれない言葉を無理やり言わせて…♪
それはそれは 何度も何度も何度もっ!
太陽が昇るまで頑張って…帰してやったのに…。

……………足りなかったか?……………

はっ!!ここは、もっと濃厚なヤツを覚えさせないとダメって事?



♪♪♪~♪~


「類、スマホ鳴ってる。西門さんだよ~」
「ん、ありがと」


『よっ、類!
あのさ、今そっちに朝陽が行ったろ?
悪いんだけど一晩預かってくんねぇか?』

「………」


えっ?まさか懲りてないの?
朝陽に散々覚えさせたんだけど……まさか実は何にも覚えてなかったとか?
また一からやり直しじゃん!
でもまぁちょうどいいか♪♪


『おーい、類、聞いてるか~?』
「ん、聞こえてる。いいよ、明日ちゃんと迎えに来てよね?」

『分かってるって!じゃあよろしくな♪♪』
「あい」


電話を切って朝陽を見たら気まずそうに視線をそらされた。

朝陽…頼むよー!!
あんなに頑張ったのに!!


「朝陽、ちょっとおいで。
つくしはここでちょっと待っててね?」

「えぇー!何か類だけずるくない?
私だって朝陽ちゃんと遊びたいよ~!!」


「すぐ戻ってくるから、ね、つくし♪♪」

ほっぺにチュッてキスして、つくしが真っ赤になってる間に朝陽を連れて廊下に出た。


「朝陽?ちゃんとこの前教えた言葉覚えてる?ちょっとちっちゃい声で言ってごらん?」
「ソウチャン、オコル!ダメダメ」

「ここには総二郎はいないから誰も怒らないよ」
「ソコハダメ❤アァン、モット~?
アサヒ、イイコ!アサヒ、エライ♪」

なんだ……覚えてるじゃん?
どういうことなんだろ?
ま、いっか!
今日はもっと頑張って教えちゃお♪♪
ふふっ、夜が待ち遠しいなぁ♪



:***


そして待ちに待った夜。
2人一緒のバスタイムも終わって後は……ってところで前回同様朝陽をベッドルームに呼んだ。

まぁ、多少は気になるけど仕方ない。
小さな声も逃さないようにするには比較的近くに居ないとね。
でも使うのは耳だけ……だから背中を向けさせて止まり木に止まらせた。

「類……今日も朝陽ちゃん、ここなの?」
「ん、慣れない場所だから可哀想だろ?近くに居ないとね」

「でも、気になる……」
「くすっ、その時になったら気にならないよ……つくし、前もそう言ってさ…」
「やだっ!……言わないで、それ以上……」

「可愛いね、つくし……おいで?」
「……類……うん❤」


この後は前回の5割増しで頑張った!
たまに朝陽を見たら何となくブツブツ言ってる……!
覚えようとしてるんだな?って思ったら余計につくしを啼かせないといけないし!

いつもなら途中で作るマッタリタイムも無しで、朝までガンガンコースで頑張った!!



そして朝……

どっちかって言うとつくしより俺の方がバテてる……。
おはようのキスも出来ないほどつくしを愛してやって、つくしはと言うと…疲れていながらも幸せそうに寝てる。

朝陽は?ってヨレヨレ状態で見上げたら……目があった。


「朝陽……今回も大丈夫?」
「…………ピィ」

「そう……じゃあ総二郎に宜しく……」
「…………ピィ」


良かった……頑張った甲斐があった。はぁ、疲れた。



もう昼前になってから2人で遅い朝食。
昨日の延長でご機嫌なつくしは俺の横でニコニコしてて、真っ赤な顔して凄く可愛い♡

そんな時に総二郎が朝陽を迎えにやってきて「サンキュ!」のひと言で帰って行った。


なんなの?あれ……。



つづく



こんにちは~(*´∀`)
またまた朝陽の登場です♪♪


とある方…

それは『さくらいろ』のりおりおサマでした~♪
GPSに足りない?ない?Rを背負っての参戦(笑)
何でも朝陽が出てきて直ぐに思いついたとか♪
読んで爆笑してしまいました(*´艸`*)

さて…花沢城初めての前後編!
どうなると思います?
朝陽~、頑張れ~♪♪


さくらいろへはこちらからどうぞ (*´∀`)つ




お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪



Gipskräuter

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花沢城物語 ~レースのアレ~ by GPS
- 2019/03/26(Tue) -




冬が終わって段々日差しが温かくなった今日この頃。
つくしと散歩にでも行こうかと誘いに行ったら……あれ?部屋に居ない?

何処に行ったんだろう?
この時間は大抵お昼寝してるか畑で作物の世話だけど。

外に出るなら俺にひと言声を掛けていくはずなのに……?
不思議に思って取り敢えず畑に行ってみることにした。


そして庭に出たら遠くで人の声がする……この声はつくしと田村?
何話してるんだろ?


「……お願いっ!大丈夫だから!」
「いけません、つくし様。何かあったら類様に私が叱られますからっ!
逆にお願いでございます、理由をお話し下さいませ!」

「だっ、だから……それは」
「お話いただけないならお出し出来ません。
あっ、いえいえ、それよりも使ってはなりません!」


………………ムカッ💢!
なんで田村がそこまでつくしを叱るのさ!

つくしが何をしたって言うの?


「何やってんの?田村……それ以上つくしを泣かすならいくら田村でも許さないけど?」

「あっ、類……」
「類様!とんでもございません、
つくし様を泣かせるだなどと、決してそのような事ではないのです!」

「でもつくしが困ってるじゃん。ほら、こんなに目が赤い……。
何があったの?2人とも!」



田村とつくしが顔を見合わせてお互いに困った顔してる。
この後小さな声で話し始めたのはつくしだった。

「あっ、あのね……ハシゴを借りようと思ったの。
で、田村さんに出してくれって頼んだんだけどダメだって言われて……」


「ハシゴ?ハシゴってあの高いところに登るための?」

「はい。つくし様が城にある1番長いハシゴを出して下さいと言われまして、
それをご自分で使われるというのでお止めしておりました」


…………は?
つくしがハシゴなんて登ってどうするの?
ってか、何処に登るつもりなの?

「つくし、それは田村が止めるのは無理ないよ。
どうしてそんなものが要るの?」


「……だって、だって」
「だって、なに?俺に言ってみて?」

「あっ、あのね?実はね……」


つくしは田村のことを気にしながら俺の耳に口を当ててボソボソと話してくれた。


「……えっ!ホントに?」
「……うん、だから誰にも言えなくて」

「そうだね。それは誰にも……あっ!蒼穹が来た時に取ってもらえば?」
「でも、蒼ちゃん達の嘴や足の爪で取るとレースが……。
あの繊細なレースが大好きなんだもん。

だって、だって…類だって好きって言ってたでしょ?あのレース…」


「……うん、凄く好き」


まさかあのレースの……が、高い木の枝に引っ掛かるだなんて。

よくよく話を聞いたらハシゴを掛けてもその木の枝が細すぎて人間が登ったら落ちるんじゃないかって結論になった。
でも早く取らないと、あのレースは俺以外の誰の目にも触れさせるわけには……


♪~♪~

その時に鳴った電話は……あきら?
もーっ!こんな忙しい時に!!

「もしもし?今、忙しいんだけど!」
『え?どうしたんだ?何かあったのか?』

「うん、ちょっと落とし物を高い木の枝に引っ掛けちゃってさ。
どうやって取ろうかと頭抱えてたの。
だから急用じゃなかったら切っていい?」


『落とし物なのに木の枝?
よくわかんないけど高い所の物を取りたいのならちょうどいいのがうちに居るぞ?
見せてやろうと思って今、類んとこの城門の前に居るんだけど』


「高いところにちょうどいいもの?」


よくわかんなかったけど城門を開いてあきらを中に入れたら……


「あきら?何に乗ってんのさ!!」
「きゃああぁーっ!それ、キリンさん?!」

「可愛いだろ?」
「動物園でしか見たこと無いんだもの、大きいのねぇ♪」

「見てくれ♪優しげな瞳とばっさばさの睫毛!最高だろ?」
「黒ちゃんと同じ瞳してる…♪♪」


うちの城、動物の出入りが多過ぎてつくしの警戒心が薄くなってる気がする…
いくら可愛いくても大き過ぎだろっ!


