夕焼け 中編
- 2017/04/23(Sun) -

あの日の空を見たくて、あの日の公園に足を運んだ。

あいつが消えてから何度ここを訪れただろう…。

目の前にはあの日と同じ景色が広がっているはずなのに、心が満たされることはねぇ。
あの日と同じベンチに座り、漆黒の闇が夕焼けを飲み込んでいく様をただ眺めていた。


色をなくした俺の世界はただただ空っぽだった。

きっとつくしと出会う前だったら、当たり前であったであろうこの世界。
一度射し込んだ光は消えることなく、喪失感だけが広がっていく。

それでもここに来てしまう自分を止めることは出来なかった。





総のいない街に越した私は、何もかもが不安だった。

誰一人として頼れる人間はいない。

そんな場所で私は次の一歩を踏み出していた。

この街に移り住んだ理由。
それはごく簡単なことだった。

この街の夕日が綺麗だったから。

総から逃げ出した私は、以前総と見た夕焼けを思い出しここに住みたいと思った。
まさか消えたはずの私がこんな近くに住んでるなんて誰も思わないはず。


私は仕事終わりに公園へと足を運ぶ。
すっかり日も暮れて辺りは闇に包まれているのに…。

それでもここに来ることをやめられなかった。


越してきた頃からまるで日課のように訪れては夕日を見て総を想う。

総の活躍はテレビや雑誌を通して知ることが出来る。
それだけが救いだった。

少し痩せた総の顔…。

まさか私のせいじゃないよね?

そんな訳ないよ。
あれからどれだけの時間が過ぎたと思ってるの?

総の中にいた私なんてとっくに消えちゃってるよね…。
きっと毎日を忙しく過ごしているんだよね。


自分で選んだはずの道なのに。

なんでこんなに悲しいんだろう…。





いつものように公園へと車を走らせた。

もう日はとっくに沈んでる。
けれど、あの場所に行きたくなった。

思い出にすがってしか歩けねぇ。
つくしの代わりになるもんなんか見つけらっれこねぇ。

車を止めベンチへと向かう。
遠目ながらに人影が見えた。

先約…か…。

引き返そう…そう考えて思いとどまった。

長い髪が風になびくのが目についたから。

途端に胸がざわめき出す。

つくし…?

あれから一度も会うことはなかった。

お前もここに来てたのか?

いや、そんなワケねぇ。

あれからいくつもの季節が過ぎていった。
あいつは自分から姿を消したんだ、誰に何を言われるでもなく…。

考えとは裏腹に、足は少しずつその距離を詰めていった。



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コメント
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2017/04/24 01:14  | | #[ 編集] |  ▲ top

-yukikoサマ-
コメントありがとです♪
遅くなりました(。-人-。)

おそらくうまい具合にすれ違っていたのかと…(笑)
地方に行ってたり、残業だったり?
読み返して突っ込まれるなぁと思ってました。エヘヘ。
そんなすれ違いをずぅっと繰り返し…再会しましたよ~(〃ω〃)
続きは明日です♪

あらら。
周囲がいろいろ理解してくれるといいけど、まだまだ世界が狭いですものね。
なかなか難しそう…( ´-ω-)
それにしても…悲しいです…(涙)
どんと構えて見守るしかないんですかね。
笑顔で通えるようになるといいな~(*´∇`*)
2017/04/25 00:01  | URL | コメ返信 yukikoサマ #-[ 編集] |  ▲ top


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