ふたりだから

2018年05月15日12:03  ふたりだから 類×つくし


こんにちは~!


だいぶ前のことですが、『ビー玉の瞳』 凪子サマに押し付けたお話で、凪子サマのお部屋でアップ済みのお話です♪



類くん×つくしちゃんです(〃ω〃)


ビー玉の瞳はこちらからどうぞ(*´・∀・)つ




Gipskräuter



「ねぇ、つくし?」

少しの間をおき隣に座っていた類は体を前屈みにし、首を傾げてつくしの顔を覗き込む。
その距離の近さにつくしは当然驚いた。

「なっ、何?」

「どうして離れて座ってるの?」

お茶を入れたりなんだかんだとしているうちに出来てしまったその距離に、類は問いかける。
覗く瞳が寂しげでつくしはぐっと息を飲んだ。

「る、類。
私、課題やってるって言ったよね?
何も出来ないって言ったよね?」

「うん。」

「何にもしなくていいからそばにいたいって言って、部屋に上がったよね?」

「うん。だから何にもしてないでしょ?」

「そ、そうなんだけど、課題やってるんだから離れて座っててもおかしくないよね?」

「そばにいても課題は出来るでしょ?」

暖簾に腕押し、糠に釘。
何を言ってもまるで手応えが感じられず、つくしは再びぐっと息を飲む。

類が部屋に上がり込んでからすでに数時間が経過している。
そして類自身が語るように、確かに何もしていない。
ただ課題に集中しているつくしを見て、ニコニコと頬を緩めていただけ。

つくしのころころと変わる表情は見ていて飽きることはない。
けれども同じ空間にいるのに、まるで空気のような何でもない存在のような扱いは納得出来るものではない。

「つくし、手が止まってるよ?
そんなんじゃいつまで経っても終わらないよ?
それとも手伝おうか?」

類は距離を縮めるべくつくしとの間を詰めていく。

「いい、いい!
自分でやるから!!」

「ふふっ。
あんたってほんと真面目だよね。」

可笑しそうに笑い、間を詰めた類はつくしの隣をしっかりキープし、その小さな肩に寄りかかる。

つくしは頬を染めながら小さくため息をついた。



春休みといえどつくしの毎日は忙しい。

特待生であるつくしには膨大な課題が出されている。
そしてつくしにとって、春休みは書き入れ時だ。

膨大な課題と目一杯詰まったバイト。
それに加え、いつもつくしの後を着いて歩く猫のような彼氏様とのお付き合い。

彼は大事だがそこに溺れて周囲が見えなくなるほど、つくしは脳天気に出来ていない。

けれども時々ふっと思う。

何も考えずその深い愛情に溺れてしまえたらいいのに、と。



「つくし、顔真っ赤だね。可愛い。
課題、やらないの?」

「ひゃっ。」

ぼうっと考え込んでいるつくしの耳元で類が囁けば、つくしは素っ頓狂な声をあげる。

「つくし。」

いつの間につくしの腰に腕を回していたのか、その腕に力が込められる。

「今、こうしてたいなって思ったでしょ?
ちょっと休憩しよ?ね?」

囁かれる甘い誘惑につくしは肩を震わせ、そして瞬時に自分のやるべきことを計算する…なんて余裕はあるはずもなく……。
つくしの返事を待たずに、類はテーブルに置かれている資料をパタンと閉じ、手からシャーペンを抜き取った。

「こういうときは休憩を挟んだ方が効率あがるんだよ?」

「だからちゃんと始めに断ったのに…。」

可愛げのない言葉を漏らすつくしだが、類の動きを止める様子は一切ない。
こうしていつもの通り類のペースに引きずり込まれる。
が、結局つくしもこうしたかった、というのが本音なのだ。



何をするでもない、音のない静かな部屋。

類とつくしは後ろのソファーに凭れ、互いに寄りかかるように身を寄せ合いうたた寝中。


時が経てばつくしはまた課題に取りかかる。
類は温かなまなざしをつくしに向けながら、小さな矛盾と向き合うことになる。


互いを感じ癒やし癒され、再び現実に立ち向かう。

それまでのほんの僅かな至福のとき。


小さな寝息をたてる類とつくしの寝顔には笑みが浮かんでいた。



fin

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