「……で、そのキリンどうしたのさ?今度は睫毛に憧れたとか言わないよね?」
「……失礼なヤツだな、今度ってなんだよ」

「あり得そうかな?って」
「ホントに失礼だよな?違うよっ!」

「で?どうしたのさ」
「半月程前に自然保護区の施設に行った時、運命の出会いをした訳よ。親子して肉食獣に追われたんだろうな…群れからはぐれたらしくて保護されてたんだ」

「…ぇ…この子のお母さん大丈夫なのかな?」
「あぁ、施設で療養中 心配無しだよ」

「良かった…」
「ごめんな、不安にさせたな」
「……ううん、まだ子供なんでしょ?」

「あぁ、あと1メートルは伸びるみたいだ」
「そんなに?名前は?なんて言うの?」

「凜ってんだ、可愛いだろ?」
「凜ちゃん…凜々しく…素敵な名前ね…」

「二匹共に体調が戻ったら保護区に帰してやりたいんだが、激しい栄養失調と脚の怪我がな…現時点では何とも言えなくて…」
「……出来れば帰してやりたいよな…」

「……まぁな、預かって来たのはいいが美作にはコイツが好んで食べるアカシアの木が少なくてさ、類んとこはウチより多いかな?と思ってな」
「あぁ、何本かあったはず気に入ると良いけど」


つくしはあきらの話が少しショックだったみたいで、少し涙目だったけど「早く元気になろうね♪」「お母さんに会いに行こうね」と、
凜の首筋を撫でていた。

動物達は、皆 つくしの優しさが判るんだろうな…子供だけど大きい凜がつくしに甘える様に彼女の髪の毛を食(は)んでいる。


凜の耳が何かに気付いたみたいにプルンと動き、歩き出した。


「あ、凜ちゃん待って♪」
「つくし踏まれない様に気を付けてよ?」

「はーい♪」


ぷっ。今の今まで大人しくしてた桃、菊、珀もじゃれる様に後に続くのをあきらと追った。

たどり着いたのは、レースの……が引っ掛かかったままになっている木。

……そう言えばアカシアの木だった…

見上げれば『私はここよ♪』と云わんばかりにヒラヒラと……

……不味い…非常に不味い………

ひやひやしながら凜の動きを見てたけど…。つくしもあれっ?って顔して凜とアカシアの木を見上げてる。


「これって……サバンナとかの写真によくあるよね………」
「うん…あるね……」
「………」


アカシアの木…推定…10メートル。
凜の身長…推定…4メートル強……。


木の半分にも満たない凜はその枝葉にも届かない。

近くで麒麟を見るなんて滅多に無いことだから、届くかも…なんて目が錯覚を起こしてたのかもね……。


「あきら…これ以外にも木はあるから」
「そうよね!確かこの木が一番高いのよ。
他の木ならきっと凜ちゃんも届くはずよ♪♪」


がっくりと肩を落としてるあきらに声をかければ、意気揚々と目を輝かせてる。

「ああ…ありがとな。

ところでさ…もしかして落とし物ってあそこに引っかかってるやつか?」


レースの……を指差して、俺とつくしとレースの……を代わる代わる見てる。

「違うよ!
あれは…ただの成長記録だから!!
それより凜、お腹空いてるんでしょ?
幾らでも食べていいから勝手に探してよ」


あんまり見られるとバレちゃうからでまかせなんだけど、大丈夫…だよね?

「ああ、悪いな。そうさせてもらうよ」

「田村、案内してあげて!」
「畏まりました」

意図を察知したのか田村の行動は素早く、早速あきらと凜をアカシアの木から引き離してくれた。


はぁ…よかった……。
俺以外のやつになんか見せられないからね…。
でも…あれ……どうやって回収しよう……。


「わんわん!」
「わおーん!」「わん!」

「どうしたの、急に?」

足元で鳴き出した三匹を見ると、視線は上空に向いてる。それを追うように見上げればレースの……が風に揺られてひらりひらりと宙を舞っていた。

「る…類!
引っかかってたのが取れたみたい♪♪」

「…あ…みたいだね。
……って……あっ……やばっ!!
早く追いかけないと!!」


風に揺られたそれはあきらと凜が消えた方へと飛んでいく。なんとしてもみつかる前に回収しなくちゃ!!

ひらりひらり……うわっ!マジでっ?!

それは風に舞いながらゆっくり落ちてきたのはいいけれど、事もあろうか凜の頭の角に落ちた!
凜は「は?」って感じで頭にくっついたそれを振り落とそうとするけど、そうしたら下にはあきらが居るじゃん!

あれをあきらに触れさせる訳にはいかないっ!
こうなったら……!!


「……ん?凜、どうかしたのか?」

あきらが凜の様子に気が付いた!時間が無いっ!!

「桃太郎!菊次郎!…GOーっ!!」
「「ワンッ!!」」

「琥珀は待機、伏せっ!」
「……ゎん?」


俺の号令で桃と菊が猛ダッシュで凜に近づき、その横まで追いついた!
そして先に菊が体勢を低くした瞬間に、その背中に桃が飛び乗り、菊は桃が乗ったと同時にジャンプ!!

桃の身体は宙を舞って凜の頭部にまで辿り着いてレースの……を口に咥えた!

白い身体がしなやかに地面に降りたら、咥えていたものを素早く俺の手元に持ってきた。


「よし!流石だ、2人とも!」
「きゃああぁー♪桃も菊も格好いい~♥」

「「ワンッ♪」」
「……ゎん?」

二匹の頭を撫でてやると「エヘン!どうだ!」とでも言ってるかのような誇らしい顔。
そして俺は受け取ったそれをササッとポケットに突っ込んだ。


でも、どうやらあきらには桃が咥えた時に目に入ったみたい。
凜と一緒に俺達の方をじーっと見ていた。


「……な、なにさ、あきら。早く凜が食べられそうな木を探しに行きなよ」

「類、お前……そんなものを使わせてるのか?」

「…………」
「…………」
「何故、二人して黙るんだ?」


くっそーーーっ!!
あきらのヤツ、やっぱり見たんだっ!
つくしのレースの……をっ!!


「……風邪引くぞ?そんなの使ってたら」

「……だって類が好きなんだもん」
「…………」

「意外だな、類」
「……放っといて!💢」


レースの……を頭に被ってしまった凜だけど、その睫バサバサの穢れのない瞳で俺達の事を見ていた。

ここで静養して元気になったら母親の待つ保護区に帰ることだろう。
俺達はそんな凜を遠くから見守った。


「ピンクだったな……」
「早く忘れなよ、あきら!💢」





おしまい


レースの……はご想像にお任せします♪





今日のお遊び♪



こんにちは~♪

とうとう?キリンさんまで登場しました(笑)
そのうち象とかも出てくるんですかね~?( *´艸`)


レースのアレ…
結局何だったんでしょうね?
うーん…謎です(笑)
というか、謎のままにしておきましょう!


さてさて今日はお知らせが2つあります~♪♪

まず1つ

とある方からGPSに小話をいただきました♪
えー、許可をいただき、GPSで刻んでポーンと投げ返したところ………
なんと!!
ポーンと投げ返されてしまいました(笑)
その後ノリノリの隊員が仕上げましたが♪

そのお話が明日15時と18時にアップされます~♪
とある方?
それは明日まで秘密です!(笑)


そしてもう1つ

素敵なお祝い事があったのでお友達のるいかサマにGPSからお話を贈りました♪
こちらのお話はるいかサマ宅のみのアップとなっていますので是非是非遊びに行ってくださいませ~。

明日20時、るいかサマ宅でのアップです♪

ちなみにこちらのお話は花沢城のサイドストーリーとなっております。本編とは切り離してお読みくださいね(*´ω`*)

Live and let liveへはこちらからどうぞ (*´∀`)つ









お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪



Gipskräuter


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花沢城物語 ~抱っこ+添い寝≦フリーパス~ by GPS
- 2019/03/19(Tue) -




くっそー!
今日もかよ!!

