すったもんだのホワイトデー 5
- 2017/03/13(Mon) -

総二郎の心は初めから決まっていた。
トナカイ時代からつくしをずっと見ていた。

不器用でいつも真っ直ぐなつくしにいつしか心惹かれていた。
つくしが自分を選んでくれた時はどんなに嬉しかったことか。それでも想いを遂げることが出来なかった数ヵ月。

姿が戻ったことでようやく手にいれた安息の場所。
たくさんの回り道をしながらようやく見つけた羽を休める場所。

そんな大切なものを手離す気など総二郎には毛頭ない。

否定の言葉を紡ごうとするつくしをきつく抱きしめた。

「お前が好きなんだ。
茶のことも、お前の仕事のこともちゃんと考える。
だからこれからも俺と一緒にいてほしい。」

総二郎のその真摯な言葉につくしは口をつぐんだ。

つくしとて総二郎を好きな気持ちは変わらない。
けれど大事であればあるほどに、未来ある総二郎の邪魔をしてはいけないと思ってしまう自分がいてどうしようもなかった。

「なぁ、つくし。
形はどうあれ、親父らは俺たちの付き合いを認めてくれたんだ。
俺たちが別れる必要はねぇだろ?
二人の最善を考えてみようぜ?」

つくしは迷いながらもその言葉に頷いた。

何もせずに逃げ出すことなどつくしにはあり得なかった。
総二郎はつくしのそんなところも気に入っている。

「ごめんな、つくし。
しなくてもいい心配ばっかかけちまって。
ほんとはさ、俺がもっと早く家に顔出してればよかったんだよな。

けど…家に帰っちまったら…。
もうここに…つくしのとこに帰って来れない気がしてさ…。」

それはいつでも自信満々な総二郎らしからぬ言葉だった。
そんな総二郎の腕をほどき、つくしは総二郎と向かい合った。

「私が総二郎を悩ませてた…んだよね?
ごめん…私…何も知らないで…。」

「なんでお前が謝るんだよ?ほんっとお人好しだな?」

総二郎はつくしの額を軽く小突く。

「イタッ。」

「つくし。ありがとな。」

総二郎は大袈裟に痛がるつくしの額にキスを落とした。
総二郎を見上げるつくしの顔はみるみると赤く染まっていく。

「くくっ。ほんとお前可愛いよな。」

「もうっ!そんな笑わなくたっていいでしょ!
そうやっていっつも私のことからかって、遊んでるんでしょ?!」

不貞腐れてプイッと横を向くつくしの頬に総二郎は手を伸ばした。

「遊んでねぇし?
可愛いから可愛いって言ってるだけだろ?」

つくしを真っ直ぐに見つめる総二郎の瞳からつくしは目がそらせない。

「つくし、手、出して。」

「はっ?」

「はっ?じゃなくって!
手、出せよ?」

つくしは反射的に総二郎の前に両手を伸ばした。
総二郎は差し出された右手をとり、その薬指にゆっくりと指輪を嵌める。

「とりあえず、今はこっちの指な。
家のこととか、仕事のこととか、全部片付いたらこっちに嵌めてやるから。
それまで一緒に頑張ろうぜ。」

左手を口許まで運びその薬指にキスを落とす。
そんな総二郎につくしはただただ見惚れていた。

やがてつくしは我に返る。
右手には見るからに高そうな指輪が嵌められている。

「総二郎、こんなのもらえないよ。
もらう理由ないもん!」

「なんでだよ?
好きな女にプレゼントして何がわりぃんだ?
自分で稼いだ金だぜ。

それに…今日はホワイトデーだろ?お返しだ、お返し!
つくしちゃんの愛情をいっぱいもらったからな。」

ニヤリと笑う総二郎に、つくしの頭の中には先月の記憶が蘇る。

「つくし、さっさとメシ食おうぜ!
まだまだそれじゃあ返したりねぇし?」

「バカッ!!」

総二郎の流し目をまともに受けたつくしはそれしか言葉が出てこなかった。



夕食後、つくしはいつもより激しい総二郎の愛を必死に受け止めていた。

そして翌日。

つくしがベッドから起き上がることも出来ずにいたのは言うまでもない。
総二郎はそんなつくしの世話を甲斐甲斐しくするのであった。



fin
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2017/03/13 15:56  | | #[ 編集] |  ▲ top

-yukikoサマ-
コメントありがとです♪

そうなのよ、ここなのよー(涙)
どうにかうまく終わらせようと??総ちゃんを家に帰らせたんだけど…。
サンタクロースの壁は高かった…( ̄▽ ̄;)
せっかくのホワイトデーなのにタイトル通りすったもんだになっちゃって、無理矢理?強引に?ホワイトデーっぽく?してみました(爆)

あはは…どうだろか…?
でもここじゃ終われないよね……。ドウシマショ…。

明日のお話もある意味おかしな話かも?です( *´艸`)
お楽しみいただけたら嬉しいなぁ♪
2017/03/13 23:56  | URL | コメ返信 yukikoサマ #-[ 編集] |  ▲ top


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