不器用な二人 3
- 2017/05/04(Thu) -

何を聞いてものらりくらりと西門さんのペースで、私になんか到底敵いそうもない。とても逃げられそうもない状況にため息しか出てこなかった。

っていうか、相変わらずのこの自信はどこから来るんだろう?

「まぁ、そう言うワケだから付き合えよ。」

お馴染みの流し目をまともに受けてしまえば、まるで魔法にでもかかってしまったかのように言葉も出ない。

それをいいことに、西門さんは再び私の手を取って歩き出し、私はまんまと西門の車に押し込められてしまった…。

あぁ、神様!
私、これからどうなっちゃうんですかー?
どうして私、西門さんと再会しちゃったんですかーっ!



就活を始めた時、私は既に追い詰められていた。みんなと関わりのある企業を就活の対象から外していくと、受けられる企業はごく限られた企業のみ。

私たちは住む世界が違うから。
いつまでもみんなに甘えてなんていられない。
就職はみんなから距離をとるいい機会だと思っていた。

悩んだ結果、限られた企業の面接を受け、幸運にもその中でも大手と言われる企業からお呼びがかかった。そしてそれは地方での仕事だった。

話が決まった時に浮かんだのは、なぜか西門さんの笑顔だった。
どうして?なんて思いながらも、深く考えることはしなかった。

だって深く考えちゃったら、とんでもない答えが出てきそうで怖かったから…。



あぁ、そういえばさっきも西門さんの顔が浮かんだっけ?
私が距離をとりたかったのは西門さんだったってこと?
今になってまた考えなきゃいけなくなっちゃったってこと?

いやいや、今更そんな昔のこと…。
やっぱり深く考えたくなくて、首をブンブン振りながら否定した。

なのに…。

隣にはご機嫌な様子で私を見つめる西門さんがいる。

はぁーっ。
やっぱりため息しか出てこない。

「総二郎様。到着致しました。」

運転手さんの声に辺りを見回せば、そこには昔何度となく通っていた西門流本家。

えっ?
どういうこと?
何?

西門さんを仰ぎ見れば、不敵な笑みを浮かべている。もう完全に嫌な予感しか浮かばない。西門さんは車を降りてドアを開けてくれた。

なかなか車を降りようとしない私に差し出された綺麗な手。
無意識の中でその手に手を重ねている私。

うわっ、どうしよう。
何やってんのよ、私!

我に返って西門さんを見上げると、意外にも真面目な表情を浮かべていた。

「行くぞ。」

有無を言わせないその口ぶりに反論すら出てこないまま、お屋敷の敷居を跨いだ。昔、お茶のお稽古で何度となく跨いだ敷居。こんな形でまた来ることになるなんて思いもしなかった。

どこに連れて行かれるんだろう?
キョロキョロしながら歩いていると、辿り着いた先はお家元のお部屋だった。

ウソでしょ?!
なんなの、これ?

促されるままに西門さんの隣に座り込んだ。目の前にはお家元と、家元夫人。
どんな状況よ、これ?

「総二郎。一体、どういうことなんだ?」

「今来ている釣書は必要ありません。全てお返しください。
私は、牧野と結婚します。」

へっ?
け、結婚?
結婚って言った?

「私はこいつ以外の誰とも結婚しませんし、今後、どのような縁談の席にも出向きません。」

呆然としている私の手を取って部屋を出て行こうとする後ろ姿をただただ見つめていた。
完全に思考を止めた私は、気付いた時には西門さんのお部屋のソファーに座っていた。



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コメント
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2017/05/05 10:02  | | #[ 編集] |  ▲ top

-yukikoサマ-
コメントありがとです♪

あはは…( ̄▽ ̄;)
総ちゃんったらかなり強引な手段に打って出ましたよ(笑)
再会→俺の女→結婚宣言(((*≧艸≦)ププッ
全て吹っ飛ばしました!
もちろんつくしちゃんは何の返事もしてません…。
普通の男がやったら何様よね(爆)
えっ?総ちゃんでも何様?!テヘッ。
つくしちゃんが覚醒するまで暫しお待ちを~!うふ♪

あらあら…まぁ…。
立ち仕事は慣れるまでが大変なんですよね(-ω-;)
腰にきません?
足もジンジンして棒のようになり…(涙)
それがあと2日ですか…(´д`|||)
無理のない程度に程々に頑張ってくださいね。

今日はしっかりエネルギーを補給しないと!!
楽しんで来てくださーい♪(o・ω・)ノ))
2017/05/05 13:02  | URL | コメ返信 yukikoサマ #-[ 編集] |  ▲ top


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