池付近を見渡せど静司郎の姿はない。

静司郎も闘司郎も二日と空けず花沢城に通ってくのに、何で肝心の俺が出入り出来ねーんだよ?!
大体あいつ等もそれまでは居るのか居ないのか分かんねーくらい静かだったってのに、静司郎が通うようになって煩くなったよな?!
ったく…どーしてくれんだよっ!


「司様、どうかなさいましたか?
眉間に皺が寄ってらっしゃいますが…また花沢城の事をお考えですか?」

「まーな。
どうにかあいつ等の目を盗んで出入り出来ねーのかよ?」

「それは…難しいでしょうね。
相手は鼻が利きますから」

んなこと言われなくたって分かってんだよ!
その上で聞いてんだろーが!!


「一つだけ手が無いわけではございませんが…どう」
「なんだよ、それは?それをしたら花沢城に自由に出入り出来んのか?」

「確信は持てませんが…おそらくは…出来るのではないかと思います…」
「西田!!早速それ実行しろ!」

「……本当にそれでよろしいでしょうか?」
「いいから言ってんだろ!」

「はい、畏まりました」

ふふふっ。
これで俺もいつでも花沢城に出入り出来んだな!
つくし、待ってろよ!!



その日の午後、西田に言われてやってきたのは静司郎と闘司郎の部屋の隣。
まぁ、部屋って言ってもあいつ等用に建てた家で、中もあいつ等使用になってる。

つーか西田のやつ、こんな所に一体何の用があるっつーんだ?
確か闘司郎の左隣の部屋っつってたよな?

訳も分からずその扉を開けば、この部屋の中は屋敷とそう変わらねーし、特に何の気配もねー。
そのままリビングまで行くと、テーブルの上に本とメモが置いてあった。

まどろっこしい事しやがって!
口で言えばいいだろうが!!

なんだか嫌な予感がしたもののそのメモ書きを手に取った。


『司様

まずは名前をつけてあげてください。
相手は親と離れたばかりの子供です。優しく接してあげてください。

司様に懐くよう、私共は一切関知致しません。
必要な物は全て部屋にご用意致しました。一緒に置いてあります本とそれを纏めました物を参考にお世話をお願い致します。

これも全て花沢城へ通う為の道のりでございます。
どうかよろしくお願い致します。

西田』


名前?本?世話?
………あいつ、何考えてんだ?

嫌な予感が益々深まる中、本に手を伸ばした。


『初めての躾』


…………。

……はっ………まさかっ………?!



クーン…クーン………


?!

それまで静かだった部屋に……鳴き声らしき音が響いたと同時に、足元に何かが当たった。そっと下を見ればちっちぇー白い塊が足にまとわりついてくる。

逃げようとドアに向かえば、それはびくともしねー。仕方なく窓に向かっても中からは開かない作りらしい。
スマホは置いて来ちまったし、部屋には電話もねー。

くっそーっ!!
けど、タカが犬の為に硝子を割るのも大人気ねーよな………。
時間が経てば誰かしら来るだろうし、文句はそれからにするか…。


腹を括って向き合う事を決め、改めてそいつを見て思わず噴いちまった。

「くくくっ。
お前…その顔なんだよ?」


クーン……

しゃがみ込んでそいつを見たら丸っこい白い身体に潰れた鼻。
なのにめちゃくちゃデカい黒い目をしてなんとも情けねぇ顔…こう言っちゃなんだが何処かつくしに似てねえか?

さりげなく尻振ってんのか?どこからが尻だ?

触ってみるか?
いや……待て!こう見えて実は噛んだらすげぇ痛いとか?!

いやいや、待て!こんなに小せぇんだ……俺が負けてどうする!
類んとこの茶色いヤツより絶対小せぇぞ?

恐る恐る手を伸ばしたその時、この小せぇのが急に嬉しそうに「キャン!」ってな声出して飛びついて来やがった!


「うわあああぁーっ!何しやがんだ、てめぇ!
急に動くなーっ!!」



驚いて後ろに飛び退いて、そこにあったソファーに身体をぶつけたら……今度は首の下が熱い。
ぐにゃりとした柔らかいものがあって、何故かそれが動いてる。


…………待てよ?この感覚はなんだ?
俺の下に何か「生き物」が居る?マジで?

目だけを動かしたら真横で真っ黒な物体が……こっちもすげぇデカい目を俺に向けていた!


「ぎゃあああーっ!今度はなんだっ!
一匹じゃねぇのかよ!!お前は誰だっ!!」



またそこから飛び退いて、横の壁にへばりついて両手を広げたまま座り込む俺……!
左に白くて丸っこいの、右には黒くて太いヤツ……!

そいつらがゆっくりと俺の方に向かって歩き出した。
やべぇ……もう逃げられない。

「わかった!わかったから止まれ!止まれって言ってんだろうがっ!来るな……来るなーっ!」

クーン…クーン……
クーン……

「だから来んなって!!落ち着けっ、落ち着け……なんて呼べばいいんだよっ!!」


そ、そうか!
何か書いてあったな。名前をつけろ、と……なんだっけ?
優しくしろってのと本!本を読めって?!


「名前……名前か?」


まずは1番始めに見た白いの……マジで小せぇな。
って事はチビ……いや、そんなのは面白くねぇ。

静司郎、闘司郎ってのが既に居るんだから……こいつは小司郎?(こじろう)
で、こっちの黒いのは小司郎よりはデカい。デカい……大きい…大司郎?(だいじろう)


「よ、よし!決めた!!
お前は小司郎、お前は大司郎だ!
いいな?俺がつけてやったんだから覚えろよ!判ったな!」


クーン!クーン!!


「うわあぁっ!まだ来んなっ!
それ以上は近寄るなっ、小司郎に大司郎っ!待てーっ!!」



な、名前は決めた。次はなんだっ!

俺は此奴らが登って来られないテーブルの上に上がって西田が置いていった本を読んだ。
読めねぇ字があるが……何とか読んだ。

「なんだと?……
『飼い主としてさまざまな責任を負う必要があります』?
馬鹿言うな!自分の事は自分で何とかするもんだ!

『犬が問題行動を起こせば他人に迷惑を掛け、それは飼い主の意識が低く躾を怠ったという見方をされます』?
今の時点で俺が迷惑掛けられてるが?」


何が何だかさっぱりだったが、要は今のうちから鍛えろって事だな?


「躾の第一歩として名前を覚えさせる……てめぇって呼んじゃいけねぇのか?
しかも目を合わせる?此奴らと……?
名前を呼んで振り向いたら褒めてやる?そんぐらいで褒めてどーすんだよ!
呼んだら来るようにする?そこまで来なくていいけどよ……。
はっ?!呼んだら叱ってはイケナイだと?意味わかんねぇっ!」


今まで習ったどの勉強よりも難解な文章を読み、
とにかく「てめぇ!」と呼ばないことだけで1日目が終った。

それからは白いのが小司郎、黒いのが大司郎と覚えさせることには成功。
来た時には此奴らの「おやつ」ってもんを渡して「よく来たな!」と褒めてやった。

意外と早く覚えたのは「待て!」
俺の動きが恐ろしかったのか、これはすぐに覚えたらしい。

問題は撫でるまでに数分間心の準備が要ること……撫でられるようになったら抱っこってのに挑戦した。


「待て!!俺の心の準備が出来るまで待て!
そこを動くなよ?……俺が動くまで待て!いいか?いいか……?」



俺が初めて小司郎を抱っこ出来たのは、この部屋に閉じ込められてから10日後だった。

そして、大司郎を抱っこ出来たのは、
それから5日後の事。


何だよ俺、やれば出来るじゃねぇーか!
小司郎の半分の時間で、出来たぜっ!!

