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夢かうつつか……愛し愛され ちゃぷん……ちゃぷん 第一話
- 2018/12/02(Sun) -






暑かった夏が嘘のようにめっきりと寒くなった。
師走に先駆け屋敷の様子も少しずつ慌ただしくなってきている。

自室に戻った俺は風呂に入り一日の疲れを癒やし、その後ソファーに体を預けてリモコンを手に取り暖房を入れた。


この時期になると昔は全く興味のなかったイベント事が目白押しで、柄にもなくわくわくしてくる。
そしてその中には俺の誕生日が入っていてそれが一番始めにやってくる。


西門という家に生まれ育って何不自由なく?暮らしてきたが、ここ数年、この家に生まれちまったことが疎ましい。

何でかって?
そりゃあ俺だって可愛い彼女とのんびり誕生日や年越しを過ごしたいに決まってんだろ?

けど現実はどうよ?
この家に生まれちまったせいでこの時期はとんでもなく忙しいじゃねぇか!
当然休みは死守したけどな。
けどそのしわ寄せがハンパねぇ。

こんな家じゃなかったら…とは思うが、こんな家だからこそっ…てのもあったりするからしょうがねぇ。
どこかで折り合いをつけなきゃやってらんねぇもんな。


ぼんやりとそんなことを考えながら、つくしが勝手に丸印を付けていったカレンダーに目をやった。

誕生日は明日に迫っている。
つくしが朝7時に迎えに来ることになってるけど、それ以外は何も聞いちゃいない。


俺はすっげぇ楽しみにしてるってのに、何の連絡もねぇってのはどういうことなんだ?
約束したのって2週間くらい前だよな…。

休み…死守したんだぜ?
なのに肝心のお前からの連絡は梨の礫かよ?

毎年…ころころと表情を変えながら一緒に一生懸命考えてくれてたよな?
今年はどうした?
まさか忘れてるなんてことはねぇよな?
いやいや約束はしてるんだからそりゃねぇよな…流石に…?

今年はつくしの行きたい場所じゃねぇのか?



一昨年…初めて一緒に過ごす誕生日はつくしの希望で京都に行った。

京都なんてしょっちゅう行ってる俺にしてみればなんてことはねぇ。
なのにきゃーきゃーとはしゃぐつくしを見てたらふと気づいた。

美しい景色があちこちにあることに。

観光名所に行ったのなんて物心つくかつかないかの頃のこと。
いつもホテルと会場を往復するだけだった俺はそんなことにも気づかなかったんだ。
仕事で行ってんだから当然と言えば当然。でも俺は何年もの間それを見逃していた。

それに気づけたのはつくしのおかげ。
つくしと付き合い始めた俺の世界は輝き出した。


去年の誕生日は富山に出かけた。

『美味しい蟹が食べたい』なんて急に言い出したつくしのためだ。

最高の宿と最高の蟹を用意させて出向いた富山は海が近いせいかすっげぇ寒かった。

本館とは別の離れに案内された。もちろん露天風呂付きだ。
料理も西門に負けず劣らずでなかなかよかったよな。

けどよ。
あのくそ寒い中、ヒスイ海岸に連れてかれたのには参ったぜ。

『ここね、翡翠が採れるんだって!!』

満面の笑みでそんなこと言われちゃ帰るに帰れねぇ。

つくしは終始ご機嫌で、そんなつくしを見ていたら俺までつられて一緒になって探してた。

採れた数個の翡翠は帰ってから知り合いに頼んで、揃いのリングに変わった。
品物としちゃ決していいもんじゃねぇけど、二人だけの記念と思えば安いもんだろ。



って……。
ん?

俺の誕生日…だよな?
なんか…ただの旅行になってね?

いや…まぁ…夜はそれなりに美味しくいただいたっちゃ…いただいたんだけどさ…?
ん?



今年は多分…つくしなりに色々計画してるんだよな?

一体どんな誕生日になるんだろうな。

俺としちゃ…つくしが喜ぶ観光とか旨いメシとか、ぶっちゃけどうでもよくて…いや…一生懸命考えてくれることは嬉しいんだけどよ。
けど…そんなことより…あんなことやこんなことを朝から晩まで……何なら一日中?して過ごしてぇんだけど…?

まぁ無理だよな…
つくしだし………



疲れきっていた俺はここで意識を手放していた。




第二話→
next up 12/2 21:00

明日咲く花 asuhanaサマ


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