何気ない日常 ~ある日の茶室~ 前編
- 2017/06/04(Sun) -

side tsukushi



ある日その視線の意味に気づいてしまった。
正確に言えば類の一言によって気づかされた。

あの日以来、西門さんとうまく話が出来ていない。

こんなんじゃダメって分かってるのに、どうにもうまくいかない。
目が合えば慌ててそらしてしまう。
声をかけられて慌てて逃げてしまう。

これじゃあ誰だって変に思うってもんじゃない?
分かってるよ、そんなの分かってる。
でも体が勝手に動いちゃうんだもん。
どうしたらいいのよ、私は!!

日々自問自答を繰り返していた。



そんな中で、とうとうお茶のお稽古の日がやってきた。

バイトや家事を理由に断ること数回。
もう断りきれないと観念した私は、お茶室で西門さんと対面している。
当然ながらお茶室には二人きり。

はぁー。
どうしよう…。
私、隠しきれるのかな…。

私の想いとは裏腹に、西門さんはいつも通りにお茶を点てる。
その綺麗な所作に私の目は釘付けだった。


そもそも、私はなんでこの人を好きになってしまったんだろう?
私ってばよっぽど学習能力がないんだろうか?

ついついそんなことを考えてしまう自分を止められずにいる。

っていうか、このお稽古がいけないんじゃないの?
こんな狭い空間に二人きりで、誠実にお茶と向き合うこの人を見ていたら、いつものちゃらんぽらんな西門さんの方がフェイクに見えてくるってもんじゃない?

道明寺とは別れちゃったんだから、いつまでもこのお稽古を続ける意味なんてないはずだよね?
もうお稽古はなしでいいんじゃないの?

そう思うのにいざ口にしようとすればこの時間が惜しくて言葉に出来ない。

私ってば一体何をどうしたいんだろ…?


お茶を点て終えた西門さんは、静かに私の前にお茶を差し出した。
私はそれを手にして、お茶を含む。

あぁ。
どうしてこの人のお茶はいつもこんなに優しくて温かいんだろう?

いつもの意地悪な西門さんはどこにもいない。
いつも私をふんわりと優しく包み込んでくれる。



「つくしちゃん、今日は随分おとなしいんだな?
どうしたんだ?
何でも聞いてやるぞ?」

お稽古も終わり片付けをしていると西門さんはそう私に話しかけてきた。

いつもならくだらない話を挟みながらお稽古をつけてもらっているのに、今日は極力私語を慎んでいた。

だって…。

口を開けば、何か余計なことを言ってしまいそうで怖かったから。
そんなことをしてこの関係を壊してしまうのが嫌だったから。

「そう?
でも今までがおかしかっただけで、普通お稽古ってこんなものじゃないの?」

平静を装って開いた口からはそんな可愛いげのない言葉を告げていた。

私ってばどこまで可愛くないんだろ?
そう思わずにいられないけど、どうせ叶うことのない想いなら隠し通すべきだよね?

「確かにな。
けど、お前が静か過ぎると調子が狂う。」

何それ?
なんか失礼じゃない?!

「どういう意味よ?!」

いつものような言葉の応酬が始まった。


そっか。
そうだよね。
私たちにはやっぱりこんな会話がお似合いだよね。
そして私は西門さんとするこんなやり取りが楽しくてしょうがないんだ。
だから私はお稽古を止められなかったんだ…。

マナーも語学も当の昔に止めていた。
けれど、西門さんが何も言わないのをいいことに、お茶だけは続けている。

それはきっと自覚がなかったけど、私の想いが西門さんに向いていたから。
そしてこの楽しい時間を失いたくなかったから。



ねぇ、西門さん?

自分の想いに気づいてしまった今、私はお稽古を止めるべきなのかな?
どう思う?

西門さんと言葉の応酬を繰り返す中で、私は心の中でそんな言葉を投げかけていた。



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コメント
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2017/06/05 15:22  | | #[ 編集] |  ▲ top

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2017/06/05 18:34  | | #[ 編集] |  ▲ top

-花サマ-
コメントありがとです♪

極上!!ウフフ。
かぶり付き…(((*≧艸≦)ププッ

いやいやまだまだですよ…たぶん…。
だってこれシリーズだもの(笑)
しかも思いついた時限定( *´艸`)
とりあえずボチボチ頑張る!

最近少しずつやる気浮上中よ~♪
今はひたすら途中のお話片付けてる!←まだまだ片付かなそうだけど( ̄▽ ̄;)
でも片付けば…連載番外編やらそれぞれ~やらを続々?アップ出来るかも?!
やる気が続くといいんだけど…。
思わぬ落とし穴に気をつけねば!エヘッ。
2017/06/05 21:28  | URL | コメ返信 花サマ #-[ 編集] |  ▲ top

-yukikoサマ-
おぉ~、待ってましたよ~!!
コメントありがとです♪

いやいやもう何かあったのかと心配しちゃいましたよー。
よかったよかった!
ってyukikoさん的にはよくないか…( ̄▽ ̄;)
忙しかったんですものね。
お疲れ様です(。-人-。)

お話はいつぞやの続きです♪
おそらくGipはそこまで考えていないと思われます!キリッ!
これは全くのノープラン。
最後はくっつく…んだよね?的な…(笑)

ぷぷ。
きっと誰に出すお茶もそのお茶だと思っているんじゃないかと( *´艸`)
鈍感ちゃん、最強です。ウフ。

総ちゃんサイドは…いつだったかな…。ポリポリ。
2日空けてセットしたような??
ってことは…7日?
ごめんちゃい、ボケボケです(´_`。)゙
アップまで暫しお待ちを~(*-ω人)
2017/06/05 21:40  | URL | コメ返信 yukikoサマ #-[ 編集] |  ▲ top


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