名前を呼ぶと寄って来る♪
有るんだか無いんだか判んねぇ、ちんちくりんのシッポを千切れんばかりに振って♪♪


くっそおぉぉぉーーーめちゃくちゃ可愛いじゃねぇかっ!


ヤれば出来るじゃん、俺!
気が付けば、小司郎と大司郎とソファーで絡まる様に昼寝するまでになっていた。

この部屋に、閉じ込められてから三週間強、
23日目の事だった。


「……司様………す、す、素晴らしい…」


かっちりとアイロンがあてられてる真っ白なハンカチで、目頭を抑える西田。
そんなにまで……と、23日前の事を思い出すと俺様まで、目頭が熱くなった。


─これで、花沢城のフリーパスを手に入れたも同然!!


「西田、このちっこい方が小司郎でデカイ方が大司郎だ、宜しくな」
「はい、畏まりました。本当によう御座いました」

「処で、こいつ等は何と言う犬なんだ?」
「あぁ、小司郎の方が パグ。大司郎の方が フレンチブルドッグで御座います」

「ほう……この潰れてるっぽい鼻と丸くて真っ黒な瞳が堪んねぇよな……」
「……あの、司様…」
「なんだ?」

「同様の犬種ボストンテリアがもう一匹おりますが…」
「……………」

「あの……どう…いた…」
「いや、二匹で充分だ」
「……そう…で、御座いますか…」

「……なんだ、残念そうだな」
「花沢城には、三匹おりますので…如何かと思いまして…」

「…………………」
「…………………」

……ここに、もう一匹?冗談じゃねぇぞ!
始めからやり直すのか?あれから既に三週間だぞ?
時間も十分かけた、犬も十分だ。

「……いや、充分だ」
「承知致しました」

「よしっ!西田」
「はい」

「花沢に行くぞっ!」
「お供致します」


*****


花沢城 執務室


「………で、今日は?何しに来たの?静司郎も
闘司郎だっけ?も来てないけど?」

「見れば判んだろ、俺の相棒達を紹介に来たんだよっ!」

「………へぇ……それ 司の相棒なの?」
「おぉ、可愛いだろ♪相性は最高だ」

「ふーーん『待て』は出来るみたいだね…」
「あ、当たり前だろっ!こいつ等の待てはすげえぞっ!」
「……へぇ…」

「これからは……」

「……司……、あのさ『これからはこいつ等がちょくちょく遊びに来ると思うから 宜しくな♪俺も寄らせて貰うぜ♪』とかじゃないよね?総二郎と同じ手を使おうなんて、思って無いよね?司がそんな姑息な筈ないもんね?まさかとは思うけど、その為にその二匹を相棒にした訳じゃないよね?本当に可愛いがってるんだよね?
それから、我が家のメンバーは司の相棒と仲良くなれるかもだけど、
司を受け入れるかは、判んないよ?」


「………………………………………………………………」


コンコン

不思議な沈黙の続く執務室に、SP三匹を連れてつくしが顔を出した。


「あら、道明寺 いらっしゃい♪」
「きゃあ~、その犬 道明寺のわんちゃん♪まだ、子供じゃない!」


流石、凄腕と呼ばれるだけはある。
さっ!と、つくしの両脇と前に陣取る 桃、菊、珀。
『大丈夫よ』の言葉の代わりに三匹の頭をクリンと撫でて、司の相棒に向かって手を広げた。

クゥ~ン クゥ~ン

飼い主の『待て』を振り切り、つくしにすり寄る司の相棒 二匹。

その二匹を……では無く、司から目を離さない三匹。
その様子から、司の相棒とやらの二匹に害は無いらしい。

類は『 待て。 はどうした?』の言葉を飲み込み、肩を揺らした。


「ねぇ、道明寺この子達の……」
「パグとフレンチブルドッグだ」

「犬種じゃなくて 名前よ、名前っ!」
「あ、あぁ、ちっこい方が小司郎でデカイ方が大司郎だ、良いだろ?」

「いゃ~ん♪君が小司郎くん?で、君が大司郎くんなのね♪♪♪」
「な、な、なっ♪可愛いだろ?」

「あら?大と小なの?中は?中は居ないの?」
「俺様に中は似合わねぇ、中途半端は真っ平ごめんだっ!!」
「えぇ!中も居たら可愛いのに……」


『まぁ、司に三匹は無理だよね?』も同様に飲み込み、肩を揺らし続ける類。

その様子を静観していた西田が、一歩踏み出した。


「……あの花沢様…」
「ん?西田さんどうかした?」

「大変言いにくいのですが、お願いが御座います」
「……何かあった?」


西田は、ここ数週間の事の顛末と、中司郎になる筈だったボストンテリアの話をした。
類とて鬼では無い、司の涙ぐましい努力を否定する積もりもないが、

それは、それ。
これは、これ。

司の出入りに関しては、桃、菊、珀に一任する事を条件に、ボストンテリアを花沢で引き取る決定をした。



数日後。

花沢城門前で騒ぐ 隣国王 道明寺 司を、睨み付けるつくし付きSP 桃、菊、珀の三匹。


「どけっ!そこの三匹っ!!」

「大司郎ぉーー!小司郎ぉーー!てめぇ等 戻って来いっ!お前達の主人はここだぁーー!!!」


今日も花沢城は、とても平和です♪





おしまい♪



今日から道明寺城に仲間入り~♪



こんにちは~(*´ω`*)
今日はわんこでした~♪


司くんに犬?!
怖がってたじゃん!!

そうなんですが……敢えて飼わせてみたかったんです♪
なので書いちゃいました(笑)

わんこを決めるにあたり、候補にあげたのはしわくちゃわんこでした♪
だってだって愛嬌のあるお顔なら司くんもきっと大丈夫だろうと!!
他にも候補はいたんですが…画像がね……ないんですよ( ̄▽ ̄;)
そうそう、この辺から先に画像を探すようになったんですよね~。
だって…画像なかったら……ねぇ…困るじゃない?(笑)

タイトル通り邪な考えで飼う事になったわんこですが、ちゃんと司くんに懐いてくれたようです(*´艸`*)
よかったよかった♪♪





お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter

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花沢城物語 ~西門飛翔隊 新人 朝陽~ by GPS
- 2019/03/12(Tue) -




とある日の西門城、総二郎寝室


ピィーーーッ
ピィーーーッ


……………。

今日は休みなんだからもう少し寝かせてくれたっていいだろうよ……?

蒼穹と疾風の鳴き声に心の中でぼやきながら寝たふりを決め込むことにした……ってのに………。


ピィーーーッ!
ピィーーーッ!!


……………。

「あー、分かったから静かにしろって!」

体を起こせば蒼穹と疾風がベッドサイドまで飛んで来る。

「いつもありがとな!」


ピィーー♪♪


俺が起きたことでテンションがあがったのか部屋の中を小回りにぐるぐると飛び回る。
そんないつもと同じ朝。


せっかくの休日だってのに予定もないっつーのはどうなんだ、俺……?
いや……厳密に言えば誘いはいくらでもあったんだけどよ。
けどよ?
あの笑顔に勝るもんがあるように思えるか?
ってことで全部断った。

しかも!だ!
今日は初の試みだしな♪


気を取り直して身支度をし朝食を済ませてから、その部屋へと向かった。


ピィーー
ピィーー


「おっ!お前たちも気になるのか?
来てもいいけどおとなしくしてろよ」


両肩に二羽を乗せうきうきしながらその扉を開いた。



「チーズ…キタヨ♪
チーズ♪チーズ♪

ツクシチャン…アサヒ……イイコ♪♪

チーズ…ダメダメ」

「朝陽、違うだろ?」

「チーズ…チガウ…ツクシチャン♪」


うーん…こりゃまだダメか?

