本気の恋愛 中編
- 2017/04/13(Thu) -

牧野から笑顔が消えた。
牧野はそれを押し隠して困ったように笑う。

牧野にポーカーフェイスなんて出来るワケもねぇ。
考えてることが全て顔に出るようなヤツなんだから。

類は大学にいる間、片時も牧野の傍を離れねぇ。
それでいいと思った。

類のずっと変わんねぇ牧野への想いを知ってる。
何よりソウルメイトと言うくらいだ。
類が傍にいりゃ牧野の傷もそのうち塞がっていくんだろう。
そう思ったんだ。

けどそれは間違いだった。

いくら時間が経っても牧野の笑顔は戻んねぇ。
むしろ感情がどんどん消えていくようだった。

誰もがそんな牧野と寄り添おうとする。
けれど…そうすればするほどに牧野が消えていく。

牧野がいねぇときを見計らってあいつらにそれを伝えたってのに、あいつらは聞きやしねぇ。
逆に俺が責められる羽目になる。

いつも一定の距離を保ち、遠目に見ていたから気づいた変化ってことか?
あいつらほんとに気づいてねぇのか?

それぞれが牧野を大事に想ってる。

類はもちろんだが、あきらも例外じゃねぇ。
口には出さねぇが、牧野を想ってんのは間違いねぇだろう。
桜子も滋も同様だ。
牧野が窮地に立てば、どんな状況でも駆けつけるだろう。

なのになんでその心の変化に気づかねぇ?
近すぎて見えてねぇのか?

ダメだ。
あいつらじゃ牧野はどんどん落ちていく。

俺は距離を保ちつつ、牧野の感情を取り戻そうと毎日必死になっていた。
そんな俺を見るあいつらの視線はどこまでも冷ややかだ。

まぁ笑わせもするが、怒らせるようなことばっか言ってんだから仕方ねぇ。
元々あいつらの反応なんて目に見えてたし眼中にもねぇ。

そんなこんなで時は流れていった。



何気なく街を歩いていた時だった。

「ジロー?」

すれ違った女がそう口にした。
俺は立ち止まり振り返る。

そこにいたのは更だった。

「やっぱり、ジローだ!」

そこには笑顔の更がいた。
その隣にはいかにも人の良さそうな男がいて、更の手を握ってる。

「あっ、これから映画見に行くの。」

俺の視線に気づいたのか更は少し頬を赤らめてそう言った。

「更、友だち?」

「うん、幼馴染みなんだ。すっごい久しぶりだったからつい声かけちゃった。」

仲良さげに話す二人を交互に見ていた。

「早く行かねぇと始まっちまうんじゃね?」

「えっ、あ、そうだね。ごめんね、呼び止めちゃって。
ジロー、会えて嬉しかったよ。じゃあね!」

「あぁ、じゃあな。」

更は笑顔を残して男と街並みに消えていく。
俺はその後ろ姿をいつまでも見送っていた。



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コメント
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2017/04/13 18:15  | | #[ 編集] |  ▲ top

-yukikoサマ-
コメントありがとです♪
のんびり返信ですみません…f(^ー^;

ふふふ~。
こんな微妙なところで後編に続いちゃいます( *´艸`)

どんどん落ちていくつくしちゃん。
みんな甘やかしているみたいです。
そして更ちゃんに呼び止められた総ちゃん。
何を思ったんでしょう?

今日後編アップです。
お楽しみに~♪(o・ω・)ノ))
2017/04/15 01:19  | URL | コメ返信 yukikoサマ #-[ 編集] |  ▲ top


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