不器用な二人 2
- 2017/05/02(Tue) -

牧野が俺の前に現れた。


大学を卒業して三年。

三年前、牧野が地方での就職を決めたことに対して、特にこれと言って何も思わなかった。

はずだった…。

いなくなって初めて自分の中にじわりじわりと陰が迫って、気がつけば牧野のことを考えていた。そばにいることが当たり前すぎて気づかなかったその想い。

けど今更気づいたところでもう遅い。牧野はもういない。
胸を締めつける想いを無視して、今まで通りの日常を過ごしていた。


その牧野が俺の前に現れた。

遠目に牧野の姿を映しながらこれからを考える。
牧野とまた同じ時間を過ごせるんじゃねぇのか?

その考えは知らず俺を動かしていた。

牧野の向かいの席に腰掛け、刻が戻ったかのように牧野をからかう。
三年ぶりにあった牧野はあの頃と変わんねぇ。いや、外見だけで言えばいい女になった。けど、中身は変わってなさそうだ。

笑い続けてる牧野を見て、俺の中の何かが騒ぎだした。ちょうどいい時だったのかもしんねぇ…。
頭の中のパズルを猛スピードで組み立てる。

「牧野。お前さ、俺の女になれよ。」

「はぁっーっ?!」

「お前、声でかすぎ。行くぞ。」

全然変わってねぇんだな。
ポカンとしている牧野に流し目を送った。

返事も待たずに手元の本を閉じて立ち上がる。頬を赤らめながら、まだボーっとしてる牧野の手を取って歩き出した。

「ねぇ、ちょっと待ってよ!どういうこと?」

「いいからとりあえず着いて来いって。」

さっきの平手打ちといい、こいつの大声といい、ここじゃ目立ちすぎる。足早に店を後にした。


牧野の手を引いて黙々と歩いていた。

「ねぇ、西門さんっ!ちょっとっ!どこまでいくつもり?」

後ろから聞こえる牧野の声にハッとして足を止めた。
振り返れば肩で息をする牧野の姿が映る。

「あぁ、わりぃ。大丈夫か?」

「ねぇ、どういうこと?説明して!
ど、どうして私が西門さんの彼女にならなきゃいけないのよっ?」

「ん?俺がお前を好きだから?」

「はぁーっ?」

お前さっきからそればっかりな?

「ほら、だから行くぞっ。」

「だーかーらーっ!ちょっと待ってってば!なんなのよ、それ?」

「んー?愛の告白?」

「私は真面目に聞いてるのっ!」

「俺も真面目に答えてっけど?」

大きくため息をついて牧野が俺を見上げた。

「ねぇ、それのどこが真面目なのよ?
からかってるようにしか見えないから!」

俺としちゃ結構真面目に言ってんだけど?

「お前がいなくなってから気づいたんだ。こうして偶然再会するなんて運命だと思わねぇ?」

「ねぇ、そこに私の意思は存在しない訳?」

「ああ、それな。それは追々ついてくればいいし?心配すんな。時間はたっぷりあるんだ。ゆっくりおとしてやるよ?」

目を見開いてまじまじと俺を見つめたかと思うと、牧野は大きくため息をついた。

またため息かよ?
幸せ逃げちまうんじゃなかったのか?

口に出したら睨まれそうなその言葉をどうにか押し留めた。



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コメント
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2017/05/02 17:48  | | #[ 編集] |  ▲ top

-yukikoサマ-
コメントありがとです♪

総ちゃんのこのノリはね…。
つくしちゃんから見たらまたか…って感じですよね、きっと(笑)
うーん…何が不器用なのかGipもよく分からなくなってきたぞ…。アハハ。
総ちゃんのパズルはどんな展開なんですかね~?
果たして上手く組上がるのかしら?( *´艸`)

もちろん何でもオッケーですよ~♪
なんて、最近お返事が遅れ気味ですが…( ̄▽ ̄;)
でもでもいつでも大歓迎ですv(・∀・*)
2017/05/03 15:47  | URL | コメ返信 yukikoサマ #-[ 編集] |  ▲ top

-瑞穂サマ-
コメントありがとです♪

うふふ(〃ω〃)
凄い偶然でしょ?
これがなかったら『茶の湯』の存在すら知らなかったかも…です(笑)
ほんとにねぇ。
お近くだったらお会いしたかった~!
残念です( ´-ω-)
でもでもいつかお会いしたいですね(//∇//)
2017/05/04 13:20  | URL | コメ返信 瑞穂サマ #-[ 編集] |  ▲ top


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