第三の刺客、キバタンを前に計画を練り直そうかと考えてると、蒼穹と疾風が朝陽を挟むように隣に並んだ。


「ソウキュウ…イッショ…ハヤーテ……チーズチーズ」


くくっ。こいつどこまで理解してんだか。

つくしちゃんがチーズを欲しがってるから蒼穹に運ばせて、朝陽に伝言を頼もうと思ったけど、これじゃ無理か?
いやいや、せっかく一緒に飛べるように教え込んだんだから諦めんのは早いか?


ピィーー♪
ピィーー♪
ピィーー…ツクシチャン♪


「よしっ!じゃあ、行ってこい!!」

バサッバサッバサッ・・・!


さて……類達、どんな顔すっかな?




さて、その日の花沢城では……



「つくし……まだ時間掛かるの?もう止めたら?」

「もう少しだから待っててよ~。黒ちゃんのために今から植えても育つって言う人参なんだよ?」

「人参……黒曜星のために?」

「うん!また今度背中に乗せてもらうから!」

はぁ……さっきからそう言ってもう2時間も畑に居るんだけど。
人参の前は花の種まきだったのに。

金魚草にスィートピーにカーネーション……俺、どれだけジョーロに水汲んで往復したと思ってんの?
せっかくの休みの日にはもう少し、もう少し仲良くしてても誰も文句言わないと思うんだけど。

その時、畑の入り口で護衛のために見張ってた琥珀達が一斉に吠えた!

「わんわんわん!」
「わんわん!」「わぉ~ん!!」


「どうした?珀、何かまた来たの?」

3匹を見たら上空を見上げてる……?空からって事は総二郎?それとも司?

「……類、何だか蒼ちゃん達に見えるけど1羽多くない?」
「ホントだ。何だろ……白いのがいる」

「鳩?ううん、鳩にしては大きいよね?」
「蒼穹達と大きさが変わんないじゃん」

そうしてるうちに俺達の頭の上で旋回を始め、だんだん高度を下げてきた。


「おーーーい!蒼ちゃーん!疾ちゃーーん!
その子、お友達ー?降りておいでーっ!」


「ちょ、ちょっと、つくし、そんなに簡単に呼んだらホントに来るよ?」
「うん、あっ!来たよ、類!」


バサッバサッ……!

ピィーーーッ
ピィーーーッ
「ツクシチャーン♪」

「えっ?うわあーっ!!」
「きゃああぁーっ!私のこと、知ってるのぉ?!」

ズン!と腕が重たくなったかと思ったら、俺の右腕に蒼穹、左腕に疾風。
そしてつくしの頭の上には真っ白な……オウム?!


ん?何この匂い……蒼穹、なんか匂うんだけど。


「コンニチハ…ツクシチャン、コン……ピィーピィー♪」
「うふふ!こんにちは♥君は西門さんのところのオウムさん?
お名前は?」


「オナマエ、オナマエ……アサヒ、アサヒ、イイコ♪」
「朝陽ちゃんかぁ!可愛いねぇ!」

「アサヒ、カワイイ!アサヒ、イイコ♪」


イイコが人の頭の上で羽広げて踊る?
つくしの頭皮にそんなマッサージ要らないから!!

流石に痛かったのか、つくしは自分の腕に朝陽ってオウムを乗せて頭を撫でてやった。
これ、確かキバタンってオウムじゃない?総二郎、そんなに鳥が好きなの?


「ねぇねぇ、朝陽ちゃん、何か喋ってみて?」

「……ツクシチャン、チーズ…アゲル、アゲル、ピィ!
ハヤク……ワカレテ……ソウチャン、ピィ♪」


「ん?チーズくれるの?でも早く別れる?」
「ソウチャンって総二郎のこと?それとも蒼穹?」


「……ハヤク……ワカレテ、ソウチャンノオウチ、モドッテキテ!
ツクシチャン、マッテル!ソウチャン、マッテルヨー!!ピィー♪」


「……は?」
「総二郎が待ってる?つくしを?!」


どういう事なのさ!
俺とつくしが早く別れて総二郎の所に戻ってこいって?
総二郎がそれを待ってるってーーっ?!

あいつ……何を教えてんだよっ!
……いや、教えてる訳では無いのかも…
いやいやいや、でも 朝陽の前で言ってるって事だよね?

…………総二郎💢💢


「ねぇ、類……蒼ちゃん 何か匂わない?」
「………なんだろ?この匂い……」



つくしは、俺の右腕で毛繕いを始めた蒼穹に鼻を寄せ、首を傾げている。


「あ、つくしもそう思う?」

「うーん、なんだろ?」

「さっき、腕に止まられた時から気になってたんだよね…」


「……アサヒ イイコ♪チーズ チーズ♪」
「ソウチャン マッテル…チーズ マッテル♪」


「「チーズ?」」

「何も持って無いわよね?」

「だね」

「でも、匂うわよね?」

「かなりね」

「……あ、疾ちゃんの脚に…なんだろうこれ?
お手紙?付いてる



『つくしちゃんへ

蒼穹にチーズを持たせた。
説明は、朝陽から聞いてくれ。
西門のチーズは、旨いぞ食べてみてくれ。

後で、三羽を迎えに行く。

総二郎』


「「……………?………」」

「蒼ちゃん、どこかにチーズ落としちゃったのかしら?」

「……さぁ……」


「「わんわん」」「わわんわん」


珀、桃、菊が懸命に吠えてる方向に視線を向ければ、今日も来たらしい ラスカル。


「また、来たんだ…」

「ねぇ 類。ラスカル何か白いの洗ってる」

「はっ?
それってさ…」


もしかしてチーズなんじゃない?って言おうとした時にはつくしはもうラスカルの元に駆け寄ってた。


っていうかさ…。
ここまで運んで来といてここで落とす?
いやいや…別に総二郎の所のチーズが欲しい訳じゃないんだけどさ。

思わず蒼穹を見たら、居心地が悪くなったのかつくしのいる方へと飛んでいった。
その後に続くように近寄ると、つくしは目線をラスカルに向けたまま呟いた。

「これって食べれるのかなぁ………」


えっ!ちょっと待って!!
川に落ちて?ラスカルが一生懸命洗ってるチーズをあんた、食べる気なの?!

「あんなの食べたらお腹壊すでしょ!
絶対ダメだからね!!」


「えっ…類?もしかして私が食べようとしてると思ってる?」
「思ってるよ!違うの?」

「流石にこれは私も食べないってば!!
私じゃなくてラスカルの話よ。

チーズなんて自然にはないものでしょ?そんなの食べたらお腹壊すんじゃないかなぁ?」


あぁ…そういうことか……よかった……。

「ラスカルに代わりの何かを渡したらいいんじゃない?」
「代わりの何か……」

つくしは辺りを見回したりポケットをごそごそするとハンカチを取り出してラスカルの前に出した。

「ねぇ、ラスカル?
このハンカチとそれ…交換しよう?」



キュー…キュキュ…!!


それは反論の鳴き声だったのか、ラスカルはチーズを守るように身を縮こませてる。

「うーん…これじゃダメかぁ…」

「わん!」
「「わわん!!」」

また吠えだした珀、桃、菊に辺りを見回した。


バサッ…バサッ……
バッシャーン…バシャッ………


空から降りてきたのは静司郎だった。
派手に水音を立てて着地すると、さも何事もなかったかのように置物と化してる。


キュキュッ♪♪


「あっ……うふふ」

それまで必死でチーズを抱え込んでたのに、チーズをポイッと転がすとラスカルは静司郎の足元に駆け出し、洗濯を始めた。
つくしは転がったチーズを回収すると振り向いてにっこりと笑う。

「よかったね、回収出来て」
「うん♪♪」

「さぁ…そろそろ部屋に戻ろうか」
「そうね♪」

帰れと言っても帰る筈もない蒼穹、疾風、朝陽とうちのSPを引き連れ部屋へ戻ることにした。




部屋で寛いでると田村が総二郎を伴い部屋へと入ってきた。

「よっ、お二人さん!
旨かったろ♪」



「ソウチャン…オカエリ…オカエリ!!
チーズ…ダメダメ…アサヒ…イイコ♪♪」


朝陽が真っ先に気づいてバサッバサッと羽音をたててその肩にとまった。

そうだよ…それがあった!!

「あっ、西門さん、いらっしゃーい!
あのね……言いにくいんだけど…」

「おっ、どうしたんだ?」

「つくし、ちょっと待って!」

今日の経緯を説明しようとするつくしを制した。

「総二郎、ちょっといい?!」





おしまい


<おまけ>

なんだ?なんでそんなに類が俺を睨むんだ?
……ってか、こんなに怖い顔出来るんだ?

それだけ腹が立ってるみたいだけど……なんで?

俺は迫ってくる類に押されるように部屋の壁まで追い詰められた。
まさかの……壁ドン?俺、それならつくしちゃんの方がいいけど?


「総二郎、お前……自分の城で何言ってんだよ」
「は?俺が俺の城で何言っても類には関係ねぇだろ?」

「関係あるよ!!総二郎が言ってるから朝陽があんな事言うんでしょ?!」
「朝陽が?……朝陽、お前何喋ったんだ?」


「……アサヒ、イイコ……イイコ?」

……なんで今度は朝陽が悩んでんだ?
まさか、またこいつ、言葉の順番間違えたのか?

よくやるんだよなーっ!
1つ間違えたらとんでもない伝言になるの!参ったな……。

「朝陽、怒らねぇから類に言ったこと、俺にも言ってみ?」


「……ツクシチャン、チーズ…アゲル。
……ハヤク……ワカレテ、ソウチャンノオウチ、モドッテキテ?
ツクシチャン、マッテル!ソウチャン、マッテルヨ……?」

「ねっ?俺とつくしが別れて総二郎の処に戻ってこい、待ってるよ、って意味でしょ?
これを総二郎が言ってるから朝陽が覚えたんだよね?

どうなの!総二郎……事と次第によっては俺、闘うけど?」



………………。

確かにそう思えるよな。
うんうん……やっぱりダメだったか。

まぁ、朝陽には罪はねぇ……俺の頼み事が長かったんだ。

「いや、類……それな?全然内容が違うんだわ。
俺が言ったのはな……」



『朝陽、いいか?これはつくしちゃんにあげるチーズだ。2個準備してるからな。
蒼穹は1度に1個しか運べねぇから、届けたら朝陽が説明すんだぞ?
蒼穹はそこでお前と別れて2個目を取りに城に戻ってくるはずだから
お前はつくしちゃんと花沢で待っとけ。
俺は蒼穹を待ってから残りを届けさせるからな。

早く食うように言うんだぞ?わかったか?朝陽』



「ほらな?朝陽が順番やら途中の言葉を省くから訳わかんなくなったんだよ」

「あのさっ!!オウムにそんな文章が覚えられると思ってんの?!
最初っから総二郎が届ければいいじゃんっ!」


「あっはは!やってみたかったんだよ。
朝陽に言葉教えたからどれだけ出来るのかと思ってさ!
疾風はチーズ持って飛ぶ訓練してねぇし、蒼穹も何故か戻ってこねぇしおかしいなぁとは思ったけどよ。

まぁ、いいじゃん。で?旨かったろ?」



あれ?なんで類とつくしちゃんが変な顔してんだ?
しかも蒼穹、なんでバツが悪そうに背中向けてんだ?


……ん?みんなどうした?





おまけ・おしまい





今日のお遊び♪



こんにちは~♪

今日はオウムの朝陽ちゃんの登場です♪

さて、この朝陽ちゃん。
出所はどこだったんだろか?
と、ラインを検索♪
落としたのはGipなのですが……どこでオウムになったのか……?
遡っても遡っても分からなかった(笑)

おそらく前にキバタンが好き♪♪と言う隊員がいたので書いたと思うのですが……ある日突然の投下でした( ̄∇ ̄*)ゞエヘヘ

ま、花沢城はみんなこんな感じでポーンと出てくるから結果オーライよね♪♪

どうしてもチーズを運ばせたかったのよ~!
せっかく喋れる鳥さんがいるんだから喋らせたかったのよ~!!
そしてそして西門城を鳥屋敷にしたかったの~!!(笑)

なーんて言ってるGipは実は鳥は苦手です(爆)

以上、Gipの戯言でした(*´艸`*)



どっちも可愛いわ~♪



お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪


Gipskräuter

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変わりゆくもの 後編
- 2019/03/06(Wed) -


このお話は願いが叶うまでの番外編となっております。




懐かしむかのように隠れ家を眺めるつくしに声をかけて中に入った。

結婚してからはつくしのいる場所が俺の帰る場所。
当然ここに来ることもなかった。

久しぶりに足を踏み入れた隠れ家は昔と何も変わってねぇ。

「ほんと、久しぶりだよな?」

靴を脱ぎながら後ろにいるつくしに声をかけ、返事を待たずに奥のリビングへと歩みを進める。

何もかもがあの頃のまま。
あの頃の甘酸っぱい記憶までもが呼び覚まされる。

窓辺に立ちカギを外して窓を開け放てば、気持ちのいい風が部屋へと流れ込む。

ふと振り返ればつくしはキッチンに立ちやかんを火にかけ、パタパタとそこら辺の扉を開けて何かを探しているようだった。

そんなつくしと目と目があった。

「ねぇ、総二郎。お茶ってどこにあるの?」

くくっ。

普通だったら昔のまま形を変えずにそこにあるんだろうが、西門で管理するようになって定期的に入れ換えをしていることはつくしも知っている。

それだけつくしが西門に馴染んできたってことなんだろう。

「その辺にあんだろ?」

「えー?ざっくり過ぎない?」

クスクス笑いながらしゃがみこんで、まだ扉をパタパタと開け閉めするつくしに近づいた。

つくしには届かない扉を開けてみる。

「ほら、あったぞ。」

「ん、ありがと。」

茶筒を手渡しその場を任せ、窓辺へと戻り腰をおろした。

手入れの行き届いた庭を眺めていると、つくしが茶を持ってやって来た。
盆を縁側に置き、俺の隣に腰を下ろすと俺の肩に頭を凭れる。

あの日から変わっていった俺たちの距離。
その答えがここにあるようで、俺の心は浮かれていた。

「ねぇ、総二郎?
昔言ってたよね、仲のいい爺さん婆さんみたいだな、だっけ?」

「あぁ、そんなこと言ったっけな。」

「私たちはさ、結婚してまだ数年で、爺さん婆さんには程遠いけど…。
いつかなれるかな?そんな夫婦に。」

つくしの腰に手を回し、力を込めて引き寄せた。

「当たり前だろ。俺の気持ちはずっと変わんねぇぞ。
お前は変わんのか?」

そんなことはないと分かってるのに、つくしの口からその言葉を聞きたくて質問を投げかけていた。

「ふふっ。変わんないよね、そういうところ!
私も変わらないよ。
総二郎がこうして隣にいてくれるだけですっごく幸せだもん。」

そう話すつくしが本当に幸せそうで、俺まで幸せになる。
つくしだからこそ得られた幸せだと思う。

「せっかく来たんだし、散歩にでも行くか?」

「うん、行きたい!」

立ちあがりつくしに手を伸ばす。
そして前にここでしたように引き寄せて唇を塞いだ。

前は慌てふためいていたはずのつくしの腕が俺の首に回される。
昔のあの可愛い反応が懐かしくもある。けど…これはこれでそそられる。

「総二郎…?」

上目遣いで俺をじっと見つめるつくし。

「散歩行くんだろ?それとも続きをご希望か?」

「もうっ!早く行こっ。」

少し頬を染めて俺の手を引き腕を絡ませてつくしは歩き出す。


あの日とは違う俺たち。
2人で過ごしていくなかで、変わりゆくもの、そして変わらないもの。
きっとこれからも時が経つに連れて変わっていくと思う。

けど…。

きっといつになっても俺たちは変わらねぇ。

互いを想うこの気持ちだけは。




fin

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花沢城物語 ~鶴の恩返し 花沢城ver~ by GPS
- 2019/03/05(Tue) -




田村を連れて城下に視察に行った帰り道。
馬車の窓から外を見ていたら、1ヶ月前に1羽の傷ついた鶴を見つけた場所に差し掛かった。


「……そう言えばあの鶴どうなったんだろうね」
「あぁ、この辺りでございましたね」

「そろそろ北に帰る頃じゃないの?」
「鶴という鳥は2月頃から帰り支度を初めて、遅くても3月には飛び立つそうでございますから」

「だよね……まだこの辺りにいたら夏はどうするんだろう」
「つくし様が保護されるのでは?」


「……やめてよ!!想像しちゃうじゃない!」
「申し訳ございませんッ💦」

でもホントにどうしたんだろう。
あれ以来起こる怪奇現象の事もあるし、つくしも心配してるんだよね。

もう1回でいいから無事な姿を見たら安心するのにな……。
そんな事を考えながら馬車は城の中に入って行った。



~1ヶ月前・視察の帰り道~


「類様、城下の街々は穏やかでございましたな。これも国王であらせられる類様のおかげ。
国民も満足そうでございましたねぇ。相変わらず類様の人気も高くてわたくし、安心致しました」

「そお?まぁ…城内は大変な事になってるけどね」
「そ、それはつくし様が愛情深い故の事。賑やかで良いと思われたらいかがでございましょう?」

「……八子と潤も居るしね」
「あの子達は大人しゅうございます!あれから夜のお邪魔もしておりませんし!」


ハムスターの事となると必死だよね?田村……。
なんて笑いながら馬車に揺られていたら、窓の外に白い物体が倒れているのを見つけた。

「……馬車を止めて!」
「類様?如何なさいましたか?」

「何か居る……なんだろ?見てくる!」
「お供致します!」


何故かこの瞬間、自分がつくしに似てる気がしたんだけど。

急いで馬車を降りて道端に倒れている物に近づいてみたら……鶴?!
羽に少し血がついてる……何かで怪我して飛べなくなったのか?

この時期は鶴が北に帰り始める頃だし、もしかしたら仲間はもう飛び立ったのかもしれない。
1羽はぐれてここに舞い降りてきたのか……?

でも、このままにしておくと野生動物にやられるかもしれない。

これ、無視しちゃ絶対につくしに怒られるよね?
田村も従者も見てるから、放置したらバレる可能性はあるよね?


ど、どうしよう……。

クワァーークワァーー……


「随分と弱っておりますな。類様……ここはやはり……」
「見なかったことにする?」
「いえ、誰もそのような事は申しておりません!手当をしなくては、と言う意味です!」

「だよね……」

田村と2人掛かりで鶴を抱えて馬車に乗せ、その子に膝枕させてやって城に向かった。



「類!!どうしたの、その子!」
「城下から帰る途中で怪我してるのを見つけてね。
放っておけないからすぐに馬車に運んだんだよ。

ねぇ、田村」


「……さようでございます。類様は少しも悩まれずに馬車にお乗せになりました」

「流石だわ!類……うんうん、ホントに類って優しいよね!
こうしちゃいられないわ!すぐに手当しなくちゃ!」


俺を出迎えてくれたつくしは、案の定馬車の中の鶴の方が気になったみたい。

少し後ろで睨んでる田村の事は無視。
俺も急いでつくしの後を追って城の中に入った。


***


「骨折箇所は無し、怪我は自然界にいれば何があるか判りませんから…、ただ人間に傷付けられたものではありません」
「大丈夫、直ぐ良くなりますよ」

「良かった……」

身体を固くして、保護した鶴の診察の様子を見ていたつくしの肩の力が抜けたのが判った。

─本当に、優しいんだよね…

「つくしちゃん、大丈夫よ」
「ありがとうございます。出水(いずみ)先生」
「自然に近い状態で様子をみましょうね」

花沢の獣医師 出水 孝子。
この城に琥珀、桃太郎、菊次郎の三匹が揃った時に、専属 獣医師として来て貰った人物だ。
今では、隣国からの訪問者達の主治医にもなっている。

その後保護した鶴は、3日目、4日目と次第に元気を取り戻した様子だった。
事件が起きたのは、鶴を保護してから一週間経った早朝。
「盛んに羽ばたきの練習をしてるのよ」と、
嬉しそうつくしが話してくれた、
翌日だった。

たった一枚の羽を残して、居なくなっていた。

野犬か何かに襲われたのでは?と取り乱すつくしに、襲われた痕跡は一つも無い、と伝えてくれた出水先生。

つくしの悲しそうな顔は見たく無かったけど、自力で仲間達の所へ帰って行ったのなら、喜ばしい事だ。


「ねぇ、つくし。あの鶴が元気になったのなら、何よりじゃない?」
「……うん…」
「仲間達の所に帰れるくらい回復したって事だよ?」
「そう…なのかな……」

「大丈夫、きっとまた会えるよ」
「……そうだね、今頃 家族に『ただいま』って言ってるかもね」

「だね」
「うん♪」


そして不思議な事が起こり始めたのは、
『あの鶴 元気にしてるのかな?』
『皆と飛んで、遅れたりしてないかな?』

そんな呟きと共に、まだまだ寒さが残る空を見上げるのが日課になりつつある頃だった。


執務室での会議も終わってつくしが待つリビングに向かった。部屋に入ると案の定つくしはソファーに座ってて、その両隣、足元には珀、桃、菊が寛いでた。

「あっ、類!お疲れ様~」

そう言って近づいてくるつくしの表情がどこか変……。どこがって聞かれると説明出来ないんだけど…とにかく変!

「つくし?何かあった?」

聞かなくてもきっとつくしは話してくれるのに待ちきれずにそう口にしてた。

「えっ…あっ…うん……。あのね…」


つくしが言うには城の至る所(主にバルコニー)にタニシがいるらしい。その中でも多いのが俺達の寝室とリビング。
いつの間に置かれたのかリビングの片隅には水槽があってその中にはタニシが蠢いていた。


バルコニーにタニシ?
そんなバカな……。
だってこれって水辺に居るもんじゃないの?


「あっ…あとね、聞こうと思ってたんだけど、お城の池に鯉っていたっけ?」

「静司郎とラスカルが来る池?
あそこに鯉は放してないけど?」


「………そうよね。でもね……あのね」

言うよりも見た方が早いとばかりに俺の手を取ったつくしは歩きだした。


池にはいつも通り静司郎とラスカルがいた。
そう、いつも通り……のはずだった…。

「私もね、今日気付いたの…」


ピチャン…
ピチャン……


水面を跳ねる魚。
池を覗き込めば颯爽と泳ぐ魚達。

何…これ………?
なんで鯉?
しかもこんなにたくさん?

その光景に呆然とつくしを見れば、つくしも同じように俺を見てた。

「………」
「………」

「何か…変だよね?」
「……だね」


バルコニーにタニシ。
放した覚えもないのに池に鯉。

狐につままれたようなこの状況に俺達は言葉もなく、ただそれを見ていた……時だった。


「わん!」
「「わんわん!」」


その声に引き戻されるように振り返ると、珀、桃、菊が尻尾をぶんぶん降りながら近づいてくる。
先頭を意気揚々と走る珀。

あれ?
何か咥えてる?


「珀、何咥えてるの?持ってきて」

「わん!」

珀が咥えていたのは……白い羽。しかもこの羽は最近見たような……?
つくしにも見せると「羽?」って首を捻った。
そして後ろから来た桃と菊は口から何かを吐き出した。今度は…タニシ?


白い羽とタニシ……?


「ねぇ、類。この羽、千ちゃんのじゃない?」
「せんちゃんって誰?」

「この前助けた鶴よ!」
「……名前あったの?」

「うん!鶴は千年って言うから千ちゃん。今付けたの♪」


…………センスがいいのか悪いのかはこの際無視しよう。


兎に角タニシは池に入れて羽はつくしが持って部屋に戻った。
そして田村をリビングに呼んだ。


「何か御用で御座いますか?類様、つくし様」

「あのさ…俺達の部屋のバルコニーに水槽置いたのって田村なの?」
「水槽?いいえ、私はそのようなものは勝手に置いたり致しませんが?」

「え?田村さんじゃないの?ここにね、水槽があってタニシが沢山居るの!」
「タニシ…で、御座いますか?どちらも私は存じ上げませんが?」

「ホントに?」
「嘘では御座いませんっ!流石にタニシは飼ったり致しません!」

「じゃあ……なんで?」
「「………………」」

絶対田村だと思ったのに。
必死に違うと訴えるから、それは信じるとして……また振り出しに戻った。
何でタニシや鯉がこの城の中に居るんだろう?


「タニシと鯉と言えば……鶴の好物では御座いませんか?」
「鶴の?」

「はい。確か鶴はそのようなものを食すはずで御座いますよ?」
「そう言えば千ちゃんに出水先生が小さなお魚あげてたわ」


まさか…………?
助けたお礼に「タニシと鯉」って事じゃないよね?

流石にそれは考えすぎだよね?だってあれは物語だもん。実際に鶴が恩返しなんて……。
そんな馬鹿なこと誰も考えるわけないよね!

「わかった!!」
「どうした、つくし!」

「千ちゃんの恩返しなのよっ!千ちゃん、嬉しかったから自分で水槽持ってきてここに大好きなタニシを置いてったのよ!
そしていつでも自分がここに帰って来られるように池に鯉を入れたんじゃない?

きっと千ちゃん、また来てくれるんだわっ!」



「…………そ、そうかも」
「誠に純真なお方で御座いますね、つくし様」

「でも、それって恩返しなの?俺達タニシ食べないけど」
「きっと自分の好きなものは私達も好きだと思ったんじゃないかしら」

「水槽、背負って来たって言うの?」
「きっと大変だったでしょうね……」


………………そうかな。

田村と目を合わせて「そういう事にしておこうか」って頷いた。



ところがそれだけじゃ終らなかった。
その数日後、今度は田村が慌てて俺達のリビングに駆け込んできた。

「類様!大変で御座います!」
「……どうしたの?闘司郎でも来たの?」

「いえ!今度は門前にLAWSONのゲンコツコロッケがっ!!」
「はぁ?!今度はLAWSONのゲンコツコロッケ?!」

田村が差し出したものを見たら……ホカホカのゲンコツコロッケが10個。
多分揚げたて。

それをつくしと見てキョトンとしてしまった。


「あっ!類……これ!」

つくしが指さしたのはそれが入れてある袋に付いてるタニシ……。
タニシ付きのゲンコツコロッケ?!


「い、如何致しましょう、類様!」
「兎に角これ持ってLAWSONに行かなきゃ。支払わないといけないよね?」

「さようですな。それでは私が行って参りましょう」
「いや、自分で行く」
「私も一緒に行くわ!」

「では3人で参りましょうか」


こうして俺達は城を出て馬車で5分の所にあるLAWSONに向かった。
手にはまだ温かいコロッケ持って。

そして店に着いたら……3人でとあるものを見つけて固まってしまった。


入り口に水槽に入ったタニシと鯉が居る……しかもそれを見て店長らしき人間が頭を抱えていた。
「なんでこんなものがあるんだ?それにコロッケ、何処に行ったんだろう?」なんて声が聞こえた。


「…………」
「…………」
「…………」

「帰ろうか。何も見なかったことにして」
「そうね……千ちゃん、タニシをお金の代わりに置いてったのね」
「それを説明するのに疲れそうですな」


帰りの馬車の中でつくしが思い出したように言った。

「そう言えば出水先生、千ちゃんが怪我したときにLAWSONのゲンコツコロッケ、美味しそうに食べてたわ。
大好物なんだって」


「それでか……」
「納得ですな」



そして俺達が再び城の中に入ろうとした時、窓の向こうに真っ白な鶴が1羽飛んでった。

俺達は「きっと千ちゃんだね」ってニコニコ笑って見送った。


来年は怪我なんかするなよ?
そしてつくしに会いに城においで。

その時にはLAWSONのゲンコツコロッケはタニシじゃ買えないことを教えてあげなきゃ……ね。




おしまい♪





今日のお遊び♪



こんにちは~(*´∀`)♪

今日のGPSは鶴でした~♪

うふふ。
意外な所に行きましたよね?
これ…ほんとはコウノトリのはずでした(笑)
で、その後に白鳥も出てたんですが、どうやら難しかったようで鶴に……(*´艸`*)
変更するという選択肢はあっても諦めるという選択肢はない?みたいです(笑)

花沢城は何でもありなので書いてて楽しい♪♪
が……結構ぶっ飛んでますよね~(爆)
たくさん笑ってもらえてるといいなぁ~(*´∀`)♪



千ちゃん可愛いわ~(笑)


お付き合いくださりありがとうございました(o・ω・)ノ))♪



Gipskräuter

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変わりゆくもの 前編
- 2019/03/04(Mon) -


このお話は願いが叶うまでの番外編となっております。




慌ただしい毎日を過ごす中での幸せなひととき。

つくしと二人ソファーに凭れて、他愛もねぇ話をする。
その日あった出来事を話すつくしはいつも楽しそうで、いつもその笑顔に癒されていた。

「つくし、今度の休み出掛けないか?
最近どこにも連れてってやれなかったし、どこでもいいぞ?」

「えっ、いいよ。忙しいんだし。のんびりしようよ?」

なんか聞き覚えのあるセリフだな。
ぼんやりと浮かぶその光景を頭の中で手繰り寄せていた。

あぁ。
あん時か…。

「つくし。ドライブでも行こうぜ?決まりな。」

「ちょっと、総二郎。また勝手に決めて!」

「可愛い顔が台無しだぞ?俺が行きたいんだからいいんだよ。
それともお前行きたくねぇのか?」

つくしは慌てたように俺を見上げて首を振る。

「違うよ。ただずっと忙しかったでしょ?
今無理して出掛けなくても、もう少し落ち着いてからでいいんじゃないかなって…。」

くくっ。
全然変わんねぇんだな、お前は。

「俺さ、ちょっと行きてぇところあるんだ。だから付き合えよ。
俺一人で行っても意味ねぇし。な?」

「…分かった。でもどこに行くの?」

「それは着いてからのお楽しみだな。」

言い出したら引かないことはつくしも分かってる。
不満そうな顔をしながら頷くつくしを抱き寄せた。

今でもこいつが愛おしくて堪らない。

そんな俺たちの原点。
もう久しく行ってねぇけど、いつかまた行きたいと思ってたんだ。

お前もきっと覚えてるだろ?



あの時は西門に場所を伏せておきたかったこともあって、自分で運転していた。
その中には牧野と二人きりの時間を少しでも長く過ごしたいっていう邪な希望もあったけどな。

けれど今は隠す必要もねぇ。
堂々と西門の車に乗り込み車を走らせた。

するとつくしはすぐに眠りについた。
そんなつくしを引き寄せる。

あの日はつくしの意思で作った弁当。
今日は俺がつくしにリクエストして、俺も手伝いながら二人で用意した。

きっとあの時と同様に、つくしも疲れているんだろう。
そういう俺もなかなか休みがとれずにいたせいか、いつしか眠りについていた。


「総二郎様、到着いたしました。」

運転手の声に目を覚ます。
俺に凭れていたつくしも瞳をパチパチと瞬かせながら辺りを見回していた。

「総二郎…ここ…。」

「久しぶりだろ?」

「うん…。全然変わってないんだね。懐かしい…。」

車を降りて再び辺りを見回したつくしは隠れ家を前にふんわりと笑っている。
その笑顔に見惚れていた。



続きは水曜日です(o・ω・)ノ))♪

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